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20話『私の初恋』

最終話まで毎日、投稿していきます。



 貴女がいてくれてどれだけ私が救われていたか。



 -------------------------



 ディアマンテ様はこの約1ヶ月、食事以外の時間でも毎日私の元を訪ねて来てくださる。

たわいのないこと、政務のこと、事件のこと、色んなことを話す。

この時間をとても楽しみにしてる自分がいる。


「オパールが国を出る日が決まった」

たわいない会話が途切れ、次に聞いたのは来てほしくないと願ってしまうくらい、現実逃避していたことだった。

「そうですか…」

そう答えるのが精一杯だった。

「…オパールに会いたいか?」

「!会えるのですかっ!!」

俯きかけていた顔を上げてディアマンテ様に詰め寄ってしまった。

驚くディアマンテ様に気づき、距離をとる。

「本当はダメなんだがな。特別だ」

「ありがとうございます!!」


 その日はあいにくの空模様だった。

元伯爵領で謹慎生活を送っていたオパールは前日に伯爵領から国境近くの街まで来て、一泊していたらしい。

オパールには監視目的で騎士がついており、監視からの連絡で私たちはオパールがいる街までディアマンテ様の魔法の鍵を使って向かった。


「大丈夫か?」

「はい」

私はディアマンテ様の手を取りながら街の外れにある扉から出た。

お忍びということで私とディアマンテ様は平民が着ているような服を着ている。

とはいえ、ディアマンテ様はとてもだが平民には見えない。

よくて裕福な家の者と言ったところだ。

「オパールたちは天気の回復を待って、宿屋にいるらしいが…」

そう言うとディアマンテ様は空を見上げた。

空は灰色の雲で覆われている。

地面が濡れていて、所々に水溜まりが出来ていた。

さっきまで激しく雨が降っていたのだろう。

「雨が止んでいますし、出発したかもしれませんね」

「そうだな。早速向かおう」

「はい」

私とディアマンテ様はオパールがいるという宿に急いで向かった。


 宿屋の近くに着くと見慣れた顔が宿屋から出てきた所だった。

「…オパール」

私が小さくそう呟くと彼女の目が私たちを捕らえた。

「!?」

オパールのモスグリーンの瞳は大きく見開き、みるみる内に涙があふれてくる。

気がつくと私はオパールの元に駆け寄っていた。

彼女の涙を拭う。

「っ、なぜ…」

オパールの瞳からぼろぼろと涙がこぼれる。

「貴女に会いに来たの。だって私、貴女にまだお別れを言えていないんだもの」

泣きそうになるのを堪えて、笑ってそう答えると、オパールは顔を両手で隠すようにして、ますます泣いてしまった。

「オパール。ありがとう。私、貴女がいてくれて本当に心強かったのよ。私の侍女になってくれてありがとう。大好きよ」

つぅと頬に涙が流れてしまった。

「わ、私も。私もルチル様をお慕いしています。ルチル様のお側に使えることが出来、幸せでした」

嬉しくて、嬉しくて、オパールを抱きしめた。

「貴女の幸せを祈っているわ」

そう伝えるとオパールは戸惑っていた手を私の背中に回しギュッと手に力を込めた。

「私も。ルチル様の幸せを祈っております」

「ふふ。ありがとう」

気がつくと空は晴れ渡り、虹が出ていた。


 オパールは息子と義理の娘たちと、オパールのいとこが嫁いだ国に行くことになったらしい。

「本当は私だけ国を出るつもりだったんです。息子も娘たちも何の罪もありませんでしたし。当主代理を務めてくれることになった、いとこも子供達の面倒を見ると言ってくれましたし。でも、息子がもう離れ離れは嫌だと泣き叫びまして、仕方なく息子だけでも連れて行くかと思っていたのですが、それなら自分たちも一緒に行くと娘たちが言い出しまして…。気づいたら子供達全員と国を出ることになっていました」

オパールは困ったように、だけど少し嬉しそうに、そう笑って話してくれた。

「心強いわね」

「はい」

オパールは嬉しそうにはにかんだ。


「オパール。そろそろ出発した方がいいそうだ」

私たちから少し離れた場所にいた殿下がそう声をかけた。

「…はい」

オパールの声に寂しさを感じた。

「ルチル様、最後に一つだけよろしいですか?」

オパールは私にそう言った。

「何?」

「元婚約者候補の方々から色々と私に関することを聞いたかと思います」

「…えぇ」

「私がディアマンテ殿下の補佐をしていたことや、次期王太子候補に推されていたこと。私が殿下をお慕いしていたこと。どれも本当のことです」

心臓がドキリと音を立てたような気がした。

「ですが、どれも過ぎたことです」

オパールは微笑んでそう言った。

「結婚が決まってすぐ殿下に想いを伝え、私の想いには応えられないとお返事をいただきました」

「そうだったの…」

「はい。まぁ、最初から答えは分かっていのですがね」

オパールは困ったようなそんな表情で笑った。

「殿下がオブシディアン様の為にも妃を持つのを出来るだけ先延ばしにしていたのも。殿下に想い人がいらっしゃることも。その方はディアマンテ様だけではなく、ディアマンテ様が大切に思っていらっしゃる方々も助けた方なんですから、どう頑張っても敵うはずがありません」

オパールは柔らかな笑みを浮かべ空を見上げた。


 オパールも知っていたのね。

ディアマンテ様の想い人のこと。


「あの時、私の初恋は終わりました」

オパールの視線の先にディアマンテ様がいらっしゃった。




明日は20時に投稿予定です。

よろしくお願いします。

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