【キャラクターの急な方向転換】
はいどうもこんにちは。
もうしばらく前に完結しましたが
『ジョジョリオン』という作品があります。
言わずと知れた超大作、『ジョジョの奇妙な冒険』【第8部】のストーリーです。
知らない人にも解るように書くと、
コレに“東方 憲助”という
キャラクターが序盤から出てきます。
59歳初老の男性、ブドウのような異様な髪形をしていて
その言葉も行動も非常に “胡散臭い”
主人公は”記憶喪失”で、
自分の無くした「記憶」を取り戻す為に行動しているのですが、
「その記憶を取り戻させない」「彼の行動を妨害する」
なんなら『いつか絶対殺す!』とまで発言しているので
もう何をどう考えても【敵】なのです。
(立場上は記憶喪失の主人公の『保護者』となっていますが)
また彼の血縁、「息子」や「娘」も非常に【ロクデモナイ】描かれ方をしているので
余計に【敵対者】としての認識が強まります。
ところがドッコイ、何と「7巻」辺りでこの“憲助”
急激な【キャラの方向転換】をしたのか
いきなり『主人公の理解者』となり
「口調」も変わり(それまで「私」だったのが『オレ』になる)
味方として扱われ出し作中屈指の『人格者』として描かれ始め
結局【最後までそのまま】なのです。
序盤の『強敵』ヘタすりゃ【ラスボス】にすら見える言動は一体何だったのか?
まさか自分の「娘」が襲われそうになっているのに
「いいぞ! もっとやれ!」とか言ってる変態がこうなるとは想いもしませんでした……('A`)
ストーリーの流れに捉われない『荒木マジック』と云えばソレまでですが、
当然【アラや矛盾】は発生し、しかし『作品としては面白い』という
不可思議な現象が生まれるのもまた確か、
正に『奇妙な冒険』と云った次第です。
主人公は「記憶を失っていて自分が誰か解らない【孤独】な青年」
故に年輩の男性が彼の『協力者』になるとその“安心感”が違います。
二人で悪友のような会話を交わしている所など
逆に「微笑ましい」とも想えるくらいです。
無論「設定」はなるべく変えない方が良いに決まってます、
しかし『設定を設定のまま描いても』
“意外性”が生まれず単調で冗長な話になってしまうのもまた事実です。
「設定魔」などと呼ばれている人の作品が
【全然面白くない】のがソレを端的に表していたりします。
俗に『キャラが動く』という現象が全く起こらなくなるからです。
ワタシもストーリーの概要だけ決めてプロットは余り詰めずに
作品を描く事がよくあります。
そうした場合自分でも想いも寄らぬ「セリフ」や「行動」「展開」が
生まれてきて結果、当初より作品のクオリティーが向上したりもします。
拙作のノエルの言動が“奔放”なのはワタシが決めてないからです。
コレは他所で『復刻』している【二次創作】でも同じ事です。
故に一番【重要】なのは『作品としての面白さ』
アラや矛盾が生まれても結果『面白くなる』のなら
その「犠牲」を承知で描いていく【覚悟】が必要なのかもしれません。
ただし『荒木先生クラス』の創作力や構成力でも
アラや矛盾は生まれてしまうのだから、
その【危険性】は少し多めに見積もって於いた方が良いのかも知れないです。