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第二巻発売中! ダンジョンマスター班目 ~普通にやっても無理そうだからカジノ作ることにした~  作者: 有山リョウ


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第八十九話

 第八十九話


 勇者サイトウの癖を見破り、勝利の方程式は確立された。新たにカードが配られ、ゲームが続けられる。

 皆が様子見のコインを一枚賭けていく。


 勇者サイトウの番が回ってくる。全員の視線が突き刺さる中、勇者は百枚のコインに手を伸ばしかけた。しかし捕食者の目を向けるダンジョンマスターマダラメと優勝候補のジード、そしてカイトの視線に気づき伸ばした手を止め、一枚だけを掴み前においた。


「コッ、コールだ……」

 勇者の宣言に、会場がざわつく。初めて勇者が百枚賭けなかったのだ。これは実質勇者サイトウが勝負を降りたに等しかった。

 それを見てカイトは胸を撫で下ろした。


 もしあのまま勇者が暴走を続ければ、マダラメとジードが二人勝ちする結果となっていただろう。

 ジードが勝つのはいいが、もしジードがダンジョンマスターマダラメに敗れた場合、この大会の意義がなくなってしまう。なんとしてでも、マダラメを倒す方法を考えなければいけなかった。


 場に三枚の共通カードが示されゲームが進む。

 優勝候補のジードは手札が悪いのか早々にドロップする。


「コール十枚」

 最初に動いたのはダブリスだった。

 脱落者もいてすでに中盤に差し掛かろうとしているが、ようやくまともなゲームが始まったと言える。


 カイトは手札を思い出しダブリスを見る。

 牽制的な掛け方と言えるだろう。多少いい手が入ったと言った感じだ。こちらの出方を見て動きを変えるはずだ。

 他の参加者がコール、あるいはドロップしていく。勇者サイトウはドロップし、カイトは様子見でコールした。最後にダンジョンマスターマダラメの番になった。歩調を合わせてコールかドロップするのかと思いきや百枚のコインを差し出した。


 これには会場だけでなく、カイトや勇者サイトウも驚いていた。唯一、ジードだけはまるで知っていたかのように微笑んでいた。

 勇者サイトウの視線がタブリスやマダラメの間を行き来する。


「ん? どうした? コールするか?それともドロップか?」

 ダンジョンマスターマダラメが周りを見る。せっかくまともになり始めたと思ったのに、またしても百枚ものコインが賭けられた。

 意図が読めず、他の参加者たちが降りていく。


「いいだろう、受けよう」

 ダブリスが勝負に乗った。ハッタリで下ろす作戦だと見たのだろう。さらにコインを追加する。

 他のみんなが降りてしまいマダラメとダブリスの一騎討ちとなる。

 四枚目の共通カードが明らかとなる。


「ベット、百枚」

 ベットラウンドで、ダブリスが百枚のコインを賭ける。

 先ほどの仕返し、と言ったところだろう。


「コール」

 だがダブリスの反撃に対して、ダンジョンマスターマダラメは間髪入れず同額を差し出した。これには仕掛けたダブリスも息を飲む。

 余裕の笑みを浮かべているマダラメ、自分が関わっていないだけに、勇者サイトウも興奮に息が荒い。

 最後のカードが提示され、最終ベットラウンドとなる。

 先ほど、迷うことなく百枚をかけたダブリスだが、すぐに動けないでいた。


「ベット、一枚だ」

 ダブリスは一枚のコインを置く。だが次の瞬間、マダラメが百枚のコインを突き出すようにおいた。


「どうする? コールか? それともドロップするか?」

「クッ……良いだろう。コールだ」

 マダラメの挑発に、ダブリスが百戦錬磨の勝負師として応じる。

 勝てば大金星、たとえ負けても相手の傾向が見えるのなら、のちの勝負につながると考えているのだ。

 予想外の大勝負に、全員が息を飲む。そして両者の手札が明らかとなった。


 ダブリスの手札はブタ。一番数字の大きなカードは8。一方マダラメはと言うと、こちらもブタ。ただし手札には10があったため、マダラメの勝ちとなった。


「なっ、なんだ、その手札は」

 ダブリスが顔を歪めながら言葉を漏らす。

 これにはカイトも信じられなかった。


 ダブリスの8はわかる。元々牽制で賭けただけだから、そんなものだろう。問題はマダラメの手札だ。10。弱くはないが決して強くもない。必勝を確信することはできなかったはずだ。

 弱いカードでハッタリをかけるのはわかるし、強いカードで強気になるのもわかる。だがこの中途半端な手札で、なぜあそこまで強気になれたのか。


 ただのハッタリ? 運否天賦に全てを委ねただけの結果なのか?

 カイトはダンジョンマスターマダラメを見た。

 その表情からは何も読み取ることはできなかった。


 だがカイトは、これがただの偶然による勝利でないと確信した。

 勝負師にはいろんなタイプが存在する。

 運を味方につける者、勢いで勝負に勝つ者、ハッタリ一つで凌ぎ切るもの。だがこのマダラメという男は、そう言ったタイプの勝負師ではない。


 勝負をするのは今日が初めてだが、カイトはこのダンジョンをずっと見てきた。

 このダンジョンを作った人間は、運に身を委ねる人間ではない。常に理詰めで考えて行動し、勝つべくして勝つことを目指す人間。


 当然その勝利が偶然であるはずがない。この勝利には何か裏がある。

 それに気付けなければ、この勝負は負ける。

 カイトは拳を握りしめた。


いつも感想やブックマーク、評価や誤字脱字の指摘などありがとうございます。

最近更新が遅く申し訳ありません。

ちょっといろいろ立て込んでおりまして、この埋め合わせは、いつかできると思うのですが、もう少しお待ちください。


これからも頑張りますので、よろしくお願いします。

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まぁあからさまに教えてくれるやついるしね…
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