不倫の代償
『明日、打ち明けようと思ってね』
『近い間に、結婚しようと思って♡』
『一年以内に、この問題を解決しようと思うんだ』
『漸く、決心がついた』
『いつまでも、嘘は吐けられないよな…』
『死にたい…』
雑音に紛れて、誰かの悲鳴が聞こえてきた。
「………気のせい、か…」
そう自分に言い聞かせて、聞こえないフリをする。だって…自分には、関係がないのだから。
……そう。自分には、関係がない。カンケイが、ない。かんケイが、ナい。カンケイない…かんけいナい…かんケイなイ…カンけいナい…。
『嘘吐きっ! アタシが一番だって言ったクセにっっ!!! 』
『奥さんと会社に、アタシ達の関係を告ってやるんだからっ! 』
『やっ!? なにをっ…! やめっ、て……』
……………。
僕は、カンケイない。
悪いのは、全て彼女だ。
既婚者だと知ってて、僕を誘惑して、略奪婚を図っていた、あの女が悪い。
『アタシと貴方は、運命の赤い糸で、結ばれているのよ♡』
『だから、片方が死んだ時は』
“もう片方も、死ぬ運命なのよ”
「ッ!? ……えっ…? 」
声がした方へ振り返ると、其処には誰もいない。
「………気のせい、か…」
あの時の事を知っているのは、自分だけ。
自分以外、誰も知らない。
「如何したの? 」
此方を心配そうに見つめて、そう尋ねる妻に、僕は「なんでもない」と答えた。
そして、心の中で誓う。
もう二度と、不倫はしないと。
ゲームやアニメなどで見られる、沢山の台詞がガーっと出て、実はこの台詞は此処で使われてたっ!みたいな、感じにしようと思ったのですが……
気付いたら、内容はほぼスカスカなのに、めちゃくちゃドロドロした恋愛ものになったというヤツです…。