プロローグ
自室で本を開き、ペンで何かを書いている青年。
整った顔立ちにスラリとした体。誰がどう見ても好青年と言えるだろう。
ただそれはあくまで見た目の話。
コンコン。
ドアの先からノックが聞こえる。
「マスター、ご準備が出来ました」
その声で青年は書いていた本を閉じ、ドアへと向かう。
そしてドアを開けると二人の少女が。
「全く、こんな日までダラダラしてるんじゃ……。あんたにしては珍しいわね」
「マスターはやる時はちゃんとやるんですよ。それにしても今日は晴れて良かったですね。式典日和です」
「まっ私たちの日頃の行いが良いからよ。そうよね?」
頷く青年。
そしてそれを見た少女たちは少し不安そうに見つめる。
「な、何よ。もしかして緊張してるわけ?」
「珍しいですね。マスターが」
どうして分かったんだという顔をしていると。
「マスターの事なら何んでも分かりますよ」
「そうよ、長い付き合いなんだし。それに……」
とびっきりの笑顔で二人は。
「私はーーーーーだからよ」
「私はーーーーーだからです」
そう言って二人は先へ歩いて行った。
不意をつかれた青年はその場で放心状態に。
青年は昔の事を振り返る。
ああ、数年前もこんな事があったなと思い返す。
(俺はあの頃より彼女たちに相応しい男になれただろうか?)
そんな自問自答を繰り返しても答えが返ってくる事はない。
もう一度部屋にある本を見る。
(この本も今日は無理だがいつか渡す事が出来たら……。さてそろそろ行くか)
部屋を出て行く青年。
そして部屋には風が入り本のページが捲られていく。
最初のページには……。
『これは一人の探偵と二人のロリメイドの物語』
「お待たせ、二人共」




