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神の困惑

「お前は何を考えている、俺達に関与する必要性はない筈だ」


「ふむ。君に理由を話すつもりも無いが、行動を改めるつもりもない」


「二人とも、落ち着いてくださいよ」


 オールグローリアはどうしてこうなってしまったのか回想する。ディーアとギレーアが去ってから数日。偶然なのか神のイタズラなのか、それともどちらかの意図的なのか、グレスアが来ていた所に、ハイドワンエルもやってきて、今に至る。


「オールグローリア、こいつは何か起こったとき、お前を都合良く動かしたいだけだ。そんなものに関わる必要はまだ無い」


「否定はしないとも。だがね、私はそれを受け入れるつもりは無い」


 一触即発の雰囲気である。ハイドワンエルは腰に付けた剣を何時でも引き抜けるようにしているし、グレスアに至っては武器である斧を既に持っている。オールグローリアとしては、どうでも良いから仲良くして欲しいものである。


「余計なものに触れさせるな、こいつにはまだ時間が必要だ」


「ふむ。理解はしよう。だがね、私は受け入れないのだよ。どうしてもと言うのであれば、存分に抗いたまえ」


 その瞬間、ハイドワンエルの姿が掻き消えた。そして、まるで瞬間移動をしたかのように、グレスアの背後に現れ、剣を振るう。存在を希薄にする権限と、一歩で長い距離を移動できる権限を組み合わせることによって、そのような芸当が可能になっている。


「やれやれ、気が早いのではないかな?」


 ハイドワンエルの剣が首を撥ね飛ばそうとした瞬間、グレスアも瞬間移動をしたかのように、その位置がすこしずれる。そのため、剣は首を飛ばす事無く空を切った。従者は基本的に二つの権限を持っている。在り方から生じる権限と、世界を管理するものとしての権限。この超短距離の瞬間移動のようなものは、後者の権限だろう。


「……簡単にはいかないか」


「ふむ、当たり前だろう? 次は私の番だな? では、立ち止まりたまえ」


 ハイドワンエルの動きが止まる。グレスアの支配の言葉は、発動が簡単な代わりに、数秒も効果が持続しない。それでも、斧を振るって相手を切断するには十分な時間だ。一歩で長い距離を移動する権限も、動けなければ使用することは出来ず、逃げられない。


「それで、俺が終わったと思ったか」


 グレスアの振り下ろした斧は、確かにハイドワンエルに命中した。だが、怪我ひとつ無いどころか、手応えさえもなく、まるで空気を切っているようであった。何故なら、存在を希薄にする権限を強め、物理干渉を受けにくくしていたからだ。


「ふむ。なるほど」


「俺にお前の攻撃は当たらない。そう、無意味だと理解したか」


 一見は無敵にも見える存在を希薄にする権限だが、ハイドワンエルにとっては諸刃の刃なのだ。存在の希薄化とは、下手すると存在の否定に繋がりかねない。そして、それは魂を持たない存在にとっては、致命傷となり得るといえるのだ。


「ふむ。確かに無意味かも知れないな。だがね、私はそれを受け入れないのだよ。引き続き、抗いたまえ」


 希薄化の欠点もあり、戦いを長引かせたくないハイドワンエルであったのだが、その思いを知ってか知らずか、グレスアは引くつもりは無いらしい。そもそも、最初に仕掛けたのはどちらなのかと言うところでもあるが、最早その辺りを気にする存在は居ない。


「本当に、いい加減にしてください!」


 ただ、この状況を良く思わない存在はいたらしい。オールグローリアからしてみれば、始めから蚊帳の外であり、訳も解らず二人が争い始めたのだからたまったものではない。実力行使とばかりに神の糸を放ち、両者の武器を支配する。こうなってしまえば、糸の支配を解くまで動かすことさえも出来ない。


「待て、オールグローリア。俺は…」


「言い訳は聞きません!」


 神の糸による支配を受けたものはオールグローリアの思い通りに動かすことが出来る。糸そのものは丈夫では無く、簡単に断ち切れてしまうので、そうなる前に糸を手繰り寄せ二人の武器を回収した。因みに、支配できる数は制限がある、というより、まるで操り人形のように操作する為、腕が二本しかないのだから二つまでというのは、当然の摂理である。


「ふむ。そうか。だがね、私は私の考えを変えるつもりはない。気に入らないというのであれば、その度に抵抗したまえ。君の傲慢さでもって、私の傲慢を打ち破ると良い」


 武器を奪われたグレスアは、これ以上争いを続けるつもりは無いらしい。言いたいことだけを言ったあと、そのまま出ていってしまった。懲りずに今まで通り、勝手に動くのだろう。


「オールグローリア、気を付けろ。奴は奴なりに考えているのかもしれない、だが、それがお前にとって良いものとなるのかは、解りはしない。選択することを忘れるな」


 ハイドワンエルもまた、言いたいことを言った後。そのまま凄い速度で居なくなってしまった。どちらにせよ身勝手な人達ばかりである。そして、オールグローリアに余計なものまで残していったのだ。


「好き放題して帰っていくのは、いつもの事なんですけど、これ、どうしたら良いんですか?」


 残された二人の武器は、オールグローリアにとっては重すぎる無用の長物であり、物騒な邪魔物でもあった。とりあえずは、早急に取りに来てと願うばかりである。

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