エピローグ - 文月 慶⑱
【次の日の日曜日】
御影『よくもやってくれたわね…! BREAKERZ!』
右耳に着けたイヤホンを介して、政府の手先“御影 丸魅”の怒声が聞こえてくる。
僕は今、文月特別少年刑務所の看守の車で、吉波総合病院へ向かっている最中だ。
正直、こいつの話し相手をする暇はないのだが、間髪入れずに電話してくるためやむを得ず出る形となった。
「仕方ないだろ。“EvilRoid”は強敵だった。その中でもDestroyと名乗るあいつは…。地球が無事なだけまだマシだと思うが」
憤る彼女に僕はそう返す。
御影がキレているのは、僕らが月を破壊したからだ。
月が無くなれば地球や人類、生物に無視できない弊害がもたらされると言われている。
国民を危険に晒すわけにはいかない政府としては無視できない案件だ。
だが、それに対して怒ったり焦ったりする必要はない。
僕は返事のない御影に対してこう言った。
「僕から奪った“BrainCreate”。あれを使えば、考えるだけで月などいくらでも作れるだろう。まさか国の上層部が、月が何で構成されているかも知らないとか?」
御影『相変わらず癪に障る言いようね。なぜ報告しなかった? ちょっとした能力が使える高校生数人で戦って、無事で済む相手じゃなかったのは確かでしょ? 軍隊を送れば秒で終わったし、怪我人なんて1人も出なかったわ』
続けて僕が話してから、ようやく返答する御影。
「敵に協力を要請する奴がどこにいる?」
彼女の発言にすかさずそう答えてから、僕は通話を終わらせて、イヤホンをポケットに仕舞った。
僕から“BrainCreate”を押収し、学生大戦を故意に放置。
そして、吉波高校を支配し監視下に置いて、生徒の自由を奪おうとした政府が僕らの味方であるわけがない。
それに、奴の傲慢な発言から協力を要請しなくて正解だったと改めて思う。
音速で移動し、目視不可能な斬撃を繰り出すFluid。
身体を自在に変化させて、殺傷力の高い攻撃に加え分離体や増殖体を作り出す上に、コアを破壊されることがない限り、永遠に再生し続けるUndead。
自称ダイヤモンド級に硬いブロッコリーで対象を隔離したり、しなやかな巨大ブロッコリーなどの多彩な能力で広範囲に攻撃を繰り出せるPlant。
全てを破壊する完全無欠のDestroy。
そして、最後まで地中に潜んでいた水を自在に操るAqua。
政府の軍事力如きでこいつらを倒し切れるだろうか。仮に核を使うとしても怪しい。
Destroyの装甲に核が通用するとは思えない上に、そもそも核を発射する猶予をFluidが与えないだろう。
政府が軍隊をこちらに寄こしていた場合、大量の犠牲者を出していた可能性が高い。
元々仇である政府に助けを求める気はなかったが、軍隊を呼ばなくてマジで正解だったな。
怪我人は出たが、今のところ死者はいない。
看守「着きましたよ」
看守の声と共に、車が停止する。
総合病院という名に相応しい大きな建物が車の窓から見えていた。
「礼を言う。少し待っててくれ」
僕は看守にそう言いながらドアを開けて、杖を地面に着けて立ち上がる。
そして、勢いよく車のドアを閉め、吉波総合病院の受付へと向かった。
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病院の受付を通り、新庄が入院している病室に向かう。
無機質な白いベッドの上に患者衣を着せられた新庄が仰向けの状態で眠っていた。
彼の両手には金属バット“轟”が握られていて、バットの先端は左胸に当たっている。
昨日、戦いを終えた時から意識不明の重体だった。一命を取り留めたのは、医者のナイス判断と僕の作ったこの金属バットのお陰だ。
あの髭もじゃの外科医によると、今の新庄の身体に、自分で心臓を動かす余力は残っていないらしい。
だから、この金属バットの莫大な電力で心臓を無理やり動かしているというわけだ。
色々と検査をしたらしいが、彼が突然流血して倒れた原因はわからなかったとのこと。
奇妙なことに、彼の身体には傷や異常が一切見当たらなかったんだ。
ここの医者にはわからないだろうが、僕にはわかる。
昨日、傷を負った新庄に投与した簡易版の万能薬。
あれの過剰摂取による副反応が原因だろう。
身体にいっさい傷がないのも、それで説明できる。
万能薬を投与したことで新庄の身体は隈無く再生したが、副反応により流血したというわけだ。
それにこれは、新庄だけに限った話じゃない。
他にも投与した人物がいる。
特質を一時的に使えるようにするために使った剣崎と、Plantの毒を解毒するために使った朧月。
そして、不死身になるための実験で本家万能薬を使用した僕や、特質を完全に取り戻すためにそれを使った鬼塚たち…。
彼らも今後どうなるかはわからない。
遅れて副反応が出る可能性がある。新庄の症状とは程遠い全く違った反応が出る可能性も。
僕は鼻に管を通された新庄を見下ろした。
新庄、必ず僕が治してやる。
無理をさせて悪かった。
副反応を解決する方法を絶対に見つけ出し、投与した彼らのリスクも解消する…!
あの頭のおかしい外科医に、お前を任せるわけにはいかない。
ここに来るまでに奴とすれ違ったんだが、健康体である僕の身体を首から下全てを移植して改造したいと言ってきやがったんだ。
あんな発言をする奴に任せられるわけがない。
あの髭もじゃの手によって意識を取り戻したとしても、全身サイボーグだと新庄も報われないだろう。
まぁ、まだサイボーグなら見栄えが良いかもしれないが…。
無駄に筋肉が詰まった男虎先生のような身体に改造された新庄など、暑苦しくて見るに耐えない。
僕はこの手で、必ず彼を助け出すことを決意して病室を後にした。
さて…、一応あの2人のところにも顔を出すとしよう。
あまり気乗りしないが…。
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この部屋か、2人が入院しているのは。
僕は軽くノックしてから、スライド式のドアを開ける。
無機質なベッドが2つ平行に並べられていて、顔面以外全身包帯でぐるぐる巻きにされている男と、両手足をギプスで固定された女性が寝かされていた。
人智を超越した放屁を使う男子高校生、日下部雅。
謎の術を使ってDestroyを追い詰めた謎の自称女子高生、御門伊織。
僕が気絶している間に、彼らは身を挺して地球を滅亡から救ったらしい。
地球を壊滅させるほどの衝撃を前面から受け止めた2人は、こんな姿に…。
鬼塚の攻撃は強大すぎるあまり、今後使う場面が限られるだろう。
意識を取り戻した後で聞かされたが、月が拳の風圧で消滅したなど未だに信じられない。
『まっさんまっさん! また面白い話作ってん! ちょっと聞いてや』
『またぁ? もうええってぇ! まぁ、ちょっと聞かせみぃ!』
日下部のベッドの横にあるテレビには、あの中学生2人組のコントが映し出されている。
『大砲をグラウンドに3つ置きますと…!』
『おう、何かいきなりやなぁ!』
『ゴリラ、プリケツ、ブロッコリー頭を入れて発射! こいつら、近隣の高校に戦争仕掛けんねん』
『おい、物騒すぎるやろ! 何が始まろうとしてんねん!』
この2人組のコント…。
前もそうだったが、僕らの起こした出来事と酷似している。
神憑や特質だけでなく僕が起こした鬼ごっこについても報道しなかった政府が、まさか芸能界限定で情報を開示するとは思えない。
この2人組、いったい何者だ。僕らの何を知っている…?
日下部「ふふふっ、面白いね。プリケツという言葉は頂けないけど」
顔面を精いっぱい傾けてテレビを見ている日下部は、くすりと笑った。
面白いか…? お前とこの2人組以外、誰も笑ってないんだが。
コントなら観客席から笑い声が起きるはずなのに、無観客なのかと錯覚するくらいシーンとしている。
そもそも、自分のネタで笑うなよ。2人組の背の小さい方が腹を抱えて笑っていてコントになっていない。
「おい、日下部。怪しいとは思わないか? このコントは、僕らの学校で起こった学生大戦とほとんど同じだ」
彼はテレビに顔を向けてくすくすと笑いながら、こう答えた。
日下部「気にしすぎじゃないかい? たまたま似たネタを思いついただけだと思うよ。大砲に人を詰めて飛ばすなんて、昔からある定番ネタさ。まぁ、君みたいに実際にやった人はいないだろうけど。ふはは、先生の手からビーム…! 傑作だ!」
完全に滑っている2人のコントに対し、彼は大きく笑う。
考えすぎか…。こいつらが神憑だという可能性を考慮しないといけない気はするが。
御門「ごめん、悪いけど…、テレビ消してくれない? 折れた骨に響くわ」
プツッ…
冷めた顔の彼女がそう言った直後、テレビの電源が落とされた。
日下部「あはは! 面白……、ってシリウス!? 今良いところだったのに、何のつもりだい?」
どうやらシリウスが何かしらの力を使ってテレビを消したようだ。
オナラの風圧でテレビの電源ボタンを押したのか? だとしたら、換気したほうが良いな。
日下部「え、何、御門さんが? それは仕方ないね。じゃあ、僕も安静にするとしよう」
御門「ありがとう。恩に着るわ、邪し……、シリウス」
テレビが消えたことで、少しの間沈黙が流れる。
日下部「それにしても赤い放屁は便利だね。今は顔面以外動かせないけど、お陰でそんなに不自由しないね」
彼は窓の外から見える景色を眺めながらそう言った。
赤い放屁、初めて聞く名前だ。
新しい放屁もそうだが、彼の隣にいる御門伊織にも能力についてなど聞きたいことがたくさんあるが…。
「2人とも感謝する。戦いに加勢してくれたこと、地球を守ってくれたこと。君たちがいなければ“BREAKERZ”は壊滅していたかもしれない」
僕は彼らに礼を言って、頭を下げた。
日下部のことはあまり好きではない。色々とあったからな。
だが、今回の活躍には頭が上がらない。
シリウスの力で最強のDestroyの動きを止め、最後は地球を救ったんだ。
日下部「まさかテロリストに頭を下げられるとはね。いや、もうテロリストではないか。君は仲間思いな最高の友達だよ」
全身包帯姿の日下部は、精いっぱい力を振り絞ってこちらを振り返り笑顔を作った。
クソッ…、頭を下げたのを良いことにカッコつけやがって。僕はお前に死ぬほど臭い放屁を喰らわせられたこと、永遠に忘れないからな。
御門「そんなに頭下げなくても良いわよ。大したことはしてないわ。力を思念に変えただけ。まさかこんな怪我をするとは思わなかったけど…」
傷が痛むのか、若干苦しそうかつ気怠そうに答える御門。
力を思念に…? よくわからないが、何か変換するような能力なのか? 後で詳しく聞きたい。
僕は頭を上げて、2人にこう話した。
「怪我に関しては、副反応を解消した真の万能薬ができ次第、君たちに投与しようと思っている。そうすれば一瞬で完治し、身体の自由を取り戻せるだろう」
僕が2人にできるせめてものお礼だ。
「後、何か欲しいものがあれば言ってくれ。造れる範囲でなら何でも…」
僕がそう告げると、日下部はらしくない嫌らしい笑顔でこう話す。
日下部「そうだねぇ。じゃあ、ムチムチ美少女が登場する如何わしい本を……っと言いたいところだけど!」
欲しいものを自身の欲望のまま要求しようとしていた彼だったが、途中で御門の冷たい視線に気づいたようだ。
日下部「ぼ、僕は友達や愛する地球を守ったまで。人として当然のことをしただけさ。慶、君に見返りを求めるつもりはないよ」
そう言い直して、不自然にウインクをする日下部。
御門「私は特に欲しいものとかないわ。隣の日下部とは違ってね」
御門は彼を睨みつけたまま、僕にそう言った。
コンコン。
ガラガラ……
ちょうどその時、2回ほどノックされてドアが開かれる。
一瞬、敵かと警戒したが、その心配はなかったようだ。
彼らも2人の見舞いに来たんだろう。
ドアの前には、鬼塚と水瀬が立っていた。
鬼塚「昨日はほんとにごめんなさい。これ、少ない金額ではありますが…」
グラサンとマスクを装着してほとんど顔が見えない鬼塚は、懐から封筒を取り出しながら、部屋に入ってくる。
恐らく、訴えられるのを恐れて示談金を持ってきたのだろう。Undeadのコアを覆っていたダイヤモンドを売り払って用意した金の一部だと思われる。
コツ……
怯えた様子の鬼塚を苦笑しながら、続いて水瀬も病室に足を踏み入れた。
“記憶の復元……可能。直ちに実行します”。
この声は…?
どこからともなく謎の音声が聞こえてきた。
“FUMIZUKI”の音声と似ているが、今僕はイヤホンを装着していない。
聞こえるはずがないから、あいつの声ではないのは確かだが…。
「2人とも、警戒し……」
後ろで横になっている日下部と御門に注意を促そうと振り返ったが……、
「ここは……どこだ? どうなっている?」
僕のいる場所は、病院ではなくなっていた。
全く身に覚えのない場所に、僕は突っ立っている。
いや、覚えのない場所かどうかは定かじゃない。辺りが暗すぎて何も見えないからだ。
そして、この臭いは…。
僕は血生臭い刺激臭に、思わず口と鼻を手で覆った。
徐々に暗闇に慣れてきたのか、足元や身の回りの様子が薄らと見えてくる。
もう少し、もう少し慣れたら状況がわかるはずだ。この臭い、ただ事ではないことがこの場所で起こっている。
僕は足元に目を凝らして、視界が開けてくるのをただただ待っていた。
こ……れは…!
お前ら、いったい何があったんだ?
暗闇に慣れてきた僕の目に映ったのは、いくつもの無惨な死体。
足元には知っている人物が力尽きて倒れていた。
目の光を失った水瀬友紀。
真っ二つに折れた金属バットを握り締めたまま息絶えた新庄篤史。
背中から胸にかけて鋭利な物が貫通したように穴が空いている鬼塚琉蓮。
そして、僕のすぐ足元に……御門の生首が転がっていた。
「うっ……!」
あまりの衝撃に胃液が込み上げてくる。
まだ見えていないだけで、他にも死者がいるかもしれない。最悪の場合、“BREAKERZ”全滅の可能性も…。
一瞬でこの有様。誰にやられた?
さっきまで僕らは病室にいたはず。
「なるほど、これが神の力か。まぁ、厳密には神を取りこんだ人間の力というわけだが」
前方の暗がりからある声が聞こえてきた。
紛れもない、その声は僕自身のものだ。
「友人よ、我に何か用か?」
僕らしき声に対して、誰かがそう返した。
恐らく水瀬たちを殺したのはそいつだろう。もしくは、僕と声が似ているもう1人の人物のどちらかだ。
こんなことをしたのは、いったい誰なのか。
僕は若干震えている足を動かし、杖を着きながら前に進んだ。
知っている奴かもしれない。それとも、“EvilRoid”を送り込んできた黒幕か?
何にしろ、顔を見ないことには始まらない。
2人の人物まで意外と距離があったらしい。
僕が近づいていくまでに彼らは全能の神とやらの能力について話をしていた。
そして、僕に似た声の人物が放ったあの言葉が印象的だった。
「君は恐らく、“運命の最終決定権”を所有してない」
運命の最終決定権。
この言葉が出たのを皮切りに、神と名乗る人物が動揺し始めたからだ。
「そう焦るな。これは君を殺すボタンではない」
運命の最終決定権について一通り説明した後、奴はそう言った。
声がすぐ近くから聞こえてきている。
もう少しで、奴らの顔が見える…!
カチッ
逆光になっていて人型のシルエットが2つあったこと以外、何もわからなかった。
僕に似た声を持つ者や、神と名乗る者。2人とも人間であることは確かだ。
ただ、それ以外は全くわからない。
僕の声に似た奴がボタンを押した瞬間、視界が真っ暗になったからだ。
『“FUMIZUKI”、記憶のバックアップを早急にしろ。ボタンはもう押した。間もなく地球の逆回転が始まり、時間は僕らの高校時代まで逆行する』
何も見えない、何も感じない中、僕に似た者の声……いや、僕の声が頭に響いてくる。
『おい、“FUMIZUKI”! 今、無能っぷりを発揮したら洒落にならないぞ!』
さっきの発言で理解した。
これは、過去の僕らが体験した“これから来たる未来”の記憶だ。
『神の干渉だと…? 10キロメートルを超えて反映され……』
動揺を隠しきれない様子の僕の声はここで途絶え、意識は現実の病室へと戻ってきた。
日下部以外の全員、その場で硬直していた。
彼以外は、あの無惨な光景を見ていたようだな。
水瀬「い、今のは…? 僕含めてみんな……」
鬼塚「あ、あれ? 生きてる? なんで? 示談失敗して殺されたのかと思ったよ…」
額から冷や汗が伝う水瀬と、不思議そうに身体を確認する鬼塚。
御門「ちょっと…! 私、そんな物騒な輩に見えるわけ? 殺したりしないし、示談金なんていらないわよ!」
日下部「みんな、いったい何の話をしてるんだい?」
あんな光景を見たのにも関わらず、御門はいつもの調子で言い返す。
そして、日下部はやはり見ていない。
記憶の復元…。あれは恐らく、未来の“FUMIZUKI”の音声だ。
記憶のバックアップに失敗し、ただ時間を戻しただけになっていたが何かのきっかけで復元できたんだろう。
これは憶測だが、僕と水瀬、鬼塚、御門の4人が同時に接触したことがきっかけになったと考えられる。
日下部が見ていないことしか、根拠はないが…。
“BREAKERZ”を惨殺した神の姿が見えなかったのは、記憶の復元が完全ではないからだろう。
御門「まぁ、たまにいるのよ。悪夢を見せてほくそ笑む悪趣味な霊とかね。私が万全なら秒で消し飛ばしてやれるんだけど、全然感知できなかったわ…。…………あ、うっかり言っちゃった」
水瀬「そうなんだ…。何かしらの能力はあると思っていたけど、そういう系なのか」
御門の勘違いで誤魔化す必要がなくなった。もう、彼らに背負わせるつもりはない。
「珍しい例だが、集団幻覚の可能性もあるな。昨日あんなことがあったんだ。疲れているんだろう。僕はいつも通り、三つ星レストランを堪能して疲れを癒やすとするよ」
僕は病室にいる彼らに背を向け、手を振った。
水瀬「慶、それはズルいって!」
病室のドアに手を掛けた僕は、一度振り返り水瀬にこう返して部屋を出た。
「なら、お前も単独でテロを起こせばいい」
ガタンッ…。
僕は杖を着いて、病院の廊下を歩いた。
さて、ここからは僕と神の個人戦だ。
“EvilRoid”を送り込んだ黒幕に、神と名乗る人間。
同一人物かもしれないが、こいつらと1人で戦うのは骨が折れそうだ。
小林先生に辻本先生、貴方たちの言いつけ通り、彼ら“BREAKERZ”にはなるべく平和な高校生活を送ってもらうつもりです。
だが、いつか来たる絶望的な未来を無視するわけにはいかない。
必ず回避しなければならないんだ。
まずは神と名乗る人間を討ち取ってやる。
未来の僕と奴の会話から、奴は神そのものではなく神を取り込んだ人間と考えた方が良いだろう。
なら、先に特定してそうなる前に…。
いや、戸惑うな。僕らを惨殺する時点でそいつは異常者かつ危険因子だ。
奴が神の力を手に入れる前に、この手で殺さなければならない。
ここからは、僕と神の一騎打ち。
彼ら“BREAKERZ”の__
__奇っ怪な能力には頼らない。
【 RESET Project編 ー 完結 ー 】




