PROLOGUE~序章~
初投稿ッス
とりあえず第1話ではなくプロローグから書きました
始まりは未来。
どこかありふれた、そんな場所。
とある大きな民家の図書室。
一組の男女が机で向かいあい、読書をしていた。
「MAGICIAN's……ねぇ」
そう言って青年は呟き、『MAGICIAN's』と題名が書かれた本を閉じた。
「話は盛られてるらしいが…隕石が落ちる前は魔法が存在したらしいし、実話だと現代まで伝わってるっと……。隕石が落ちたのはもう300年くらい前だから、実感ねぇわ」
それを聞いた女性は軽くため息をつきながらページをめくった。
「あんたが歴史調べたい言うから私の実家の蔵書読ませようと思ったのに、関心のその話読んでないのは調べる以前の問題だからでしょうが」
その女性が読む本には題名として『FANTASY's』と書かれていた。
「ま、そのあたしも興味無くてマジシャンズの方しか読んだことなくて、続編として伝わってるファンタジーズを読んでるのだけどね」
「なーんで大学のレポートをこの魔導時代の歴史にしたかなぁ俺……」
「自分で選んだ癖に愚痴るな」
彼女は更に次のページをめくった。
「とはいえ、私も本当は魔法とかまーったく信じてないというか、実感ないのよね」
「やっぱり美雪もそう思うよな?」
青年は手にしている読みかけの本に目をやった。
「美雪のご先祖さん……この優也って人は本当に経験したのか怪しいよなぁ」
「……手記とか当時の写真とか幾つかこの部屋にあるし、本当だったのかなとは思うけど300年前の隕石で魔法の力が失われたから今はありませんじゃあ、今の世代は信じる方が難しいわよね」
美雪と呼ばれた彼女の言葉に青年は少し遅れて驚いた。
「待て美雪、手記ってあんの!?マジ!?」
美雪は棒読み気味に答えた。
「あるわよー、陸斗の後ろの本棚のどこかに」
「それを先に言えよ!こんな普通の小説みたいな歴史の本読むよりはそっちのが課題的に有意義だわ!」
陸斗はそう言いながら後ろを向くと、そこには壁一面の本棚。
「あの美雪さん?おおざっぱに後ろの本棚とか言ってたけど具体的にどの辺りになりますか?」
「覚えてない」
即答だった。
「俺の婚約者は将来の旦那様に厳しいねぇ……」
「あたしの婚約者は未来の奥さんに大学のレポート手伝わせてるような男ですけど?」
「ぐぅの音も出ません……」
そう言いつつ陸斗は正面の本棚から調べることにし、やや頭の上辺りの棚から本を取ろうとした。
「あっ」
しかし手にした本と一緒にその本の隣の厚い本まで一緒に落ちて来た。
それは陸斗の顔、主に鼻に直撃し陸斗は呻き声をあげた。
「窓の近くの脚立使いなさいよバカ」
美雪の辛辣な声に陸斗は「次からはそうする」と答えて落ちた本を広いあげた。
「案外重いなこれ、手記には見えんわ」
そう言って落ちてきた本を机に置こうとした時、あることに気づいた。
厚いその本には何かの紙が挟まっていた。
「なんだこれ?」
その紙を引き抜くと、それは色がかなり褪せていた写真だった。
「……相当古い写真だなこれ」
「ん?どうしたの?」
「あぁ、落ちてきた本に写真が挟まってたんだよ」
「どれ見せて」
陸斗は美雪に写真を渡した。
美雪が手にした写真には背の低い金髪の女の子と黒髪の二人の男が写っていた。
「これ、片方の男って…私の先祖って言われてる如月優也!?」
「え!?マジで!?」
陸斗は美雪の背に周り、彼女の後ろから写真を再度確認した。
「間違いないと思う。教科書とかでこの顔何度も見たでしょ?」
「うわー……てことはこの写真って300年前の物ってことか?随分状態良いのな」
「そこなの!?」
美雪が呆気に取られてるのを横目に陸斗は如月優也と思しき人物の隣に立つ男を見た。
「なぁ、それなら横の男って……」
美雪も陸斗と同じところに目をやる。
「金髪の女の子がファンタジーズに出てくる例の子なら……刹那涼ってことになるわね……」
「マジかよ…」
陸斗が驚いていると、美雪は写真を机に置き、陸斗が机に置いた厚い本を手にして本を開いた。
「やっぱり…」
「その本がどうしたんだ?」
「……刹那涼は手記を良く取る人物だったって話は聞いたことあるけど、この本はその手記をまとめた物みたい」
「待てよ……それって大当たり!」
陸斗はパアッと明るい表情になった。
「じゃあ、これ読ませて!」
美雪は少し苦い顔をした。
「あたしもこれは読みたいのだけど……」
「なら二人で一緒に読もう!」
陸斗の発言に美雪は更に苦い顔をしたが、諦めたのかため息をついた。
「仕方ないわね、隣に来て」
「おーけぃ!」
陸斗は美雪の左隣に座り、二人で覗きこむように本を読み始めた。
時は、過去に移るーー
陸斗と美雪はプロローグとエピローグにしか出ません