『異世界転生モノの構造的問題点を考える』 《一》
どうもこんにちは。
沙波羅 或珂と申します。
今日よりよろしくお願い致します。
では表題にある通りです、今現在、玉石混交の極みに在ると云える、
所謂『異世界転生モノ』について考察して参りましょう。
まず、何故こうまで『異世界転生モノ』が氾濫しているのか?
何故『異世界転生モノ』なのか? という疑問は、
簡単に云ってしまえば『何でもアリ』で『書き易い』からです。
「ライトノベル」を書こうとする時、
まずネックになるのがそれぞれの作品に於ける『設定』です。
例えば超能力をアレンジした『戦闘モノ』を
書きたいと想ったとしましょう。
ですが「現代社会」を舞台にした場合、
その『設定』が足を引っ張ります。
・あまりに能力の威力が高過ぎると
大惨事を引き起こして大騒ぎになるので
派手な戦闘描写が出来ない。
(無理にヤっても非常に嘘っぽくなる+
リアリティーが無いのでツマラナイ)
・そんな超常的な「能力」を有しているのに
何故その存在が知られていないのか?
一国の大統領すら殺せるんだから
社会的、国際的に「高い地位」に
居なければオカシイのではないか?
・倫理的な問題、主人公に能力があるのなら
当然「敵」も同じ能力を有しているワケで、
結果として戦闘は必然『殺し合い』になる。
「普通の高校生」を主人公にした場合、
その『心理的葛藤』がストーリーの【足枷】になる。
↑等の理由で「舞台設定」「登場キャラの心理」果ては
その能力が在るとした場合の「人類の歴史」にまで
踏み込んで『設定』を練らねばならないため、
余程、作者の「才能」か「根気」がない場合、
設定だけが独り歩きしてストーリーが造れないため、
作者は挫折しますし小説として【破綻】してしまうのです。
ですが異世界に転生してしまえばオール・オーケー。
考えた設定は『魔法』か『スキル』にしてしまえば良いのであり、
「ファンタジーの世界」なのだから能力がどれだけ高威力でもOK、
倒す相手は『魔物』なのだから
「良心の呵責」も描かずに済みます。
ライトノベルを書く上でこの『異世界転生(転移)』というのは
非常に便利な「設定」で、1アイディアを思い付けば
誰でも簡単に小説が書ける「ジャンル」となってしまいます。
ですが旨過ぎる話は【諸刃の剣】、
実はこの『手軽さ』こそが作品を描く上で
非常に大きな【リスク】となって
作者に跳ね返ってきてしまうのです。