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第四話 魔物対峙

 私は魔法を教わった、しかし、こんな所でじっとしていてもつまらないので、街に行ってみようと考えた。

「ラーベ、森を出て人がいるところに行ってみよう」

 そうラーベに言ったが、私と違い、あまり乗り気ではなかった。

「人間っていうのはめんどくせぇんだ。弱いし、つまらねェ。お前はちょっぴり違うようだがな」

「私は人間だけど」

「種族はなァ」

 何が違うのか分からないが、ラーベからして、私は普通の人間と違うらしい。

「冒険してれば分かるんじゃねぇかァ? ま、バカだからわからねぇかもしれんがなァ」

 ケラケラとラーベは笑った。

「じゃあ、それを知るために旅に出よう。その為に、ラーベも付いてきて」

 ラーベは「うげぇ!」と言いながら、フワッと私の頭の上に座った。

「オレに拒否権はねェんだ! 移動はお前に任せるからな! お前が死んだときは笑ってやるよ」

 ラーベはまたもやケラケラと笑い、付いていくことを約束した。

「目立つと面倒だ、魔法はあんまし使わんほうがいいぞ。お前が目立ちたがりなら話は別だがな!」

 ここは素直に、忠告を耳に入れておこう。

「掴まってて」

「バーカ、オレが浮遊なんぞで落ちるわけねェ!」

 「ああそうだった」と、思ってもいないことを言った。いい加減、ラーベの相手に慣れないといつか可笑しくなるかもしれない。まあ、言わずとももう慣れてしまったが。

 浮遊魔法を行使し、森を抜けるまで飛行する。

「当てはないんだろ?」

「ないよ。知るために行くんだから」

 当てはない、ないが、記憶がないから仕方ない。それで怖がっていては、旅に出るのも夢のまた夢だ。

「カッコつけたがりかァ?」

 うるさいと言いたいが、言ったら負けな気がするので我慢する。

「そうだカレン、魔物との戦闘経験を積んどけばいいんじゃねェか? 今ならオレ様も居るしな!」

 確かに、先に魔物と戦っておけば後に役立つかもしれない。ラーベにしては気の利く提案だと思う。

「そら、魔力感知だ。教えたろ」

 私はラーベの言った通り魔力感知を発動させ、森にいる魔物の魔力を探る。浮遊しているため見えなかったが、意外とたくさんの魔物の魔力が感知できる。弱いやつから強そうなやつまで様々だ。私はオオムカデを捉えた。

 オオムカデ目掛け、私は自身の尻尾に魔力を集中させ、圧縮させた魔力弾を尻尾に纏わせる。急降下し、魔物の首に魔力を纏わせた尻尾を振り下ろし、首をはねた。魔物の血が舞い、草や顔に付着する。

 尻尾を使い、長いムカデの巨体をバラバラに切り裂く。


『魔物には核、つまり魔石があんだ。それを壊しちまえば、その魔物は死ぬ』


 宙に舞った一つの石、魔石を狙い、尻尾を動かして魔石を割る。

 逆さになった身体を勢いよく動かして体制を整え、足でしっかり着地する。

「派手にやりやがって、てか、不意打ちだと意味ねえだろうがァ!魔物と真正面からやってみろってことだよ馬鹿野郎!」

「じゃ、次」

「ちゃんとやれよなァ!」

「やってるよ」

 今回は不意打ちが決まっただけだ。失敗してたら正面から戦ってたかもしれないし。

 ともあれ、初の魔物討伐成功。初めてで不意打ちが決まったのはいいことだ、と思う。

 森を小走りしていると、一体の魔物を発見する。ドラゴンに少し似ていて、二足歩行で歯が鋭い。しかし、翼が生えておらず、前足が巨体に合わず小さい。

 ・・・・・・あ? ドラゴン?

「よっしゃあ! 次はあいつだ! ドラゴンだが、お前ならいけるだろ!」

「どらごん?」

「ああ、知能がある魔物の上位種だ! 教えてなかったが、お前なら大丈夫だろ!」

 ドラゴン。強いらしいが、ラーベが大丈夫というならいけるだろう。

「普通のやつとはちと違うところがあるが、翼がねえから劣化版みたいなもんだ! 突っ込め!」

 一瞬思い浮かんだ気がするが、ドラゴンってどんな見た目をしていたか、分からない。いいや、今はあいつに集中だ。

 私はラーベの言った通り、魔物に突っ込んだ。


 ドラゴンはこちらに向かって、尻尾をぶん回してくる。結構早い為、当たると痛いのは確実だろう。

 尻尾を使って難なく断ち切り、間合いに入り込み、脚の間を通ってドラゴンの腹を切り裂く。

「よく分かってんじゃねえか! ま、ドラゴンのかてぇ皮膚の上から切ろうとするバカはすくねえがな!」

 魔石は大抵、胸、つまり心臓の部分かその生物の身体の中心にある。人間で言ったら、心臓の位置の左胸か、身体の中心、腹とかへそくらいの所だ。

 ドラゴンの腹を裂いても魔石を壊した感覚がしなかった。つまり、このドラゴンの魔石は、胸にある。

「グォオァアアア!!」

 ドラゴンは腹から血を流しながら、苦しいのを紛らわせるように咆哮した。

 ドラゴンは片足を持ち上げ、一歩前に出した。ドスンという音が響き、地面が小山のように盛り上がる。ドゴドゴと音を立て、こっちに向かって次々に盛り上がる。

「当たると痛いよね」

 そう言って、サッと小山の攻撃を避けた。

「案外痛くねえかもだぜ」

「ラーベを投げて試してもいい」

「やっぱやめといたほうが身のためだ」

 戦闘には関係ない小言を交わしながら、ドラゴンの顔の前まで行き、目を潰す。

「オ”オ”ア”ァァーー!!」

 断末魔を上げて顔を隠そうとするドラゴンを無視して、尻尾を使い、ドラゴンの胸あたりを深くまで切り裂く。

「オア”ッ―――」

 魔石を壊した感覚がしたので、これ以上の追撃はなしで、飛んで後ろに下がる。

「やったじゃねえか。人間であそこまであっさりとドラゴンを殺してたのは初めて見たぜ。大体はチマチマとおっせえ奴が多いからな」

「へぇ」

「ま、一回休もうぜェ」

 ラーベが休もうというのは意外である。ここは「突っ立ってんな! ジャンジャン行くぞ!」とか言いそうなところだが・・・・・・。

 とりあえず、ドラゴンとオオムカデを倒したので、ひとまず休憩をしたほうがいい――――と誰かが言っていた気がするので、ラーベの言った通りに休むことにした。

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