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BREAKERZ - 奇っ怪な能力で神を討つ  作者: Maw
学生大戦編
55/270

?????

※本エピソードは三人称視点となります。

_____________________


コツコツコツ………


ここは光が届かず、ほとんど何も見えない場所。


何も見えず、何も聞こえてこないこの場所に1つの足音が反響している。


そして暗闇の中、自身のスマートフォンの光を頼りに進む1人の人物。


その僅かな光に照らされ、青みがかった黒い空間がぼんやりと浮かんでいる。


数メートルほど進んだところで彼は足を止め、片膝を着いてから上を見上げた。



「ご報告いたします」



彼の視線の先には4つの人影。それぞれ違った存在感を放っており、強者の余裕を感じられる。


羽柴はしば様が敗れました。現在、命に別状はないものの負傷をしているとのこと」


この報告を聞いた彼らの1人が動揺し、大きな声で騒ぎだした。


「は? マジかよ! ありえねぇって! シバがやられるわけ…」


「冷静になれ、トミー」


トミーと呼ばれる男のパニックを制止したのは、彼の隣にいた知的かつ冷淡な雰囲気を持つ人物。


知的そうな彼は報告者の方に目を向ける。


「だが、シバが簡単にやられるとは思えない。誰にどうやってやられた?」


「ジミーズと名乗る吉波よしなみ高校の8人の生徒です。恐らくそのほとんどが神憑かみつきかと思われます」


片膝を着いた彼はまだ何かを言おうとしていたが、“8人”と言う数字にトミーが反応する。


トミー「8人!? 一世代に? 多すぎる…。最大級の天災が来るんじゃねぇのか!?」


知的そうな彼は大きく溜め息を吐いた。トミーはいつも落ち着きがなく、騒いでいるのは日常茶飯事だ。


「トミー、話を遮るな。静かにしてくれ。すまない、続きを頼む」


彼はトミーを落ち着かせ、報告者に続きを話すよう促した。


「……はい。ジミーズは第2次学生大戦を3人で制したのち羽柴はしば様と交戦。数人がかりで羽柴はしば様を倒した模様です」


「敗因は? ジミーズに与えられた力はシバを上回るほど強力なのか?」


その問いに報告者は少し考える。自分の見たことを伝えればいいだけだが、相応しい言葉が出てこない。


彼ら4人の前では礼儀をわきまえなければならない。この場で冗談は通用しないのだ。



--良い言葉が思いつかない。ありのままに言うしかないか…。



片膝を着いた彼は思案していたが、嘘を吐くのは良くないと思い、見たことをそのまま伝えようと決意した。


「口では説明しがたいのですが…。ジミーズの1人に紫死滅月デス・スフィアを金属バットで打ち返されて…。それが羽柴はしば様自身に当たり敗北したように見えました」


そう報告する彼の声は震えている。ふざけていると誤解されるのが怖いのだ。


しばらく沈黙の時間が流れた。報告者にとっては永遠のように感じられただろう。


若干の沈黙の後、知的そうな彼が口を開く。


「君が報告でふざけたことは一度もない。その発言、信じよう。下がっていいぞ」


彼の発言に安心した報告者は、深くお辞儀をし、この謎の空間から出ていった。


3人は真ん中にいる屈強な男のほうに向く。


「どうする? 数人がかりとはいえ、シバを倒している。放っておくと脅威になるかも。それに一世代に8人はかなりの数だ。俺たち5人より多いのは今回が初めて…。今後、何が起こるかわからない」


少し焦りを見せた知的な彼に屈強な男は貫禄のある低い声で答えた。


「お前が焦るとは珍しいな、ブルー。まぁ、様子を見よう。彼らが我らに協力するとなれば心強い。敵対関係になるかどうかはまだわからないからな」


「そう言うなら俺は従う。だが、ジミーズが敵になったら俺たちも無事ではすまないかも…。いくらお前が最強の力を持っていると言ってもな」


屈強な男はたくましい筋肉がついた腕を組みガハハと大胆に笑う。


笑った後、真剣な眼差しで彼を見た。


「それよりもずっと気がかりなのは…。お前が数ヶ月前、言っていたあのことだ」


数ヶ月前のあのこととは何か。


それは、ブルーと呼ばれる彼が観測した………












()()()()()()










__________________



その頃、文月ふづきけい水瀬みなせとの面会が終わり、今日も三ツ星レストランの高級料理を食べようとしていた。


文月ふづき(さすがに毎日だと飽きてくるな…)


そんな贅沢な悩みを抱えながらも空腹には堪えられない。彼は自分の部屋で机に置かれた高級料理の前で手を合わせた。


文月ふづき「いただきます」


料理に箸を入れようとしたちょうどそのとき……



ピンポーン



面会室のインターフォンが鳴らされた。


文月ふづき(なんで毎回、僕が食べようとするときに来るんだ…)


ピンポーン


無視しようか一瞬迷った文月ふづきだったが、間髪入れずに2回目のインターフォンの音が鳴り響く。


観念した彼は溜め息を吐いて箸を置き、少し不愉快な様子で面会室に向かった。


そして、面会室のドアを開けながら、インターフォンを鳴らした相手に聞こえるくらいの声量で文句を言う。


文月ふづき「誰だ! 今、食事中だと言うのに」


面会室のガラスの向こう側に立っていたのは、彼の知らない30代半ばくらいの女性。


身長160センチ前後。肩にかかるくらいの直毛の髪に、少しギョロッとした丸い目をしている。


「誰だ!」と言う文月ふづきの問いに、彼女は何か裏のありそうな不気味な笑みを浮かべてこう答えた。







「明日から吉波よしなみ高校を支配する英語の先生です。文月ふづきくん、私と取引をしませんか?」





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