帰還の扉は希望の扉
ロバートさんと別れて、孤児院に帰ったポトは院長の部屋で爺ちゃん先生とマリア姉ちゃんを前に今日の出来事と合わせて話しをしていた
『商人を目指したいのじゃな?』
爺ちゃん先生の問に頷く…
『行商人のロバートさんって あのトーラス商会のロバートさん!』マリア姉ちゃんが驚いた顔で話す…
『ロバート自体は大商人じゃが、儂も古くから知っておる!信用のおける者なのは確かじゃ!あ奴の人と成りも確かなのは儂が保証する!』
爺ちゃん先生が頷いて話した…
爺ちゃん先生達の話しではロバートさんはザイルの街でも3本の指に入る大商会の二代目で国でも有数の店らしい…主に扱うのは色々な鉱物と宝飾品に鉱物や魔物の素材より作られた高価な剣や防具に衣装など幅広く扱う店の主らしい……コルネ村には鉱物の仕入れや冒険者からの素材の買い取りのついでに、村長さんに頼まれて街より食料や生活用品などの物を仕入れて持って来て行商人をしてるらしい…「小さな店じゃないじゃん!」ポトは思った……
『まぁ〜確かにポトの持つ能力を考えると、転んだすりキズや包丁の切り傷を治すしか使い道の無い白魔法や毒キノコや毒草を見分けるだけの鑑定魔法に薪拾いや木の実や薬草の採取にしか使わんアイテムBOXじゃ〜宝の持ち腐れじゃろうのぉ〜!…… しかし ロバートのぉ〜…… 運命のいたずらか…… 。』
院長は思う…ポトの両親は父親のトミーと母親のポーラ、2人の名を1つずつ合わせてポトと名付けられた目の前の少年…両親は2人共ザイルの街に出て働いていた!父親のトミーは鑑定の魔法が使えた為、トーラス商会に勤めていた!母親のポーラは白魔法が使えたので街医者の所で治療師として働いていた…そんな2人に新たな命が授かったのを期に2人は村に戻り街で蓄えたお金と引継いだ畑を耕しながら家族4人慎ましやかに暮らそうとしてた矢先の不幸…流行り病に家族全員かかってしまいポトを残して、産まれて間もない赤子の妹ラミーだけを連れて3人で高みに召された……
「ロバートは気付いておるのか? いや!分かっておるまい!…多くの者を抱えた身、個人のことなど構ってられまい!」ザナディルは思った…
暫くの沈黙の後、院長ザナディルが口を開く
『わかった!やってみなさい!』
いつも無口な院長らしく短く言う…
『そうねぇ!ポトは憶えもいいし、読み書きに計算も出来るもの!特に目覚めてからは更に優秀だったから商人は向いてるかもねぇ!応援するわよポト…頑張りましょ〜!』マリア姉ちゃんが笑顔で勇気付けてくれる…
その後、ロバートさんに提示された給金の話しをしたら2人共驚いていたが、ロバートさんが言った「鑑定」の話しを聞くと爺ちゃん先生は頷き『本来!魔法とは高価なモノじゃ!』と言って納得した…お金なんてたくさん貰ってもこんな田舎じゃ使う事無いから全部孤児院に入れると話したが、爺ちゃん先生に全力で断られ、
『ポトよ!見縊るなっ!オンボロ孤児院じゃが院の子供達に稼がせる程、耄碌もしとらんわい!』と一喝された…給金は預かるが卒院の時に両親が残したお金と合わせて渡すという話しで纏まった…… 。
爺ちゃん先生達との話しの後、孤児院のみんなに話しをすると『凄〜い!ポト兄ちゃん!商人さん目指すんだぁ〜っ!』と1つ下のマーヤがキラキラ瞳で言う。
『こりゃ!ポトに大商人にでもなって貰ってこのオンボロ孤児院を立派なのに、建て替えてもらわねぇ〜となぁ〜っ!』とジル兄ィーがからかう…
マリー姉ェーは『馬鹿ねぇ〜!簡単に成れる訳ないでしょ〜!…でも屋台の料理余ったらよろしくねっ!』と笑う
同じ歳のアルは『鍛冶屋と近くだから一緒に行けるねっ!』と嬉しそうだ…
チビ達も『兄ィ〜おめとぉー!』とか『ちょうにんたん!じぉーにんたん!』とぴょんぴょん跳ねながら楽しそうだ…みんなの祝福を受けながら賑やかな食事の時間は過ぎるのだった…
賑やかな食事も終わり、俺達は何時もの押しくら饅頭で就寝に就いていた…
『ポト!お仕事が決まったそうですねぇ〜?良かったわぁ〜!うふふっ…おめでとうポト… 』
突然、頭の中に以前経験した優しい柔らかな声がこだまし目を開いた…
そこには以前見た光景と同じく虹色と金色の光の中、絶世の美女女神様が微笑みながら浮かんでいた…
『ガイア様ですね?』『えぇ~!ふふふっ変わりなくてポト…』
女神様の微笑みに「変わり過ぎだろ!」と心の中でツッコみながら呟く…
『あの〜っ……… 自分の身体なのですが?女神様とお会いした後から大変な事になってるのですが…… 。』
控えめに意見をすると、
『安心でしょ?ソレくらい有ったら!』
『いや!安心なのでしょうけど、人間の平民の子供には少〜し やり過ぎてません?…… 』
『えっ?やり過ぎ?』
女神様は困惑した不思議そうな顔で見つめてた
『………………… 。』『………………… 。』
沈黙が続く中、俺は大切な事に気付いた…
「あぁ〜しくじったぁ〜っ!そうだよ!神様と人間では感覚や物事の尺度が違うだろうよ!多分ガイア様からの直ぐそこは!人間の1万キロ感覚なのだろう!アリと人間位の差があるんだよ!ガイア様達の1日は人間の100年だろ!なぜあの時に気づかん!オレ!…… 」
『あっいや〜っ!全然大丈夫です!感謝してます!色々考えて頂いて… 』
『本当ですか? 私までもが、何かご迷惑な事をしたのではありませんか?』
『いえいえ!自分こそすいません!驚きと興奮で変な事言っちゃいました!忘れて下さい!』
『そうですかぁ〜?』
ガイア様はホッとした表情でこちらをみていた…「まぁ〜成っちまったモンはしょうがない!俺が慣れて気を付ければいいだけだ!」
『ところで今日はどうしたのですか?』
『あっそうでした!今日は2つ用事が有ってまいりました!』『1つ目はこの間お話しした、あちらの世界とを繋ぐ扉を作る事です!』
『ポトさんまずはアイテムBOXを自分が通れる大きさに開いてください!次に中に入ってください!あっ暗いのでライトの魔法を使ってくださいね!そして端の壁の前に立って壁に手をかざし、あちらの世界の風景を思い浮かべながら『創造主権限!いでよ扉』と唱えてください…その後、扉が現れたら開けてもらい、あちらの世界か確認してください!手順はよろしいですか?』
『はい!』
俺はガイア様の説明どおりに、自分が通れる大きさをイメージしてアイテムBOXを開いた…
『アイテムBOX!』俺が通れる大きさの穴が現れた…中に入ると真っ暗だったので言われた通りライトの魔法を唱えた『ライト!』『うわぁ〜っ!』眩しさに目が眩んだが大丈夫!
「すっげぇ〜!アレ真昼の太陽じゃん!」
俺の目の前には頭上に輝く太陽の様な光りと端が見えない、遥か真っ直ぐが霞んで見えない光景が見えていた…
「あっいかん!いかん!扉!扉と…」俺は反対側を向くと壁が有った、そして壁の前に立って手をかざし、日本の風景を思い浮かべ口を開く
『創造主権限!いでよ扉!』次の瞬間、目の前が眩しく光り視界が戻ると両開きの扉がそこに有った!俺は確認をするべく扉の片方をそっと開けた……… 高層ビルや立体交差の道路、その先に見覚えのある塔「スカイツリーだぁ!」1ヶ月ぶりの東京の姿が其処にあった…。
登場人物紹介
山本 マーク 司 15歳 オルムド王国召喚勇者
春から都内の私立高校に通いだす長身痩せ型のゲーマーで学校でもeスポーツ部に入部する大人しい性格の子、父親がアメリカ人のハーフだが日本産まれの日本育ちで英語が話せない事をよく誂われている。
基礎Lv.52 HP.2300 MP.2000
属性魔法:火属性Lv.20 水属性Lv.20
風属性Lv.20 土属性Lv.20
光属性Lv.20 闇属性Lv.20
特殊魔法:アイテムBOXLv.52
スキル鑑定Lv.52
勇者の力Lv.52
勇者の癒やしLv.52
勇者の守りLv.52