依頼:政府のお使い - 鬼塚 琉蓮③
ドオオォォォン!
顔の前で握り潰したロケット弾が爆発した途端、僕の視界は真っ暗になった。
あぁ、これが死ぬってことか。
爆発を目の前で喰らったのに、不思議と痛みはない。
どっかで聞いたことがある。人や動物の脳は死を確信すると、もう苦しまなくて良いようにありったけの快楽物質を分泌するんだ。
これっぽっちも気持ち良くないけど、何も感じないということは、そういうことなんだろう。
割と短く大したことの人生だったけど、あまり悔いはない。ていうか、悔やむものがあるほど、僕の人生色濃くないんだよな…。
爆発音が聞こえてから音も光も感じない。もうすぐこの意識も消えてなくなるんだ。
僕が死んだことを知ったら、みんなどう思うかな?
お父さんは涙を流してくれるのだろうか?
お母さんは、やっぱり辛いんだろうか。産むときクソ痛かったのに、何あっさり死んでんだよって怒られたりして…。
翠蓮…、お前には泣いてほしくないな。
ちょっとだけ寂しいなって思った後は、何事もなかったかのように前を向いて幸せに生きていってほしい。
数少ない友達の友紀くん、君は…。
“__何をしているの、鬼塚くん?”。
この声はもしかして天の声? もうお迎えが来たのかな?
そもそもあの世ってあったんだ。人に憑く神がいるくらいだから、あるにはあるか。
“__早くしなさい。使命を全うするのよ”。
女性っぽい声だから、天使か女神が迎えに来てるのかな? 姿や形は見えないけど、声だけは鮮明に聞こえてくる。
でも、少しばかりショックだ。天使や女神って、もっとアニメの声優さんみたいな美しい声をしているとばかり思っていたのに…。
失礼だけど、何の魅力も感じない超おばさんボイスだ。
“__鬼塚! 固まってないで早くしなさい! 奴らをぶちのめすのよ!”。
いや、違う。天使は死んだ人にこんなこと言わない。もっと労ってくれるはずだ。
僕に囁いているのは、地獄へ誘う悪魔に違いない。
「僕、地獄行きなんですか? そんなに悪いことしましたか…?」
僕はそのおばさんボイスに対して、涙声で問いかけた。
真っ暗な空間に少しの沈黙が流れる。
“__戯けたこと言わないで、早く目を開けなさい”。
悪魔は溜め息混じりの呆れたような声でそう言った。
…………。いや、悪魔でも天使でもない。
そんな崇高な存在が、こんなどこにでもいるような声をしているはずがないんだ。
きっと…、もっとプロの声優さんみたいに美しく妖艶な声をしているに違いない。
聞き覚えのあるこの声は恐らく…、
「教頭先生、僕生きてるんですか?」
僅かな希望を抱いた瞬間、身体の感覚が戻っていく。
そして、悪魔……、いや御影教頭は鼻で笑いながらこう言った。
御影『ふっ…、ロケットランチャー如きで死ねるなんて思っていたの?』
ここは真っ暗な空間なんかじゃない。
飛んできたロケット弾にビビって、手で顔を覆って目を閉じていただけなんだ。
御影『貴方は究極最強の特質持ち。我が国最高峰の軍事兵器!』
僕は顔を覆っていた両手をゆっくりと下ろしながら、瞼を開いていく。
希望の光とも思える眩い太陽光が視界を照らした。
顔を引き攣らせたテロリストたちと、その背後には大量の戦車が大砲をこちらに向けている。
ちなみに、僕に着せられた迷彩服はボロボロだ。これ以上喰らうと全裸を晒すことになるかもしれない。
御影『鬼塚くん、王撃。我が国の統帥権を以て、攻撃を許可するわ!』
その合言葉はあの時、文月くんが考えたものだ。
当時敵だった御影教頭から、この言葉を聞くなんて思いもしなかった。
「全員、撃てええぇぇぇぇ!!」
ロケット弾を再三に渡って撃ってきた男が手を上げてそう叫ぶ。
ドドドドドドドドドドドドドッ!!
同時に、前方でマシンガンを構えていた他のテロリストたちが、僕に向けて撃ってきた。
カキンカキンカキンカキンッ…!
金属か何かが弾けるような音が聞こえるたび、僕の迷彩服に小さな穴が空いていく。
うん、間違いなく当たっている。当たっているけど、痛くないし血も出ない。
「へへっ」
なんでかわからないけど、笑みが零れてしまった。
それと同時に僕はこう思ったんだ。
“もう手を上げなくてもいいや”って。
僕は無数の弾丸を浴びせられる中、そうっと手を下ろして前を見据えた。
「なんで…倒れない?!」
ロケラン男の表情はさっきとは打って変わって青ざめる。
さぁ、どうやって彼らを止めよう…? ちゃんと加減できるかな? そもそも手を出したらヤバい気がする…。
そんなことを考えながら、僕はゆっくりと歩を進めた。
「あいつ…、人間じゃない。人型の兵器か何かよ。どっかの国が送り込んできたんだ。私たちを殲滅するために…!」
ロケラン男の隣にいる女性が、弾丸を浴びながら進む僕を指さして騒ぎたてる。
御影『ご名答、我が国最強の生物兵器よ。臆病で従順性に欠けるのが玉に瑕だけど…』
いや、ただの高校生なんだけど…。ちょっと身体が丈夫なだけ。
僕は自分のことをそう思っている。
「クソッ…! そんなの聞いたことねぇけど、どのみち殺らなきゃ殺られる。発砲、止め!」
ロケラン男が手を上げてそう叫ぶと、弾丸の嵐が止んだ。
迷彩服は穴だらけだけど、原形は保っている。とりあえず、破けてパンツ一丁にならずにはすみそうだ。
そう安心するには、ちょっと早かった。
「装甲部隊、飛行部隊! 奴を消し飛ばせえぇ!」
彼の上げた手はそのまま僕に向けられる。
彼らテロ集団の後ろにいた十数台の戦車が前に出てきて、アジトの方から飛んでくる数十機に及ぶ戦闘機が空を覆った。
今から集中砲火を喰らうことは、平和ボケしている高校生の僕でもわかる。
御影『さすが大規模なテロ集団。でも、それで全力ってことね』
勝ちを確信したかのようにそう言う御影教頭。
でも、今の僕にとっては、勝ち負けがどうとか言ってられない。
僕はこの後起こることを想像し、恐怖と羞恥に震えた。
この集中砲火を喰らうということは…、
パンツ一丁じゃすまないということだ。
ドンッ!
僕の真正面にいた1台の戦車から砲弾が放たれた。
この攻撃も受け入れなければならない。
やり返すと彼らが怪我をする。
そう思っていたのに…。
「ひっ…! やめてくださいっ!」
パシッ
僕は情けない裏声を出しながら、迫ってくる砲弾をつい手で払ってしまったんだ。
高校3年生、まだギリギリ思春期だと思われる僕にとって、人前で素っ裸になることは堪えられない。
ドオオォォォン!
「うわああぁぁ!」
僕の手に弾かれた砲弾は跳ね返り、左端にあった戦車に直撃する。
直撃した戦車は壊れ、ちょうどその後ろにいた数人がバランスを崩して尻餅を着いた。
「や、やってしまった…」
ほぼ全壊している戦車を見て、僕は声を漏らして絶望する。
あの中には人が乗っているはず。僕は人を…殺してしまったんだ。
御影『そんな顔しなくて大丈夫よ。あれは全部無人機で遠隔操作されている。もちろん憶測じゃなく、それは調査済み。だから、遠慮なく破壊して』
僕は今日、彼女の言葉で初めて安心できた気がする。
戦闘機も戦車も全部無人ならやり返しても大丈夫。近くにいるテロの人たちを巻き込みさえしなければの話だけど…。
…………。
やっぱり、御影教頭の指示には従えない。僕は地球を壊しかけた前科があるんだ。
「破壊というか戦うのは無理です。神憑とかそういう相手ならまだしも」
僕は過去にやらかした出来事を思い出しながら、そう返した。
「撃てええぇぇぇぇ!!」
ドドドドドドドドドド…!
ドン! ドン! ドン! ドン!
戦う気がない僕に対して、当たり前だけど相手は待ってくれない。
服が燃えて素っ裸になるのだけは避けたい僕は、身体の中心を守るように両腕で庇い、背中をできる限り丸めてその場にしゃがみ込んだ。
「よし、効いている…! 休まず撃ち続けろ!」
ロケラン男の嬉しそうな声が聞こえてくるけど、相変わらず痛みはない。
砲弾が爆発する音や戦闘機から連続して放たれる機関砲の音で掻き消されるかもしれないけど、僕は御影教頭に話を続けた。
「この力のせいで、子どもの頃から色々やらかしてきました。できればもう使いたくないんです。思うように加減できたことはありません。雲龍のクソジ…、校長の時だってあんなに吹き飛ばすつもりはなかった。もうこの手で誰も傷つけたくはないんです」
御影『私が言ったこと、忘れたのかしら?』
僕が言い切った後、間髪入れずに彼女は話し出した。
御影『あの中には人質がいる。放っておいたら、残忍な彼らにいつかは殺される。戦いたくないとか言っている場合じゃない。これは、貴方に課せられた絶対に全うしなければならない使命なの』
そんなことを言われても…。
力加減ができなくて、もし人質ごと吹き飛ばしてしまったら…?
“どうせ放っておいたら死ぬんだから試しにやってみろ”ってこの人は言いそうだけど、僕にはできない。
僕が御影教頭の言い分に、何も返さずにしゃがみ込んでいると彼女はこう言ったんだ。
御影『平和な教室では疎まれる馬鹿力も、無法地帯ではヒーローになれる』
“ヒーロー”。
僕を奮い立たせるためにわざと使ったんだろうか? いや、でも彼女にそんな話はしてない。
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『僕は……、みんなを助けるヒーローになる! この力をみんなのために使いたい!』
『ヒーローという職種はないんじゃよ。給料貰えないよ。おばあちゃんのオススメは公務員じゃ。高卒で働くなら11年後、大学出るなら15年後じゃな。それまでにゆっくり考えなさい』
ヒーローになりたいと初めて思ったのは、7才の頃だ。
リアリストなおばあさんの引っ越し(家を持ち運ぶ)を手伝った後、将来の夢を聞かれてそう答えた。
そして……、
「こ、こう?」
バキッ
文月くんの骨を妖瀧拳の道場で粉砕した。
それをきっかけにヒーローになりたいとは思わなくなったし、人と関わるのを避けようと思ったよ。
小学2年生で骨を粉砕。それもパンチの風圧で…。
小学生から中学生、高校生になって身体も成長している。今同じことをやってしまったら、きっと殺してしまう。
“BREAKERZ”のみんなは特質とか神が憑いていたりとかで能力を持っている分、普通の人よりは接しやすい。
でも、気軽にツッコミながら叩いたりなんてことは絶対にしない。握手やハイタッチもできれば避けたいんだ。
剣崎『凄まじいハイタッチであるな、鬼塚氏。私の手の平からハイタッチの衝撃波が伝わり、私の五臓六腑はスクランブルになってしまった』
とか、
皇『ヒャハハッ、ある意味抜群のツッコミだなぁ♪ 俺は超運が良いから、骨は粉々になったが内臓はキレイに残ってるぜぇ♪』
みたいなノリで済むはずがない。
でも、特質や僕の力を、彼らは個性として受け入れてくれてるから一緒にいられる。
水瀬•文月『……………。』
廊下で肩がぶつかったのが原因で、泡を吹いて倒れた2人が頭に浮かぶ。
失神ですんだら良いんだけどなぁ。まだ謝れば何とかなるレベルだから。
文月『君は自分がしたことに責任を負いたくないんだ』
雲龍のクソジジイに反撃する前に、文月くんに言われた言葉。
彼の言うとおりだ。
危ないから、加減できないから、友達を巻き込んでしまうかもしれないから。
これは、優しさや周りを想っての発言じゃない。
みんなが戦っているのに自分は戦わなくていい言い訳を、必死に探して逃げているだけなんだ。
一見、自分の力を使うことに対しての責任感が強いように見えるかもしれない。
でも、それは逆だ。友達を敵や危険から守らないといけないときに、力を使わず何もしない僕は無責任の塊。
そして、ここまでわかっているのに、今まで何も変えようとしなかった自分が大っ嫌いだ。
今だって、人質を助けるために考えたり動いたりなんてしていない。
僕は、誰も守らないし守れない最低最悪な人間だ。
壮蓮「そんなことはない」
お、お父さん…?
いつの間にか真っ暗な空間の中で、お父さんは背中を向けて立っていた。
ここは、どこだろう? あぁ、僕はガチで死んだのか。あれだけ撃たれまくったら流石にね…。
でも、なんでお父さんもここに?
「お父さんも死んだの? え、なんで? 家、火事になったの? それとも大地震?」
僕は浮かんだ疑問を、素直にお父さんへぶつけた。
壮蓮「戯けたことを言うな、琉蓮。ここが何処なのか、俺が何なのかお前が1番わかっているだろ」
背中を向けたまま僕を叱責するお父さん。
「わからないよ。流石に撃たれまくったから死んだんじゃないかなって…。でも、全然関係ないお父さんも死んでるってのはおかしいし」
僕の言葉に、お父さんは大きく溜め息を吐いてからこう言った。
壮蓮「ここは、お前の逃げ場だ。現実逃避するための場所。そして、俺はそんなお前を叱りつけるために生み出されたのだ」
意味がわからない。現実逃避する場所ってなんなんだ。現実の僕はどうなってるんだ?
あ、前みたいに動かなくなってボコボコにされているのか…。
僕は多分、目の前のことを放棄して考え込むクセがある。ここは、それの究極版って感じなのかな。
でも、ここって僕が作り出した場所なんだよね? じゃあ、なんで…。
「叱りつけるためって生み出されたって…。いったい誰に?」
お父さんの話が全然掴めない僕だったけど、次の言葉ではっとさせられた。
壮蓮「それはお前自身だ、琉蓮。お前…、いや、俺たちは最低最悪な無責任腰抜け野郎だが、それに甘んじようとは思っていない」
お父さんはこちらに振り返り、話を続ける。
壮蓮「お前がヒーローになりたいと思った理由を思い出せ。失敗ばかりではなかったはずだ」
その言葉を聞いて、自然と閉じる僕の瞼。
母『琉ちゃん、凄いわ! そんな重たいものを持てるのね。世界で琉ちゃんだけしかできないことよ! 自信を持ちなさい』
家の車で遊んでいた5才の僕に、お母さんはそう言って褒めてくれた。壊してしまったにも関わらず。
壮蓮『……………。昨日、買った新車……』
お父さんはかなりショックを受けていたけど、それでも僕を怒鳴ることなかった。
『琉ちゃん、ありがとう! お陰で引っ越し代がタダで済んだわい』
近所のリアリストなおばあさんも、嬉しそうな顔をしていたっけ。
僕がヒーローになりたいと思ったのは…。
「この力で皆の助けになれると思ったから…」
僕は目を開けて、お父さんを見据えた。
壮蓮「そう。だが俺たちは、上手くいった体験から目を背け、失敗ばかりに着目して逃げていたんだ」
ほんとに彼の言うとおりだ。自分の力に責任を負いたくない一心で、ずっと逃げていた。
壮蓮「その力は必要とされている。この先、俺たちの力でしか倒せない敵が現れるかもしれない」
真剣な表情で話すお父さんらしき彼を見て、あの時言われたことが甦る。
壮蓮『お前は怯むことなく友達を守るために絶望と対峙し打ち勝った。逞しかったぞ、琉蓮。これからもその力で大切な人たちを守り抜け』
去年、僕は当時の御影教頭と戦い体育館を全壊させてしまった。
その次の日に、お父さんに言われた言葉だ。
この時も僕のことを怒ったりはしなかった。体育館の損害賠償を払うはめになったのに…。
お父さん…、みんな…、ごめん。
色々と思い返した僕の拳には、自然と力がこもる。
お父さんにそう言われた時、ヒーローになるってもう1回誓ったのに、結局は何もせずに逃げてばかりだった。
壮蓮「自分の力と向き合うんだ、琉蓮。完全にコントロールできれば、その力は最強だ」
立ち尽くしている僕に歩み寄り、お父さんらしき彼は、僕の肩を強く掴む。
壮蓮「欠点なんかじゃない。自分のものにできていないただの個性だ。意のままに操れるようになれば、個性は最大の長所となる」
向き合え、琉蓮。
自分やみんなを守るために。
お前は……、
僕は………………、
悪からみんなを助けるヒーローになる。
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ドドドドドドドドドド…!
ドン! ドン! ドン! ドン!
ヒーローになるという三度目の誓いを立てた瞬間、砲撃や機関砲の音が聞こえてきた。
御影『あぁ…、もうこれは…、永遠に蹲って喋らないことで、弾切れを狙っていると信じるしかないわね…』
疲弊した様子の御影教頭の声もはっきりと聞こえる。
撃たれ続ける中、ずっと僕に話しかけていたのかな?
あの空間的なとこで色々考えている間、僕はやっぱりボコボコにされていたようだ。
「あのままずっと動かない。弱っているのか…? 死んだのか?」
ロケラン男の声が、爆発音や銃声に混じって微かに聞こえてくる。
さぁ、もう逃げるのは止めにしよう。
めちゃくちゃ撃たれてるみたいだけど、痛みはないし普通に動けそうだ。
僕は足に少し力を入れて、屈んだ状態からゆっくりと腰を上げていく。
「お、おい…、嘘だろ?」
怯えているかのように震えるロケラン男の声。
完全に立ち上がった僕は、日の眩しさを感じながらも彼を見据えた。
そして、迫り来る戦車の砲弾を対し、右腕を真横にすっと払う。
一応、力加減は意識したけど、思い通りにいったのは偶然かもしれない。
僕に向かってきていた戦車の砲弾全てが、腕を払った際に発生した風によって右方向に逸れた。
それらは何もない砂漠の地面に着弾し、爆発する。
全く効いてない僕に動揺したのか、戦車や戦闘機からの攻撃は止んだ。
「これだけ撃っといて、無傷っていうのかよ…!」
恐怖と怒りが入り混じった声を荒げるロケラン男。他のテロリストたちも僕を見て顔を引き攣らせている。
僕はもう一度自分に言い聞かせるため、ヒーローになることを宣言しようと息を吸った。
「ぼ、僕は…、悪だけに拳を振るい、ええと、悪だけを浄化して、悪人も善人、大切な友達や家族全てを救えるみんなが望んでみんなが喜んでくれるイケイケ優秀優男ヒーローを目指します!」
あ、あれ? 何か言いたかったことと違うぞ。
きっと緊張してしまったんだ。高校3年生がヒーロー目指すとか言うなんて、ちょっと幼稚すぎるよ…。
御影『え、いきなり何? あぁ、痺れを切らしたのね』
「あいつを絶対に殺せえぇ! 全弾撃ち尽くす勢いでえぇ!」
白けた御影教頭と、がなり立てるロケラン男。
2人の発言を皮切りに、戦車と戦闘機による攻撃が再開された。
「手合わせ…、お願いします」
この戦いで力加減の感覚を掴もうと思った僕は、小声でそう言って僕なりの構えをとった。
うっ…………!




