FILE 2:初めての街
師であるソフィーの許を発ったセキア。
鼻唄混じりに歩き、近くの街まで来ていた。
「ここがパータンの街かぁ〜。近くって言っても、まだここには来たことなかったんだよね・・・。よし! 街の中を探索しちゃおうっ」
ここパータンの街はこの辺りで一番大きな街で、物流が盛んだ。
食べ物から衣服などの商店だけでなく、道のあちこちで露店が開かれ、採れたて新鮮な野菜や果物、加工されたアクセサリーなどが売られている。
このため人が集まる街なので、裏道や夜は治安が少々悪くなる。
「あっ、宿屋発見!! ゆっくり見物したいし・・・今日はここで泊まっちゃおうかな」
ということで見つけた宿屋で部屋を取り、荷物を軽くして街へ繰り出た。
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「はぁ〜、街っておっきいなぁ〜。人いっぱいだし、美味しいものたくさんあるし!」
時刻はすでに夕方。
街の中を見て回ってセキアは満足していた。
そして露店はせかせかと片づけを行っている。
「おなか・・・へった、なぁ。どこかに食堂ないかなぁ・・・」
セキアはきょろきょろと辺りを見渡す。
暗くなってきたので、ぽつぽつと街灯が灯り始める。
そして、セキアの目の前には一軒のちょっとぼろくさい店。
「今日いろいろお金使っちゃったし・・・安く済ませよう」
ということで店決定。
ドアを開けるとカランカランと鈴が鳴り、店員に客が来たことを知らせる。
店の中は煙草の煙で充満していて、あちこちのテーブルで客がカードで賭博をしている。
「うわぁ・・・」
まずいところに入っちゃったかなと、内心びくびくするセキアだが、入ってしまったものは仕方ない。
カウンター席まで行って、お金を机の上に出し、女将らしい太ったおばちゃんに相応の食事を頼んだ。
「あんたよくこんなトコ入ってきたわねぇ・・・。ここら辺の人じゃないでしょ」
「はぁ・・・。旅をしています」
周りの視線に気を取られ、女将の問いに気のない返事をする。
物珍しげに見る客の視線が痛かった。
「一人でかい? どこからきたのさ?」
「うーんと・・・ここからすぐの、ロマヴの村らへんから・・・」
正確に言うと、ロマヴの村周辺の森にある小屋から、だが。
ソフィー師はあまり人と関わりたくないらしいので、ぼかしておいた。
「へぇ、そう・・・」
「???」
ふいに女将の声のトーンが落ちたのでセキアは気になったが、ちょうど食事を出されたので食べることにした。
食べている間、女将は奥へ引っ込んでしまった。
「よぉ、お嬢ちゃんなんでこんなお店に来ちゃったのかな?」