文月の手帳【 ver2.0 】
さて、学生大戦も終わりひと段落したところで新たに見つかった特質を記述していこうと思う。
まだまだわからないことが多いが、羽柴先生の情報から何か掴めるかもしれない。
“特質”と“神憑”
呼び方の違いだけではない気がする。今回から能力によって分類していこうと思っている。
元々、体質とか生まれつき備わってそうな能力は特質。
取り憑かれてそうな奴、人間離れした異能力などは神憑。
………と言った具合だ。あくまで僕の個人的見解のため絶対に正しいとは言い切れない。
“ ver1.0 ” で既に書いてある特質持ちも新しいことがわかれば更新する。
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No.01
【名前】新庄 篤史
【種別】特質
【能力】轟
【概要】
僕が昔、造った莫大な電力を纏い絶大な破壊力を誇る金属バット“轟”。それを使いこなせる唯一の人間。その威力は僕の造った鬼570体を一撃で屠り、大抵のものを貫ける羽柴先生の紫死骸閃や紫死滅月を打ち消せるほど。なぜ持てるのかは未だに不明。“轟”を手にしてから彼の髪色は黒から金に変化した。莫大な電力と相関があると思われる。現在、この金髪のせいで停学の危機に追い込まれている。
【技】
『カミナリ大根切り』
ただ全力で金属バットを上から振りおろすだけ。剣崎の唾液の相乗効果かもしれないが、この一撃で鬼は全滅し辺りは焼け野原と化した。
羽柴先生も避けずに受けていたら跡形もなく消え去っていただろう。
『ホームランスイング』
野球ボールを打ち返すようにバットを横に振る。当たればほぼ例外なく即死するだろう。球状であれば、はね返すことが可能?
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No.02
【名前】剣崎 怜
【種別】特質
【能力】唾液剣士
【概要】
唾液を自在に操ることができる。唾液の分泌量、成分の調整、その他特殊効果付与などが可能と思われる。
それに加えて妙な剣技を使えることが発覚。水瀬が言うには動体視力も長けており、どんな相手でも止まって見えるらしい。動きを封じる唾液、敵を倒す剣技、優れた動体視力を持ち合わせている彼は近接戦で敗れることはないだろう。
【技】
『粘縛唾液』
粘着性に特化した唾液。これが付着した者は一切の身動きが取れなくなる。何せ僕の鬼が封じられたのだから。
『唾液滑走』
自身の足の裏に唾液を塗りつけ滑走する技。車にも引けをとらない速さで移動する。優れた動体視力を持っているからこそできる芸当。また自動車とは違い急な方向転換、急停止なども可能。
『飽和粘縛電解唾液』
彼が一度に出せる最大量の唾液。それに加わり粘縛唾液と同様の粘着性。そして、この唾液は非常に電気を通しやすい。新庄との連携で使用。
『凝結唾液』
僕の憶測だが、空気に触れると乾燥し固まる唾液。羽柴先生の動きを完全に封じるために使用。硬さによるが、応用すれば攻撃を通さない防壁とかも作れそうだ。
『尾蛇剣舞』
オタ芸のような動きで剣を振り回す。ただ振り回しているだけでなく、優れた動体視力で相手の攻撃が当たらない完璧な間合いを維持している。見た目は不恰好だが真剣を持てば強力な技になるだろう。
『尾蛇剣舞・急所打擲』
尾蛇剣舞の派生技。従来よりも急所に当てることを意識した動き。学生大戦時に使用。剣崎が持っていたのは木刀であったため、通常の尾蛇剣舞では痛めつけることはできても動きを止めることはできなかった。よって彼はこの技を使い、こめかみを強打して相手を気絶させた。
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No.03
【名前】立髪 斬斗
【種別】特質
【能力】モヒカッター
【概要】
両手をこめかみに添え振りおろしながら繰り出す髪の斬撃。地面を抉りながら進むさまは一見、強そうだが威力は鬼のメッキが剥がれた程度。しかし、人質を収容していた鉄の檻は切れたため人に使えば即死は間違いないだろう。
【技】
モヒカッター以外、特になし。
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No.04
【名前】日下部 雅
【種別】神憑?
【能力】放屁師
【概要】
その名の通り、オナラ使い。用途が幅広く激臭のするオナラを出して攻撃したり、オナラを連続的に出して空を飛んだりすることができる。空からの激臭攻撃に僕は為す術なく敗北した。彼がよく言っている“堕天使シリウス”が存在するのなら神憑の可能性がある。
【技】
『昏倒劇臭屁』
超絶に臭い屁を放つ。少しでも吸ってしまえばその悪臭に頭がふらつく。まともに喰らえば一瞬で気絶してしまうだろう。一度放てばしばらく空気中に留まるため、直撃しなくても時間差でじわじわと効いてくる。「人がいなくなるスプレー」みたいなもの。
『宙屁』
放屁の力で空を飛ぶ。この屁は無臭で周りに危害を加えない。つまり、彼は攻撃と移動を器用に使い分けることができる。どれくらいの間、滞空できるのかはまだわかっていない。
『併合型・宙撒布劇臭屁』
恐らく“昏倒劇臭屁”と“宙屁”を組み合わせた技。空を飛び回り、辺り一帯に激臭を撒き散らす広範囲かつ高威力な必殺技。異なる屁を同時に出すこの技は身体に負担がかかるらしい。強力だが連発するのは難しいと思われる。これをまともに喰らった僕は気づけば留置場にいた。
『空襲型・昏睡屁』
日下部に聞いたが、テロリストだと思われているため教えてくれなかった。
昏倒劇臭屁より即効性はなさそうだが、効いてくると眠るように意識を失う。彼の発言から察するに、これを喰らった者は彼が何かをしないと永遠に目を覚まさないと言う恐ろしい技だ。
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No.05
【名前】樹神 寛海
【種別】特質
【能力】緑花王国
【概要】
地面に埋まることで発揮する特質。彼を中心に5mを超える巨大なブロッコリーが広範囲に咲き誇る。最低でも高校全体をブロッコリーで埋め尽くす範囲だ。一見、地形を変えてしまうほどの大規模な特質だが、コンクリートなどには埋まることができない可能性が高い。また、彼のモチベーションに左右されやすいのか七葉高校を襲撃した際、最初は小さなブロッコリーしか生えてこなかった。
【技】
名称のあるものは特になし。
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No.06
【名前】獅子王 陽
【種別】特質
【能力】唖毅羅
【概要】
太陽を直視することでゴリラに変身。普通のゴリラより大きく筋肉質な風貌をしている。身体能力が向上し、獅子王特有の“野生の勘”が備わる代わりに言葉を発することができなくなる。この“野生の勘”のせいで僕の鬼ごっこは台無しにされ、石成高校に襲撃した際は武器の場所を瞬時に見つけ出した。
【技】
『龍滅穿天兜割』
空高く跳び上がり、両腕の拳を叩きつける技。見た目も名前も派手な割には大したことない。僕の鬼に繰り出した彼は手を痛めてしまった。相手が悪いのもある。男虎先生辺りには有効かもしれない。
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No.07
【名前】朧月 悠
【種別】不明
【能力】恐霊
【概要】
神出鬼没。突然現れては消える。独特の雰囲気を放っており、彼を前にするとほとんどの人間が恐怖を感じるだろう。彼には謎が多い。能力的にも特質か神憑か判断するのは難しい。学生大戦時、現れては消えるを繰り返し、彼が現れたときに目の前にいた生徒は倒れていった。現在、左足を負傷し入院中。彼の能力を知るのは先になりそうだ。
【技】
不明。
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No.08
【名前】的場 凌
【種別】特質
【能力】砂かけサッカー兄貴
【概要】
陽キャラ。砂とサッカーボールを主体としたよくわからない特質。投げたり蹴ったりすることに長けているのか、弓矢や無数の紫死骸閃を砂やサッカーボールで相殺。ボールは友達とはよく言ったものだ。彼は右足で自在にボールを操り、石成校長のこめかみを撃ち抜いた。かなりのポテンシャルを感じる能力。彼も朧月同様に負傷し、入院中。
【技】
『砂煙』
砂を蹴り上げ、弓矢の勢いを完全に抑えた技。
『砂嵐』
両手いっぱいに砂を持ち、無数の紫死骸閃を相殺した技。これが相殺できるのなら、銃弾なんかも撃ち落とせるかもしれない。
『ピンボールショット』
1人の生徒の頭にボールを当てると、ピンボールのように跳ね返り複数の生徒の頭にピンポイントに命中させた。しかし、あくまで足元に戻ってくるただのサッカーボール。有効打にはならなかった。
『エイムショット』
狙った場所に確実に当てるシュート。石成の校長のこめかみを撃ち抜いたのは、恐らくこの技。
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No.09
【名前】男虎 勝院
【種別】特質
【能力】龍風拳
【概要】
力、速さ、格闘技術、どれも人間にしては申し分ない身体能力。重りを外した男虎先生と近接戦でまともに打ち合える者はそうそういないだろう。そして、手首を捻りながら繰り出す特殊な突き“龍風拳”は竜巻を発生させる。身体中に穴を空けられたのでほぼ死亡は確定。他にも技があったかもしれないが、もう知ることはできないだろう。
【技】
龍風拳以外、不明。
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No.10
【名前】羽柴 徹
【種別】神憑
【能力】パープルレーザーおじさん
【概要】
あまりに反則的な力なので名前だけでもダサくしてやる。紫色の一筋の閃光を飛ばしてくる。人の身体を容易く貫通する殺傷力の高い技。
【技】
『紫死骸閃』
羽柴先生の基本技。人差し指から殺傷力の高い閃光を放つ。
『紫死骸閃・両腕弐指』
両方の人差し指から同時に放つ紫死骸閃。
『紫死骸閃・虚空拾指』
10本の指、全てから放つ紫死骸閃。これで男虎先生にとどめを刺した。
『超連射』
紫死骸閃を機関銃並に絶え間なく撃ち続ける。どんなに撃とうと何のリスクもなく無限に撃ち続けられる。
『死之殴打』
一応、名前があるみたいだが、僕にはただのストレートパンチにしか見えなかった。
『輪廻転身脚』
これもただの後ろ蹴りにしか見えない。だが、どちらも洗練されていた。格闘技経験者なのかもしれない。
『紫死滅月』
全長10mを超える巨大な球体。当たっていたらどうなっていたのだろうか? 彼自身、奥義と言っていたため、かなりの威力と思われる。しかし、新庄に打ち返されてしまい自身に命中。敗北の要因になってしまった技。
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パタッ
全員の特質や神憑の入力を終え、パソコンの画面を閉じた。
手帳とは言ってもパソコンのメモ帳に記入している。
10人か…。かなり増えたな。鬼ごっこをきっかけに特質を持った生徒が浮き彫りになってきている。
水瀬の面接に落ちた奴の中で1人気になるのがいた。
ここにまだ書いてはいないが、もし…本物なら……。
学校が平和にならない限り、この手帳に書くことは増えていくだろう。
さて、次の作業に取りかからないと…。
ここの囚人生活は基本的には暇だ。そう言いながらも何かと用事ができる。
何の用事かって?
彼女との契約だ。
【 第3章 生徒会編 】
始動。




