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【シン・ライトノベルによくあるパターン:||】  作者: 沙波羅 或珂


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189/314

【深淵ノ神】




 はいどうもこんにちは。

 表題は言わずと知れたダーク・ファンタジーの金字塔、

【ベルセルク】に出てくる概念です。

 御存じの方は御存じのように、

【ベルセルク】の世界は略奪、強姦、破壊、蹂躙、虐殺が蔓延る

荒廃したデストピアです。

 故に人々のささやかな希望などはいとも容易く踏み躙られ、

恐怖と絶望しか想起出来ない惨状と成り果てています。

 宛ら、ホッブスの『リヴァイアサン』を彷彿とさせる

不条、理不尽の極みとも云えますが、

物語の中盤で “ソレは人間が望んでいる事” だと

表題の存在から明らかにされます。


 残念ながら物語の『本質』に関わり過ぎると

単行本ではカットされているのですがその『神』曰く、


『神も正義も大多数の人間は()()()信じてはおらず、

また自分が救われるとも報われるとも

()()()信じている者はいない。

だからその無数の夥しい想念が

自分という『神』を心の【深淵】に創り出したのであり、

その()()()()()()結果として

【ゴッドハンド】や【降魔の儀】、【蝕】

という “恐怖の象徴” が具現化しているに過ぎないのだ』


という世界の真実を告げます。


「原作」を知らない人には何のこっちゃ解らないかも知れませんが、

要するに『希望』を信じていないなら、

心は【絶望】を生み出すしかないというだけの話です。

『ジョジョ』にも「人は “安心” するためだけに生きる」

というセリフが出てきますが、

『希望』が信じられないなら、

【絶望】して “安心” する、

というのが人間の自然な心の「流れ」なのです。

 不確かで不分明なモノよりも、

例え残酷な事象でも“形在るモノ” の方が

人は安心出来るのです。

「これ以上悪くはならない」という

ある種の防衛機制も働いているのかも知れません。

 ともあれ、何故そのような精神傾向に人間が陥るかと云えば、

ソッチの方が『楽』だからです。


『正義』を信じて、『希望』を信じてより傷つくよりも、

【悪】や【絶望】に迎合した方が()()()()()()()

 どっちにしろ “負ける” んだから傷が増えるだけ無駄無駄無駄、

そうして『現実』に打ちのめされ、抵抗する気力すら失った者が

往き付く先が【|在りもしない妄想の世界《異世界転生》】なのです。




挿絵(By みてみん)





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