表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BREAKERZ - 奇っ怪な能力で神を討つ  作者: Maw
プロローグ
4/268

日常

 あぁ、ヤバいな。


 もう定期テスト3日前なのに全く勉強できてない。夏休みが明けてすぐにするテストだ。

 高校に上がってから、勉強が格段に難しくなったと思うのは僕だけだろうか。課題の量や授業の数が増え、内容もより細かく掘り下げるようになった。


 両親は高学歴で、父さんは大手建築会社の社長をやっている。

 地元ではみんなが知っている企業だ。

 母さんは仕事で新薬の研究をしている。きっと今まで開発してきた薬で多くの人を救ったのだろう。


 僕らが住んでいる地域は、俗に言う田舎。


 大きなビルなんてそうそうない。学校や家の周りにあるのは田んぼや民家がほとんどで。

 家から徒歩でスタダ (スターダストコーヒー) に行けるなんて都市伝説だ。

 バスや電車の便も悪く、ほとんどの大人たちは車を使って移動している。


 で、僕はと言うと普通の高校生。ホントに普通。

 偏差値52くらいの良くも悪くもない吉波よしなみ高校に通っている。


 白い半袖のポロシャツにグレーのチェック柄のズボンとスカート。

 偏差値普通の高校、特に個性のない普通の制服。そして、その高校の真ん中くらいの順位にいる普通の中の普通の僕。


 学歴が全てじゃないと思っているし両親も僕にしつこく勉強しろと言ってくる訳でもないんだけど...。

 無言で “これで君も神童に! 無敵の力を手に入れて周りの学生を蹂躙じゅうりんせよ! ゴッドゼミ(通称ゴゼミ)” を毎週、部屋の机の上に置かれていたら負い目を感じる。

 まぁ、これのお陰で中学のときはかなり良い成績を取れたから感謝はしているけど。


「いいか? どんななぁ小さなことでも良い。どんなになぁ大げさでもなぁ馬鹿げていることでも良い。とにかくなぁ夢や目標を持つことが大事」


 今は帰りのホームルーム。


 スラッと背が高く、常に背筋を伸ばしている姿勢の良いこの人は辻本つじもと先生。

 めちゃくちゃ情に厚くて学生想いな良い先生なんだけど、文節ごとに“な”をつけてくる。

 この人のお陰で言葉の単位の“文章・段落・文・文節・単語”は一発で覚えた。


 夢や目標か。確かに大事なんだけど。


 今の世の中は平和だ。他の国はわからないけど、この国は戦争なんてしないし、いきなり核ミサイルを撃ち込まれることもない。

 僕1人がいてもいなくてもこの国の平和は成り立っていて、僕が何か偉業を成し遂げなくてもこの国は発展していく。


 そんな状況で夢や目標を探すのって難しい気がする。

 “何もしない”という選択ができる時代がすぐそこまで来ている。


「夢や目標をなぁ必ず持たないといけないって訳じゃないぞ。ただなぁ持ってないと時々、『俺、何してるんだろう』とかなぁ『俺、生きてる意味あるんだろうか?』って落ち込むときがあるんよなぁ」


 ちょっと図星でドキッとした。

 生きてる意味あるのかな?って時々思うことがある。


「そうなると結構辛いと思うんよなぁ。夢や目標がないって人は『これだけは譲れん!』ってものを見つけてほしい。夢や目標に向かっていく原動力を、譲れないものを守るために使うってことなぁ。その原動力に行き場がないとなぁ、変に考え込んだりモヤモヤしたりするんかなって先生は思う! ごめんなぁ! 話長くなったなぁ! じゃ、帰りのホームルームはこれで終わり! 一同起立!」


 確かにいい話だけど長かった。


 “起立”と言った瞬間、皆、長いわと言わんばかりに勢いよく立ち上がった。


 譲れないものや目標を見つけること。それは僕にとっては簡単なことじゃない。

 明日も明後日も10年後も100年後も平和に違いない。そう思っていたんだけど…。


 今日を境に僕たちの日常は一気に崩れ落ちる。




『奇っ神』プロローグを読了いただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思って頂けたら、


『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!


評価ボタンは非常に励みになりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ