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BREAKERZ - 奇っ怪な能力で神を討つ  作者: Maw
自警部•設立編
165/271

都市伝説 - ブラックアイコン

※本エピソードは三人称視点になります。

__________________


現在、授業が終わってから1時間ほどが経過。


吉波よしなみ高校の体育館裏で、制服を着崩した3人の生徒がタバコを吸っていた。


彼らは吉波よしなみ高校の生徒であり、周りからは不良と言われている。


あまり食べれてないのか元々小食なのかはわからないが、明るめの茶髪に痩せた頬が特徴的な日裏ひうら 玲愛れお


吉波よしなみ高校一の問題児と名高く、南国の血を引いていて体格に恵まれている吉持よしもち 肩八狼けんぱちろう


そして、この学校の全不良を仕切っている番長だと噂されている西かわち 比帝斗ひでとの3人だ。


気怠そうな表情に鋭い目つき。日裏ひうらとは対照的に恰幅が良く、筋肉と脂肪両方を持ち合わせている図体から繰り出される一撃は相当なものになるだろう。


素人同士の喧嘩は、体重差で全てが決まる。不良をまとめる番長の座に、彼がいても何ら不思議ではないわけだ。



西かわち「で、一昨日勝手にインストールされたこのアプリがヤバいってのか?」



西かわちは咥えていたタバコを吐き捨て、足で火を消しながらそう言う。


彼はポケットからスマホを取り出し、いつの間にかインストールされていたアプリのアイコンを2人に見せた。


日裏ひうら「噂ではな。でも押しても起動されねぇし、誰かがホラ吹いたってだけじゃねぇのか。言うてただのバグだろ」


ヤンキー座りをした状態でタバコを吸う日裏ひうらが答える。


吉持よしもち「おい、舐めてんのか? 俺のスマホには入ってねぇんだけど? 携帯会社ぶっ殺すぞ!!」


眉間にしわを寄せ、怒号を上げる吉持よしもち


自身のスマホを振りあげ叩きつけようとしたが…。


さすがにそれはまずいと思ったのか、心の内から湧き上がる破壊衝動をぐっと抑えたようだ。


日裏ひうら「俺にも入ってねぇ。てか、入ってる奴の方が少ねぇよな。そいつらの中の誰かがテキトーな噂を流したんだろ」


彼が言うように、その謎のアプリが突然現れたのはほんの数人しかいない。


突如、吉波よしなみ高校の十数名のスマホにインストールされた謎のアプリ。


西かわち日裏ひうらたちに見せていたスマホの画面には、タイトルも何もない真っ黒なアイコンが表示されていた。


西かわち「つか、押しても何も起こらねぇしよ。マジでうぜぇ、消すのもできねぇって…。邪魔でしかないんだが」


西かわちはぶつぶつと文句を言いながら、何の気なしに黒いアイコンをタップする。



西かわち「…………!」


日裏ひうら「ん? どうかしたのか?」



驚いた顔をした西かわちを見て、日裏ひうらは立ち上がった。


喧嘩最強クラスの彼だが、驚くのも無理はない。






“貴方は本検証の数少ない対象者に選ばれました”。






今まで何をしても反応のなかったブラックアイコンが起動し、真っ黒な画面に白い文字で小さくそう書かれていたからだ。


だが、西かわちは肝の据わった不良。驚いたのも束の間、彼はニヤリと笑い2人にスマホの画面を見せつけた。



西かわち「お前ら、肝試しやってみっか? これがマジでヤバいアプリか…、試してやろうぜ」


日裏ひうら「起動したのか。何のアプリか知らねぇが、クソみたいな噂をここで否定してやるよ」


吉持よしもち「お、おう。全然恐くねぇ…。俺の消える魔球で幽霊ぶっ殺してやる…」



全く動揺した様子を見せない冷静な日裏ひうらと、いつもの威勢を感じられない吉持よしもち


彼らは西かわちの持つスマホの画面を覗き込んだ。


西かわちが画面をタップすることで、次のメッセージが表示される。




“次に表示される3枚の写真の中から好きなものをお選びください”。




このメッセージを読み、無言でタップする西かわち


彼ら3人からは、僅かな緊張を感じられる。


メッセージ通り、3つの写真が表示されたが…。


日裏ひうら「…………飯? 好きな食い物選べってことか?」


若干の緊張感が漂っていた彼らだったが、写真を見て拍子抜けしたようだ。


画面には左から、ラーメン、カツ丼、カレーライスの写真が並んでいる。


西かわち「ケン、好きなの選んでいいぞ」


ケンとは、彼らが呼んでいる吉持よしもちのニックネームだ。


西かわちは自身の左側にいる吉持よしもちに対し、スマホを傾けた。


吉持よしもち「お、おう…」


掠れた声を発しながら、小刻みに震える人差し指をカレーライスの写真に持っていく吉持よしもち



吉持よしもち「な、何ガン飛ばしてんだよ、うんこ野郎…! ケツに指突っ込むぞ…!」



彼はあまりの恐怖から、意味のわからない脅迫をしながらカレーライスの写真をタップした。


3つの写真は消え、再び白い文字で書かれたメッセージが現れる。



“ご協力ありがとうございます。5秒以内に到着いたしますので、少々お待ちくださいませ”。



日裏ひうら「5秒以内…? 何かが来る?」



彼は……いや、彼らは恐らく何かを感じ取っていた。


吉持よしもち「さ、寒い」


春には似合わない冷ややかな空気を…。


日裏ひうらは2人から距離を取り、辺りを警戒する。


彼にとって、この嫌な気配は、西かわちを良く思っていない不良の襲撃を予感させたからだ。


対して吉持よしもちは、全身をガクガクと震わせながら、筋肉質かつ大きな身体を必死に西かわちの背中に隠そうとしている。


日裏ひうら「3………2………1………。5秒経ったぞ」


鋭い目つきで警戒を続ける日裏ひうら


しかし、不良の襲撃はおろか、何かがやって来る気配もない。


そもそも、人目につかない体育館裏とはいえ、死角になる箇所はほとんどなかった。


襲撃は日裏ひうらの杞憂に終わったんだ。



西かわち「おい、ケンしがみつくなよ。噂はただの噂でしかなかったな。元々幽霊とか信じるタチじゃねぇしな」



スマホをポケットにしまいながら、腕にしがみついた吉持よしもちを振り払う西かわち


そんな2人を見る日裏ひうらの目は、絶望に近い色をしていた。


額から溢れ出る汗には構わず、彼は2人に忠告する。






日裏ひうら「おい…、2人とも。ゆっくりこっちに来い。絶対に振り返るなよ」






彼らの後ろに、()()はいた。




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