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FILE 1:強引な旅立ち

 

静かな森で、二人の人間が倒れていた。


「・・・っは、・・・はぁ・・・。ど・・・ぅです、か、師匠・・・ッ!」


あがった息を整えながら、一人が上体を起こした。どうやらまだ少女のようだ。師匠と呼ばれた人間は、年老いた女性だった。


「はー・・・はー・・・。げほっ。ごほごほッ! ・・・はぁ・・・」


老女の呼吸は回復することなく、咳き込んでしまう。慌てて、少女は駆け寄った。


「だっ、大丈夫ですか!?」

「はー・・・はー・・・。わ、私も齢なので・・・」


苦笑いを浮かべながら、老女は言う。しかし、師の身体を不安に思っていた少女の表情が、笑顔に一変した。


「・・・ぁ、あたし勝ちました! 師匠に勝ちましたよ!」


思わずガッツポーズをする少女。反対に、老女の方はぎくりと冷や汗をかく。


「そ、そうですね・・・。でもまだ・・・」

「ということは! 約束でしたよね! あたし、早速旅に出る支度をしてきますね! よーしっ」



□■□■□■□



 「それでは、行って参りますね! ソフィー師匠!」


 ソフィーと呼ばれた老女が引きとめようと小屋へ走り込むと、すでに荷物を持って少女は玄関に立っていた。


「もう用意したのですか!?」


少女――セキアは師を驚かせたことに満足なのか、終始笑顔だった。


「ふふふっ。実はしてあったのです。・・・ということで、今まで有難うございました! いってきますッ」


 ソフィーの横をするりと通って、玄関から飛び出した。あまりに素早いこうどうだったので、しばらくソフィーは呆気に取られてしまった。

 しかし、我に返ると慌てに慌てる。


「ま、待ちなさい! ・・・なんてこと・・・! あの子にはまだ闘い方をすべて教えたわけではないのに・・・。ごほっ・・・。っこうしてはいられないわ」


そうひとりごちたあと、小屋の中へ入り、急いで電話をかけた。


「・・・あ、もしもしっ!? 私よ、ソフィー。・・・えぇ、えぇ、そうなの。――――を出してもらえる?」







 ファラルシア・タウニー国の、ファラルシア城とその城下町は、ある呪いで現在石化していた。草花も動物も、人々も―――。

 しかし、その呪いから、たった一人だけ護られた者がいた。


 ファラルシア・タウニー国の王女、セキア・ティ・ファルシア。


 伝説では、自分の持っている魔石“ブルーティアー”を辺境の地にある“精霊の泉”へ捧げれば、呪いは解かれると云う。

 国が動かなくなってから十年経った今、成長し、一人で生きていく術を身につけたセキアは、国を救おうと師の下を発った。

 

 旅が、今、始まる。



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