『異世界転生モノの構造的問題点を考える』 《終》
『総括』に入ります。
【三大要素】残りの一つ、『世界観』については最早言わずもがな。
『キャラクター』と『ストーリー』が未完成状態の作品に、
残念ながら『世界観』は生まれません。
「人」がいて、精一杯「生きて」
そして生まれるモノが『世界』だからです。
キャラクターもストーリーも平板、
ソレに対する作者の拘りも愛着もない、
チート能力という「設定」だけしかないのであれば
何も生まれようが無いのです。
そもそも本来「設定」というのは、
作品に於ける演出役、補助役、調整役、
極論すれば別に無くたっていいモノなのです。
これはライトノベルに於ける「萌え」と同じで、
本来ストーリーの中の「オマケ」に過ぎないのに
何故か今も昔もソレが『主役』になってしまっている。
ならば作品が【破綻】するのは当たり前、
某ある作品のように全体が冗長でつまらなくなるのは
必然の成り行きなのです。
作品としての『必要条件』を充たしていないのですから、
ソレは小説ではなくただの妄想の垂れ流しです。
要するに、『異世界転生』『ライトノベル』共に、
未だ【発展途上】の段階に在ると、
残念ながらそう結論付ける以外に術がありません。
ですが、コレは逆に『チャンス』とも云えます。
『異世界転生モノ』の【弱点】がもう既に解っているのですから、
その部分を『修正』すれば良い作品が描けるというコトです。
そしてソレを行うのは、他の誰でもありません。
今、この創作論を読んでいる、眼の前のアナタなのです――。