『異世界転生モノの構造的問題点を考える』 《三》
さて、クドイようですが作品に於いて重要なのは
『キャラクター』『ストーリー』『世界観』です。
では「異世界転生モノ」で実際にヒットした作品を例に挙げて
「比較」してみましょう。
……とは云っても実際に『作品名』を挙げる事はファンの方もいるでしょうから
此処では憚れるので、「小説家になろう」で
幾つか有名な作品を頭に思い描いてみてください。
――いいですか? では浮かんだのなら『本題』に入ります。
さてどうでしょうか?
その作品の【主人公の名前】、すぐに浮かんできましたか?
ワタシは自分が『異世界転生モノ』を描こうと想った時、
当然ながらいきなり描き出すのではなく
まずはヒットした作品、読者に受けている作品を
リサーチして分析(勉強)するコトから始めました。
ある作品は22巻まで読みました。
でも、それでも、主人公の名前もヒロインの名前も
全然浮かんでこないんです。
そして舞台となる「世界の名前」もその「ストーリー展開」も
非常にあやふやで暈けています。
「おまえの記憶力が鈍いだけだろ」と言われるかもしれませんが、
果たしてそうでしょうか?
例えば「ドラゴンボールの主人公は?」と聞かれれば
原作を知らない人でも「孫悟空」と即答出来ると想います。
同じく「ジョジョ第三部の主人公は?」
「はい、空条 承太郎」「よく知らないけどオラオラの人」と
すぐにその『姿』が思い浮かびます。
きちんと創られた【キャラクター】というのは、
その作品に興味が有る無しに関係なく
「印象」に残って勝手に覚えてしまうモノなのです。
『異世界転生モノ』に、上記のキャラクターに匹敵するような
強烈な「印象」を残せる主人公というのは
ワタシの知る限りまずいません。
一番売れている『転生したらスライムだった件』ですらも、
原作を読んだ事がない人は主人公の名前が「リムル」だと
知っている人は少ないのではないでしょうか。
否、異世界モノに限定するのではなく『ライトノベル全般』と
した方が良いかもしれません。
一番有名な「涼宮ハルヒ」ですら
ライトノベルを読まない『一般層』には
全く周知されていません。
コレは「マンガ」と「ライトノベル」という『ジャンル』の違いで
起こる現象ではなくソレは『創作姿勢』の問題で、
印象に残らないのはその作品の【キャラ造形】が不完全だからです。
「シャーロック・ホームズ」や「アルセーヌ・ルパン」は、
小説を読まない人でも知っています。