神々の悩み事
神々の住む天界の宮殿で神々の王ゼウスと冥界の王ハデス、海洋の王ポセイドンが頭を抱えていた。
3つの大国による“勇者召喚の儀”に、軍神アレスと戦略・知恵を司る神アテナが肩入れし勝手に異世界から召喚をしてしまった為である。
その上 異世界で転生するはずの御魂まで連れて来た挙げ句に、下界へと投げ捨てると云う神に在るまじき行為には頭を抱えるしかなかったのだ…
『して!どうするよゼウス!』ハデスは問う
『どうするも、神の勝手は王たる儂の責任じゃろて!』ゼウスは苦虫を噛み潰す様に顔を顰めて答える。
『儂はの、帝国や王国に皇教国なんぞの人間達のエゴには程々愛想が尽きたぞ!』とハデスが言う……元々ハデスを崇めるのは魔族と一部の獣人族で3大国から迫害を受け続けている事にハデスは怒りを覚えていた……。
『起こってしまった事をとやかく言うても仕方があるまい!ソレよりも此の後どうするか?じゃろ!』ポセイドンがハデスに言う……
『やはり創造神にお伺いを立てるしかあるまい?』ポセイドンの言葉に頷くゼウスとハデス、『その為に儂を呼んだのじゃろ?』とポセイドンが続けた……。
ポセイドンは、創造神ガイアとを繋ぐ神器“八咫鏡”を持っており、事と次第を創造神に委ねるしかないと考えていた、その為にゼウスは呼んだのだろうとも……
ポセイドンは八咫鏡を出し柏手を打って問いかけた『畏み畏み申す!創造神ガイアよ御身奉りて我前に示し立て祀りて申す!……。』宮殿の王の間に虹色と金の光が螺旋を描き、創造神ガイアの姿が現れた。
『久しぶりですね!ゼウス・ハデス・ポセイドン…』ガイアの笑顔の呼びかけに答えたのはゼウスである。
『御機嫌よう創造神ガイア!今日は折り入ってご相談が…… 』
ゼウスは事の顛末をガイアに告げた。
『そうですか…… アレスとアテナが…… 』ガイアの言葉の後しばらくの沈黙が続く…ゼウスは自身への叱責も覚悟し答えを待った。
『召喚した者を戻す事は難しいですねぇー!神と下界の者との契約後ですから……また、神々が与えし力を下りた後に書き換えも出来ませんねぇー!』
ガイアは目を瞑り考える……
再度の沈黙の後ガイアが口を開く。
『召喚者と共に渡って来た転生者は神の力は授かってないのですよねぇー!』ガイアの問いにゼウスが答える。
『はい!神の力は授かっておりません!異界を渡った者が得る力のみかと思います!』
『それは良いですねぇー!』ガイアが笑顔で答え、話を続ける
『解りました!今回の件、私が解決させましょう!直ぐとは言えませんが、遠からず解決する様に計ります!追って顛末は伝えますねっ!』
ガイアの笑顔の言葉に胸を撫で下ろすゼウス達であった。