『六道輪廻』 【リクエスト】
続けます。
全てとは云いませんが、「異世界転生」を書く者が
現実世界を忌避し非常に命を軽んじている事も解りましたが、
ソレは同時に 【転生の意味】 が解っていない事も示唆します。
発案者の方も指摘されてましたが、
本来 “転生” とは仏教で云う処の『六道輪廻』を差し、
ソレは【終わらない地獄が永劫に続く】という事を同時に意味します。
だから仏教の『命題』は所謂 “悟り” を開いて
その永劫に続く 【輪廻の環】から “解脱” する事を
目的としているのであり、
だから進んでその【地獄】に堕ちていれば
世話は無いという話にもなります。
『六道輪廻』の中には『天界』と呼ばれる、
所謂「天国」と同じ様な「喜びの世界」も存在するのですが、
仏教的にはソコすらも【地獄】の一種で、
“決して充たされない快楽” に囚われた
奈落の底なのだそうです。
(ソコにいてもまた “転生” は起こるし、
掟に背くと餓鬼界や畜生界に堕とされるそうです)
そもそも『意識が永遠に続けば』
それは【拷問】と変わらないのであり、
しかしソレが解っていないラノベ作家が安易に
「好きな娘と永遠に生きるラスト」
等を描いてしまい、
その【想像力の無さ】が作品全てに絡みついて
駄作を生み出してしまう元凶にもなります。
異世界でチートでも無双でもハーレムでも構いませんが、
一回ソコに “転生” しているのだから、
また “転生しない” 保証など何処にもなく
ソレはF・ニーチェの云う
『永劫回帰』という【地獄】の始まりを意味するのです。
『読者』は思考停止した愚かな大衆の集まりではありません、
“転生” という言葉を用いれば必ずそこまで考えるし、
オカシイと想う箇所は情け容赦なく突っ込んできます。
故に【その意味】を履き違えていると
最初から“破綻”が浮き彫りになっており
後は作中で延々と『言い訳』を繰り返す
羽目にも陥ってしまいます。
「異世界転生」、大いに結構ですが、
その【転生の意味】が解っていなければ本末転倒も良い処であり、
転生は都合の良い『現実脱出装置』ではありません。
【地獄】から逃げ出しても往きつく先はまた【地獄】
至極当たり前の話であり、チートだのハーレムだので誤魔化そうとも
その本質は【天国という名の地獄】に過ぎないのです。
そして読者は『現実逃避』という【緩慢な自殺】の話が読みたいのではありません。
そもそも何故「異世界」に“転生”したいのでしょうか?
強いから、金があるから、女にモテるから。
ソレで悦に浸っている者を、 アナタは一体どう想っていましたか?
ソコに居たいならずっと【妄想】に居れば良い。
他の誰でも無い、【自分自身に】負けたのです。