『異世界転生モノの構造的問題点を考える』 《六》
今までは『異世界転生モノ』に於いて
創作に必要な【三大要素】 『キャラクター』について語ってきました。
ここからは残りの重大な要素、『ストーリー』と『世界観』を
絡めて考察していきましょう。
まずはっきり言ってしまえば、キャラクターと同じ様に
『ストーリー』の面でも希薄な部分が多いというのが
残念ながら今のライトノベルの現状です。
『異世界に転生(転移)する』というのなら、
ストーリー上必ずソレに順じた「理由」や「動機」、
「目的」が必要となってくるワケですが、
なまじ『お手軽』に書けてしまう分、
上記の【ストーリー要素】を意識して拘って
書いている人はあまりいません。
殆ど「いきなりトラックが突っ込んできた」
「学校帰りで不思議な光に包まれた」ばかりの
作品が非常に多いようです。
あと次に多いのが、ワタシも個人的に非常に「不快」なのが、
『異世界への転生(転移)』が【現実からの逃避】に
なってしまっている作品です。
この『愚』はなんと、とある直木賞作家まで
あるファンタジー作品の中で犯しているのですが、
ソレじゃあ虐められたから部屋に引き篭もってゲームをやっているのと
変わらないので、そんなストーリーを好意的に受け止める人はいませんし
なによりそんなキャラクターに愛着など微塵も湧かない、
ソレ以前に単純につまらない、というコトになってしまい
はっきり言って自分の作品で【自爆】しているに等しい所業です。
『現実の辛い事から逃げて』 「剣と魔法がある都合の良い世界」で
「魔王を倒そうが」「龍神に打ち勝とうが」
あっ、そう、だから何? で終わってしまいます。
だって現実には「虐めてるヤツ」や「どうしようもない親」
の方が『強い』んですから。
『現実』と戦わずに、戦えずに、「ゲームの中でハイスコアを出した!」
とか言ってもなんとやらの遠吠えにしか聞こえません。
少なくともそんな主人公になんの『魅力』もありません。
少年期のジョナサンがディオに敵わないからといって
【石仮面】を被って彼を〇してしまったら『幻滅』もイイ所でしょう。
『異世界転生』はお手軽な反面、
ストーリーに何の「深み」も「面白み」も無くなってしまい、
逆にその安直過ぎる“都合の良い展開”に
【読者の反感】を買う、という非常に大きな
【リスクとデメリット】を内に抱えています。
巷で「なろうwww」「またなろうwww」「こんなんばっかwww」
などと不特定多数に揶揄されてしまうのはコレが原因です。