第二百二十一話 カウントダウン
ダンジョンマスター班目、書籍発売記念更新
TOブックス様より十一月九日『にダンジョンマスター班目~普通にやっても無理そうだから、カジノ作ることにした~』
が発売されます。
本の売れ行きで続刊が決まるので買ってくれると嬉しいです
第二百二十一話
「お前に支配者は似合わない。だからマダラメよ、私がお前を倒してやる」
シルヴァーナの言葉を聞き、マダラメは胸を突かれた様に息を止め、瞳孔が僅かに開いた。
あのマダラメが動揺しているのだ。
その姿はあまりにも隙だらけで、今すぐにでもマダラメの首をとれてしまいそうだった。
放心したマダラメの顔を見て、シルヴァーナの心には一撃を与えた喜びより、罪悪感が勝った。今でこれなのだ。マダラメを倒せば、シルヴァーナは悲しみを覚えることだろう。しかし今更である。すでにマダラメと戦うと決めているのだ。やり切るしかない。
マダラメが動揺から立ち直る直前、祝賀会の会場にいるダンジョンマスター達がざわつき始める。
広場の中央には大きな球体が置かれ、高速で増える数字が表示されていた。あの数字はマダラメの所持しているポイントを示している。数字はもう少しで十億に達しようとしていた。
シルヴァーナがマダラメと話す前までは、まだポイントに余裕があり、十億達成まではあと数時間は必要だった。しかし急にポイントが跳ね上がり、今にも十億に届こうとしていた。
これはシルヴァーナの仕込みであった。十億達成の瞬間を狙って来ると、マダラメも予想していたはずだ。そのためあえてマダラメにポイントが入るように仕込み、十億達成の予定時間を早めたのだ。
急に数字が跳ね上がったことに、会場に集まったダンジョンマスター達は動揺するも、喜ばしいことだと盛り上がり始める。そしてどこからともなく手拍子の音が響く。
はじめは小さかったが、次第に手拍子の音が重なり、最後にはひと固まりとなる。
手拍子は音の波濤となって祝賀会の会場を震わせた。
「十!」
マスターの一人が、手拍子と共に声をあげる。声の意味に気づいたほかのマスター達も手拍子と共に声を合わせる。
「九! 八! 七!」
手拍子と声に合わせるように、球体の数字は増えていく。
シルヴァーナと対峙するマダラメは、まだ動揺から立ち直っていなかった。更に急なポイントの増加とダンジョンマスター達のカウントダウンに、精神的な動揺がさらに広がる。
六、五、四と、カウントダウンは次々に進む。
唱和される数字が三を数えた時、シルヴァーナは懐に手を伸ばした。そこには勇者サイトウを召喚する転移の呪文書が治められている。
二を数えた瞬間、会場全体に目を向ける。会場の周囲には、事前に配置したモンスターがいた。あのモンスター達には、同じく転移の呪文書を持たせている。十億達成と同時に、転移の呪文書を使用して、モンスターを召喚する手はずだ。
「一!」
球体に映し出される数字が、限りなく十億に近づく。
「零!」
ひと際大きな声と共に、十億が達成された。
ちょっと短くてゴメン
どうしてもここで切らなければならなかった
明日も更新します