表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/25

神の墜落

「何が、何が悪かったと、言うのですか……。何を、間違えていたと、言うのですか……」


 廃墟と化した場所で、オールグローリアは佇んでいた。〈機鋼都市連合〉と〈グロリアス正教〉だけでは無い。このタイミング、いや、初めからそんな筋書きだったのだろう。〈赤光王国〉の部隊が攻めて来て、〈エリヤ協会〉の交戦的な派閥も、攻めてきた。


「どうして、こんなにも、正しくは無いのでしょう……」


 三つの勢力を相手取る事になった〈機鋼都市連合〉は、なりふり構わず強力な兵器を使うようになった。オールグローリアは守りに徹していたのだが、それでも、数を対処する事は出来ない。最終的に、数え切れないほどの爆撃を受けて、敵味方無差別に、壊滅してしまった。


「いったい、私はどうすれば良かったのでしょう……」


 何もかも破壊つくされた廃墟の中、呆然と立ち尽くすオールグローリアの元へ、一体の存在が近づく。その気配に、視線を向けると、見覚えのある存在が立っていた。


「オールグローリア」


「メビウス様……!」


 光り輝く、神聖の管理者としてのメビウスが、無表情でオールグローリアを見つめている。色々と問いたいことは多くあったが、言葉が出ない。そして、静寂の時間が流れ。


「貴様は、何をしていた」


「私は……」


「貴様が、その気になれば〈機鋼都市連合〉を滅ぼすことは可能だった。しかし、それをしなかった。その結果がこれだ」


 オールグローリアは守りに徹していた。相手の装備を遠くに投げ飛ばしたり、攻撃されそうな信者を護ったり、飛んできたミサイルを上空で爆破させたり。だが、その力を攻撃する事に使っていれば、少なくとも、戦いは長期化しなかった、もっと生存者は多かった筈だ。


「ですが、私は……! 誰かを害する事を正しいとは思えないのです!」


「貴様は、〈エリヤ協会〉との繋がりを知っていた。その繋がりを断っていれば、この戦いに〈グロリアス正教〉が参加する事は無かった」


 そもそも〈機鋼都市連合〉に戦いを挑む事になったのは、三つの勢力が結託したからだ。〈赤光王国〉は領土的な野心を持っていたが、力の差を理解していたから静かにしていただけだ。〈グロリアス正教〉の信者たちは適応できなかった者達、恨みを抱いてはいたが、力が足りなかったから何もできなかった。しかし、それを〈エリヤ協会〉が繋ぎ合わせたと言っても、過言ではない。


「ですが、それはメビウス様が……」


 だが、レイトアの言葉を信じるのであれば、この戦いを引き起こした黒幕は、メビウスと言っても良いのだ。一体何を考えているのか、オールグローリアには全く分からない。


「確かに、私がこの戦争を引き起こした」


「何故ですか! 何故このような事を!」


「では、聞こう。何故私がこのような行動を起こしてはならないのだ? 我らは正しさを求めなくてはならず〈機鋼都市連合〉が間違った存在であるとするのならば、何故私が行動してはならない」


 メビウスの言っている事は、詭弁とも言えるかもしれない。だが、それをオールグローリアは言い返す方法を持っていなかった。神聖の管理者は、正しくなくてはならないのだ。それは、従者も同じ事なのである。


「私は……、どうすれば良かったのですか……?」


「貴様は何もしていない。我らは正しくなくてはならないが、正しさとは何だ、間違いとは何だ。そんなものを、誰が判断すると言える。私の正しさは、私が判断している。貴様の正しさを判断する存在は、何処に居る」


 神聖の管理者は正しい存在である。だが、その正しさを判断する存在は居ないのだ。簡単な事だっただけの話、邪悪の管理者であるイニシエンとの違いは、間違っていると解っていても行動できるか、ただ、それだけの違いでしか無かった。


「私の、正しさですか……」


「貴様の、人を害さないというのも、貴様の正しさでしかない。本当の正しさに囚われているつもりでいたとしても、所詮はその程度だったという事だ」


「そうですか、私は、私の正しさを、既に振るっていたのですね」


 オールグローリアは思い出した。グレスアの在り方を、あの傲慢な在り方を。もしかしたら、それ以上に、これは傲慢な事なのかもしれない。だんだん、絡まっていたものが解けていく、そんな感覚がしていた。


「だが、それは、他の存在にも同じことだ。故に、戦いは止められない、争いが起きる。貴様がどれだけ自身の正しさを振るおうと、力なき信念はただの虚像だ」


 それだけを言うと、メビウスは静かに去っていった。一人残されたオールグローリアは、異次元の穴を開く。そして、行動を開始する。自身の正しさを証明するために、全ての存在を救済するために、慈悲の存在は力を振るう。


「安心してくださいメビウス様。私は、全ての人を救済して見せます」



……


「ククッ……レイトア、利用された感想はどうだ?」


「俺が、利用だと?」


「貴様の行動は把握している、情報を流せば、どう動くかも予想の範疇。オールグローリアの成長の糧として、大いに役だった。だがな、これ以上の干渉は私にとって不都合。役目を終えた人形は、舞台を降りるべきだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ