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R18:エロゲ声優歴30年の男

作者: 村雨吾妻

 物心つく前には演じていた。

 両親は普通の会社員だったのに、祖父のコネを使って演者の世界に足を踏み入れていた。


 私の名前は、七瀬あおば。

 今年で35歳になる、成人男性だ。

 そして、芸歴30年の業界最古参の女性・・エロゲ声優でもある。


 芸名は、一ノ瀬楓子。

 年齢非公表。


 きっかけはいつだろうか。

 30年ほど前、5歳だった私が初めて訪れた演者の現場は、ラジオドラマの録音だった。

 当時のラジオ業界は、とあるラジオドラマがヒットしたことでラジオドラマブームの真っ只中だった。

 あるラジオドラマが子役の演者がほしいということだったのが、ドラマのプロデューサーと近所付き合いをしていた私の祖父が当時流行っていたアニメに夢中で声優の仕事に興味を持っていた私を彼に紹介してくれた。

 本来なら、どこかの劇団に所属する子役に依頼をすべきところを、私がアニメのキャラクターのマネをして色々な演技をしている所を撮ったビデオを見たプロデューサーが私を気に入ってしまいなんのオーディションもなく抜擢された。

 しかも、そのラジオドラマが予想外の大ヒットを記録してしまい、その後何本も演者としての仕事を頂いた。

 私は、演者の世界というのがどういったものかよくわからいながらも、必死に夢中に演者の仕事にのめり込んでいき、演技の実力を身に着けていった。

 そして、ある仕事が私を一躍有名にした。

 当時、ある映画の撮影現場でトラブルが発生していた。

 映画の内容はこうだ。

 ラジオドラマ制作をしている現場のプロデューサーが企画で素人から演者を一般公募してラジオドラマを作ろうとする。しかし、公募で集まった演者は一癖も二癖もある素人ばかりで…という内容だ。

 主人公は子持ちの主婦なのだが、映画の監督のアイデアで実際に主人公の演技素人の女性を素人オーディションで選ぶことになった。

 それで選ばれた、主役の女優なのだが、まあ、日常パートの演技はできるのだが、ラジオドラマパートの演技が素人だからどうしてもできない。

 主役の女優を選び直すか、ラジオドラマパートだけ差し替えるか、といったところだった。

 その当時、私はラジオドラマでブイブイ言わせている実力派子役声優、といったところだった。

 だったので、その映画の話は私の方にも流れてきた。

 そして、言ってしまったのだ、「じゃあ、その女優さんの声私がやります」と。

 そして、何を言ってるんだ、本当にできるのか、できるのならやってみろ、とすったもんだの末、無事映画はクランクアップ。

 ラジオドラマパートどころか、日常パートまで、主役の女優の声を私が吹き替えた。

 もちろん、主役の女優さんの落ち込みようは凄まじかったが、私がちゃんと主役の女優さんの声で演じていたので、逆にラジオドラマ声優ってすごいんですねと涙目で感心された。

 私は、その映画の仕事のお陰で、男児から主婦まで演じられる超実力派声優と言われるに至ってた。

 そして、その一件から私にアニメのヒロインの仕事が舞い込むようになってきた。

 と、同時にグレーな仕事が舞い込む様にもなってきていた。

 そう、エロゲのお仕事だ。

 当時から私は男児から主婦までこなす七色の変幻自在の声と言われていたため、アニメのヒロインを演じる傍ら別の声色でエロゲのヒロインを演じても全然ばれないのだ。

 そして、縁あって所属していた声優事務所の所長がこれまたグレーな人でバンバンエロゲの仕事をとってくるのだ。

 私は、幼稚園と小学校の計8年間、アニメのヒロインを演じながら、エロゲのヒロインを演じ、ゴールデン枠の国民的に人気子供向けアニメの主役の男児を演じるといった生活をしていた。

 しかし、中学生になったあたりから、あまりに仕事がハードになったため、子供向けアニメの主役の男児を交代し、アニメとエロゲの仕事に絞っていった。

 高校卒業までは、そのスタイルでやっていたのだが、来てしまったのだ。

 顔出しブーム。

 それまでの、声優業界は一部の人気声優さんを覗いてほとんど顔出しをしていなかった。

 美少女・美少年を演じている声優たち、ほとんどの人が一般人と変わらないくらいの凡人顔。中にはお世辞にも容姿が優れない人もいる。

 声がいいだけに、実際の顔を見たらがっかりするファンが多かった。

 美少女ヒロインの中身が、小太りのおばさんとか。

 しかし、私が高校生になるくらいから、若い女性声優さんをアイドル売りする事務所がちらほら出てきた。

 やってきたのだ、声優にも容姿の良さが求められる時代が。

 そして、お世辞にホワイトと言えない事務所の所長が、私のも顔出しする様に言ってきた。

 幸か不幸か、子供の頃からどこからどうみても女の子にしか見えないと言われ続けてきた程の女顔と華奢な身体。

 35歳の今でも、都心で買い物をしていると芸能事務所のスカウトに遭うくらいの優れた容姿。

 はっきり言って、すっごい美少女、私。

 所長は、性別を偽って新人女性アイドル声優として私を売り出すつもりだった。

 もちろん、断った。

 しかし、断ったら今まで未成年でエロゲに出てたことをバラすと言われお世話になったエロゲ会社さんに迷惑をかけるわけにも行かず仕方なく、女装して新人アイドル声優森崎菜乃花としてデビューした。

 とまあ、大学4年間+卒業後2年間は我慢した。

 その間、エロゲの仕事は一切なし。

 しかし、グレーな仕事をする所長は助長してブラックな仕事に手をだして、逮捕された。

 事務所は解散。

 週刊誌にはあることないことバンバン書かれた

 私は、事務所を移籍して、表舞台からは姿を消した。

 まあ、メインをエロゲの仕事に移しただけなのだが。

 それから、10年以上経て、私は女性エロゲ声優、一ノ瀬楓子として活動して糊口をしのいでいる。

 エロゲ声優としての芸名、一ノ瀬楓子は5歳の頃からずっと使っているため、芸歴30年の女性エロゲ声優というヤバい経歴になってしまっているのだ。

 ま、35歳のおっさんが女性エロゲ声優として活動して、「お○んぽしゅごいのぉ」とか「らめぇ!おかしきゅなっちゃうぅ!」とか言ってるのもソートーヤバいのだが。

 

試作です。

なんかアイデア降ってきたので。

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