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神の接触

「グレスアから話は聞いている。俺はレイトアだ、よろしくな」


 この前のグレスアの話の通りに、イニシエンの従者が二体、オールグローリアの元に訪れた。その内の一人であるラギ・レイトアは緑色の眼が特徴的な、にこやかに笑う好青年といった所だろうか。安定はしていないらしいが、不安定にも見えない。


「私がオールグローリアです。レイトアさん、よろしくお願いします。ところで、もう一人の方は、グネデアさんでしょうか?」


「うん。ちょっと眠そうにしているけど、本人に悪気は無いんだ」


 レイトアの隣にいたのは、長身でいかつい風貌の男。腕を組み、目を閉じているのだが、そもそも起きているのだろうか。ちょっと眠そうにしているどころか、寝ているのではないかとオールグローリアは心配になってしまう。


「ネミィ……。俺は権限の関係で、あまり動けないだけだ。気にスンジャネェヨ」


「まだ権限の方向性が定まってない弊害らしいよ。俺は嫉妬で、グネデアは怠惰。どうも〈外部〉における欲望の形が元ネタらしいね」


 グネデアが怠惰というのは何となく理解できるが、レイトアの様子を見る限りは嫉妬というイメージが沸かない。因みに、イニシエンの従者には蝙蝠のような黒い翼と、黒い尻尾と、角があるのだが、それらは変身によって消すことは出来ないらしい。グレスアは衣服で上手い事隠していたが、この二人に隠す気は全く無いようだ。


「グネデアさんは分かりやすいですけど、レイトアさんは何か影響あったりするのですか?」


「俺は特にないね。ただ、やっぱり自分自身の〈在り方〉を見出さないと〈権限〉を扱うことは出来ないから、このままで良い訳では無いんだよね」


 そう言いながらレイトアは笑っている。あまり深刻には考えていないようにも見える。そんな様子をグネデアは薄く目を開き、じっと見つめている。そして、ぼそりと、口を開いた。


「理解から始まンダヨ……。混濁飲みこめてネェダケダ」


「うん? グネデア、何か言った?」


「何も言ってネェヨ」


 そう言うとグネデアは目を閉じてピクリとも動かなくなった。本当に寝ているのではないだろうか。それにしても、何かを伝えたがっていたようにも見えたが、オールグローリアは自身が干渉していいものとも思えなかったのでスルーする事にした。


「グレスアさんは〈権限〉をしっかりと扱えるみたいですが、他の人達ってどんな感じなんでしょうか」


「グレスアの他には、ファーアが扱える位だね。ディーアは感覚を掴めてきたとか言っていたから、近い所にまで来たのかもしれない」


 更にその下の順番を決めるとするならば、次がグネデアで、レイトア、ギレーアと続き、アストアはもはやそれどころでは無いとも言える。たどり着けないことは無いだろうが、それがいつになるのかは全く見通しが立っていない。


「ファーアさんの〈権限〉というのはどのようなものなんでしょうか」


「とりあえず〈権限〉の大元が暴食としかハッキリとは知らないんだよね。聞き出そうと思っても、何を言っているのかよくわからないし」


「不思議な人なんですね」


「不思議なんてものでは無いよ」


 レイトアが言うには、ファーアは創られたその時点で自身の〈権限〉を見出し、把握していたらしい。折れない自我がどうとか言っていたグレスアであっても、自身の〈権限〉を見出すのには三桁では足りない程の年数が必要であったらしく、それを考えると異常と言ってもいいほどであるのだ。


「なるほど……。考えてみれば、すごい事です」


「流石に理不尽に思うよ。俺達が掴めないものを、初めから掴んでいたかのように振舞われるのはね」


 相変わらず笑顔のレイトアではあるが、何となく、その表情に影を感じた。とは言え本当に何となく程度のものであり、オールグローリアは一瞬気にしたが、すぐさまにその記憶を忘却の彼方へと追いやったのであった。


「しかし、暴食ですか。少なくともグレスアさんとは違う方向性の力にはなりそうですよね」


「うん。多分だけど自分自身を強化するようなものだと予測してる。そういえば、オールグローリアはグレスアと同じ支配系の力なんだよね、どっちの方が強いとかあるの?」


「どっちが強いとは、ハッキリ言えないですね。状況によってとなってしまいます」


 グレスアの持っている〈権限〉である支配の言葉は、瞬間的には強力なものであり、抗う事が難しい反面、効果が持続しないので永続的に操る事は不可能である。それとは逆にオールグローリアの〈権限〉である支配の糸は、対象に自我があれば抵抗されやすいものである。ただ、一度影響を受けてしまえば、その効果は糸を切られない限り永久的に続くのだ。


「それもそうだね。それなら次の質問良いかな。こっちも答えたんだし、良いよね?」


「はい、良いですよ」


 それからレイトアはいくつかオールグローリアに質問したり、雑談したりした後。気づいたら完全に寝ていたグネデアを叩き起こし、帰っていった。薄ら笑いを浮かべながら。


「……。全てが上手くいくと思ったら間違いだ、少しくらい挫折を受け入れないとね。それとも、取り巻く悪意に気づいて対処できるのかな。俺の見た感じだと無理そうだけど、精々頑張ってくれよ」

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