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神の崩壊

「解りました。私はメビウス様の真意を問いに行きたいと思います」


 迷っていたオールグローリアであったが、考えに考えを重ねた末、直接会って本当の事なのか、そして、本当であればどうしてなのかを、問い質すことに決めた。結局それくらいしか出来ないと言う事でもある。


「それなら。少し待ってくれないかな?」


「どうしたのですか?」


「いや、そんな強引に行ったら問題になるんじゃない?」


 オールグローリアが異次元の穴を創り出し、さっそく動き出そうとしたところで、レイトアに呼び止められた。確かに〈赤光王国〉はイニシエンの影響下であり、認識されている〈エリヤ協会〉なら兎も角、全く関係の無い存在が直接入り込むのは問題が起きるかもしれない。


「そういえば、そうですね。どうしましょうか」


「こうなるとは思ってたから案内役を呼んでおいたよ。そろそろ来るんじゃない?」


 レイトアは案内役を用意していたらしい。噂をすればという事なのか、丁度良いタイミングで一人の女性が訪れた。オールグローリアは少しばかり考え込んで、記憶の中からその人物の名前を引っ張り出す。


「貴方は、ディーアさんですね?」


「はい、そうですよ。久しぶりですオールグローリア様。そして、レイトアさん? 何故私が呼ばれたのでしょうか? 納得できる答えを頂けませんか?」


 ディーアの表情はとてもにこやかではあるが、その言葉には圧を感じる。呼び出したは良いものの、レイトアはしっかりと説明をしていなかったようである。それでもちゃんと来るあたり、真面目なのだろうと思われる。


「ここに居るオールグローリア君を〈赤光王国〉に連れていってくれない? メビウスに会いたいんだってさ」


「どうして〈赤光王国〉にメビウス様が居るのかといった事や、何故私なのかという疑問があるのですが? 貴方が行けば良いではありませんか」


 ディーアの言葉はごもっともである。レイトアは一応〈赤光王国〉の関係者であるのだから案内ぐらいは出来るはず。それなのに自分は動くつもりが無いらしい。メビウスの関係に関しては、説明するのが面倒だったのかもしれない。


「メビウスの事に関しては本人に聞いてよ。俺達だってちゃんとわかってる訳じゃないんだから。それとね、俺は一応〈赤光王国〉の関係者だからだよ。もし〈グロリアス正教〉の中枢を連れて来たのがバレた場合、面倒な事になるからね」


「あぁ、確かにそうかも知れないですね。オールグローリア様が一人で向かうのも問題でしょうし」


 完全に〈赤光王国〉の関係者となってしまっているレイトアに比べ、同じイニシエンの従者であったとしてもディーアは完全に孤立している。最悪の場合が起きたとしても、面倒な事にはならないだろう。面倒な事にしてしまえのは、管理者本人よりも周りの奴らなのだから。


「と言う訳だから。お願いできるよね?」


「お願いします。メビウス様の真意を知りたいのです」


「……。解りました。私で良ければ、協力しましょう」


 迷っていた様子のディーアであったが、どうやら頼まれると断り切れない性格らしい。そういった所も踏まえて、レイトアは人材を選んだのかもしれない。グレスアであれば、どれだけ頼み込んだとしても頼みを聞いてはくれなさそうだ。


「ディーアはさん、ありがとうございます」


「今回だけは、仕方がありません。レイトアさんには言いたいことが多くありますが、この場は飲み込んでおきましょう」


「俺はここで留守番をしておくから後の事は安心してよ。君達が帰ってきたら、即行で帰るけどね」


 笑いながらそう答えるレイトア。本人の目の前で逃げる宣言をするという、堂々としているのかふざけているだけなのか、なんとも言えないが、ディーアとしては頭の痛い事態である。もしかしたら、身勝手な同僚達に振り回されているのかも知れない。グレスアとか、ギレーアとか、確かに一筋縄では制御でき無さそうであるし、イニシエンは制御しようとするような性格ではない。


「……。私が見逃す訳が無いでしょう? 安心してください、何処に逃げようと捕まえに行きますから」


「俺を本当に捕まえられると思ってるの? だとすれば、とても面白い考えをしてるんだね!」


 ディーアの穏やかそうな表情が固まる。見た目は怒っているように見えないが、これは確実に激怒しているだろう。オールグローリアとしてはこんな所で喧嘩されては困る。また部屋の中を荒らされてしまうし、これでは何時まで経っても出発が出来ない。


「ディーアさん。私の目的が果たされ次第、レイトアさんを捕まえる事に協力しますから、そろそろ行きませんか?」


「すみません、私としたことが、冷静では無かったようです。貴方に協力して頂けるのであれば、心強いです」


 レイトアはとても不満そうにしているが、こればかりは自業自得と言えるだろう。折角情報を教えたのに、とか、協力してあげたのに、と呟いているが、答えずにオールグローリアとディーアは〈赤光王国〉へ向けて出発した。


「俺を捕まえる余裕がある訳無いだろ? 初めから全部持ってるとかふざけている。少しくらい地獄を見ても良いだろ。悪意の恐ろしさ、味わえよ」


 一人残されたレイトアは、それだけを呟くと、自身の姿を変える。そして、オールグローリアの部屋から出て行った。グロリアス正教の信者たちの元へ、向かっていく。

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