【日本人特有の精神】
はいどうもこんにちは。
『スポ根もの』というともう大分古い概念で
もしくは形骸化しているようにすら想えます。
そもそも「海外」での上記の作品のウケは悪い、
どうしても「キャプテン翼」や「テニスの王子様」等の
『天才』が活躍する“スマート”で“爽やか”なモノが好まれ、
「スポーツ漫画」の元祖とも云える
『巨人の星』や『明日のジョー』『ドカベン』などは
避けられる兆候にあります。
コレは西洋に於ける『合理主義』と日本の【精神主義】との
価値観の乖離なのでしょうが、裏を返せば上記の作品は、
海外ではウケないけど日本人には異常に評価されたという意味合いも持ちます。
最近、往年の名作、ちばあきお先生の『キャプテン』などを読み返していて想ったのですが、
この作品に昨今の「スポーツもの」でフューチャーされる『天才』は一人も出てきません。
(なんならチームプレーなのにその『天才』一人さえいれば
勝ててしまったりします)
じゃあ一体何で勝負の決着が付くのかと云えば、
ソレは【根性】がある方なのです。
四回の時点で「肩」が限界に来ているにも関らず
最終回まで投げ切ってしまう者や、
フェンスにブチ当たって気絶してしまうも
取ったボールは放さない、という選手がいる方です。
もう中盤のある強豪校との戦いなど、
中学生にも関らず「18回」にまで死闘が及び、
最後は全員ボロボロで誰が誰か解らなくなってしまっているほどなのです。
もう『主人公』も「脇役」も関係無い、
【野球選手】という概念が主役なのではないか、
と錯覚するほどの凄まじさです。
その様相は宛ら【太平洋戦争時の敗残兵】を彷彿とさせ、
ソレでも尚戦おうとする姿に我々【日本人】の心は否応なく打たれる。
昭和40年代の作品なのであながち的外れな考察では無いと想いますが
如何でしょうか?
その時の“キャプテン”である少年の言葉がまた非常に印象に残っています。
『みんなすまん、本当によくやってくれた! ありがとう!!
俺達は、勝つ事が出来なくても負けなかった……!!』
時代によって流行り廃りはあるとしても、
この『精神』だけは、創作を行う以上忘れてはいけないモノだと想います。
何もかも【合理性の思考】の中だけに閉じ込めて、
結局何もしていないだけになってはいないでしょうか?