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【シン・ライトノベルによくあるパターン:||】  作者: 沙波羅 或珂


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307/314

【3つの解・その参】




【戦争が起こる理由・3つめの解】

 以下はかなり『観念的』な話になってしまうので

予めその事を踏まえた上でお読みください。


 ソレは、『赤子の心』

 赤子に、『自我』というモノは存在しない。

 つまり、自分と他人の【境界】が無く、

「知っている事」と「知らない事」の【境目】が無い、

ソレは小規模だが『全知全能』の状態に在ると云っても良いでしょう。

 その状態を便宜上【神】と呼称しますが、

()()()()()()()【神】とは、

多かれ少なかれ“嘗ての自分(赤子)”を「模倣」したモノなのです。

 そして赤子は、「人間」は成長していく。

 この時赤子は、自分が『全知全能』でもなく

怖ろしく【不完全】な“矮小なる存在”である事に

嫌が応にも気づかされます。

 その時赤子は、身を割かれるような恐怖と絶望を

心の深奥に刻み付けられる。

 その【疵痕】は決して癒える事は無く、

寧ろ齢を重ねる事に倍増し、永続的に心を苛む結果となります。

あくまで【無意識】の領域の(なか)での話ですが。

ソレは同時に嘗ての『全能性』を()()()()()()という意識の表れでも在ります。

 ソレは云うなれば【幻想自我】、『完璧な自分』『理想通りの自分』

ソレらは【達成不可能】なまま心の深奥に残存し続けるのです。

 その『次』に起こる現象が【仮託】、或いは【すり替え】

集団、民族、宗教、国家、何れかの“自分より大きい存在”に

自分の願望を叶えて貰おうと目的を修正する、【代替行動(だいたいこうどう)

『正義』『愛国心』『大いなる思想』『宗教的概念』

 その()()()()()()【戦争】なのです。

 或いは【戦い】【争い】

 ライトノベルでは「退屈な日常に訪れる異変」「異世界転生」などが挙げられます。

 どうしようもなく【不完全】な存在である自己を

万能の『完全』へと“錯覚”出来る現象、

ソレが【戦争】なのです。舞台は『世界』

()()()()()()()()()()()()

【戦争】は人間が、『人の心』が生み出すモノである以上、

この【原初の疵痕】から逃れられる術はありません。

 或いは、否、有体に云えば、

()()()()()()()()()()()()()()()と云えるのかも知れません。

 不可能も可能も、早過ぎも遅過ぎも、善も悪も関係無い。

 ()()()()()()()()()()()()()

 解った処で、何も変わらないし変えようがないのです。

 いずれ必ず訪れる、【死】と同様に――。


【完】



挿絵(By みてみん)



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