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第二話 様々なクリエイト

 第二話


 謎の文字が浮かぶ球体の前で、俺はしばらくフリーズした。意味が分からない。

「どういうことだ?」

 問いかけたが、答えてくれるものはいなかった。


 もう一度球体に触れてみると、ようこそと書かれた文字が消え、今度は四行の文字が現れた。


 ダンジョンクリエイト

 モンスタークリエイト

 アイテムクリエイト

 オブジェクトクリエイト


「どーいう意味だよ」

 意味が分からない。ただ、クリエイトというからには、作り出せると言うことだろう。

「モンスターやアイテム。オブジェクトは分かるとして、ダンジョンってなんだ?」

 ダンジョンの文字をなぞってみると、文字が上へと移動し、空いた場所に図形が現れた。

中央には半球状の絵が一枚。半球の中心には赤い球体が一つ。赤い球体の横には青い光で人型の様なものが書かれている。

 青い人型は、わずかに動いていた。


「これは、もしかして俺か?」

 少し後ろに下がってみると、連動する形で青い人型も動いた。どうやら半球状の図形はこの空間。赤い球体は目の前にある不思議な石を指しているらしい。

 石に触れるとスマホのように操作で来て、立体的に見ることが出来た。


「すげぇな、こんな技術あるんだ」

 SF映画で見るようなすごい技術だ。

 すごいことはすごい。それは間違いないのだが……

「でもこれでどうしろと?」

 意味は分かったが、何をすればいいのか分からない。何かさせたいのなら、説明書ぐらい置いてほしい。洗練されすぎていて逆に使いにくい。


「とりあえず、触って使い方を覚えるしかないか」

 危険な気もするが、この部屋からは出られない。なら、いずれこれに触れるしかない。

 とりあえずわかる範囲内で情報を拾ってみる。

 まず意味あるものとしては、石の右下数字が書かれている。数はきっかり十万P。Pの意味は不明だが、ポイントということでいいのだろうか?


 手始めに赤い球体を触れてみるが、何もなし。多分、俺を指す図形である、人型に触れてみると、これにも反応はなかった。

 次に部屋を構成する、半球状の線に触れてみると、これは指で引っ張るように動かすことが出来た。

 ちょっとだけ使い方が分かったと思った直後、突然天井部分で音がした。慌てて見上げると天井に大きな穴が開いていた。直径一メートルほどの穴だ。さっきまであんなもの絶対になかった


「え? ええ?」

 俺は天井と、さっきいじった部分を見比べる。天井に開いた穴の場所と、絵の位置は一致していた。

 この絵をいじったから、穴が開いたのだ。そうとしか考えられない。

 トリックや仕掛けでもない。まるで魔法だ。

どうやらこれはマジもんらしかった。


「ほんとかよ、マジか。うそだろ? ダンジョンって」

 さっきダンジョンマスターと書いてあったから、どうやらこれでダンジョンを作れと言うことなのだろう。

 まるでゲームだ。そういえば、右下にある数字が一つ減って九万九九九九Pとなっていた。おそらく穴をあけるのに使用したから、数字が減ったと考えるべきだろう。


「でもこれで外には出られるな」

 穴をあけられるのだから、いずれ外には出られるはずだ。朗報だが素直には喜べない。

 こんな力を与えておいて、簡単に逃げだせるとは思えない。逃げだしたら頭が爆発するとか、そんな仕掛けがあっても不思議じゃない。大胆な行動をする前に、よく調べたほうが良さそうだ。


「でもどうすればいいんだ?」

 少しいじってみると、携帯のタッチパネルの様な操作で縮図を変えることが出来た。縮図を小さくしていくと、上に地上らしきものがあった。どうやらここは見た目通り地下らしい。

「ええっと、ここの天井が三メートルとして、この縮図でここがこの大きさだから、ざっと見て地上までは……三十メートルほどか」


 指で計った程度のおおざっぱな図り方だが、大体そんなものだろう。

 さらに縮小して周りの地形を調べてみると、ここは山のふもとらしい。目の前には森が広がり、少し離れた所には川があった。


「ん? これは道か?」

 山から少し離れたところに、道らしきものがあった。

 道の先をたどっていくと、壁があった。大きな壁だ。ぐるりと円を描いて作られており、壁の向こうには民家が連なっている。町だ。

 町を中心に拡大してみると、人型のものが動いていた。

 町並みは中世ヨーロッパといった雰囲気だった。詳しい材質までは分からないが煉瓦の家がほとんどで、馬車らしきものが走っているが、車の姿はないし信号機もない。文明レベルはそれほど高くなさそうだ。


「取りあえず、人がいるっていうのは有難いな」

 道を開いて街に行きたかったが、軽はずみな行動は危険と考え思いとどまった。

 何せ俺はダンジョンマスターだ。それがここではどういう意味を持つのかはわからないが、好意的にとらえられているとは思えない。しかもモンスターを生み出せると言うのだから、邪悪な存在と考えられているかもしれない。


 ひとまずは様子見だ。

町に行くのは、自分が他になにが出来るのかを調べてからでも遅くはない。


「まずはアイテムから触ってみるか」

 危険が少ないと思われる、アイテムクリエイトの項目を押してみる。

 すると画面がまた切り替わり、いろんな図形の物が現れた。

 コインや硬貨の様なものから、剣や鎧、盾や兜といった武具。液体の詰まった瓶の様な絵柄が並ぶ。

 とりあえず剣を選んでみると、今度は材質の項目が出てきた。

 銅に鉄、鋼だけではない。ミスリルにアダマンタイトと言った、ゲームやファンタジー小説に出てくる金属が並んでいた。その他にも、見たことも聞いたこともない金属でいっぱいだった。


「やっぱゲームか」

 地球での常識を投げ捨て、ゲーム脳に切り替えたほうが良さそうだ。

「しかもオリハルコンまでありやがる」

 名前からして高価そうなオリハルコンの剣は、作成に一億ポイントも必要らしく、今の俺には作れないので赤字となっていた。他にも、強力そうな金属は総じてポイントが高く、簡単には作れない様になっている。


 とりあえず鉄の材質を選んでみると、画面が切り替わった。この項目では耐久力や切れ味といった、剣の性能をいじれるようだった。他にも刀身の形状を変化させたり、炎や電撃をまとう魔法の剣にも出来るらしい。


 もちろんそれらはポイントを消耗するので、なにもいじらずに、デフォルトのままの鉄の剣を生み出してみる。消費ポイントはたったの十ポイントだ。

 決定ボタンを押すと、何もない空間から、本当に剣が現れて床に落ちた。拾い上げて鞘から剣を抜いてみると、球体が放つ淡い光を反射して、銀色の刀身が輝く。


「わぁ」

 こんな状況だというのに、子供っぽいことだが心が躍った。こんな大きな刃物、生まれて初めて触る。

 軽く振ってみるが、思った以上に重い。ちゃんと踏ん張っていないと体がもっていかれる。


「って、そんな事やってる場合じゃないな」

 誰が見ているわけでもないが、少し恥ずかしかった。

 とりあえず本当にアイテムが生み出せることは分かった。他にも服や靴も作れるし。瓶の絵柄は回復薬と言うことも分かった。効果のほどは分からないが。この状況を考えるに、それなりに効果があるものなんだろう。

 他にも食料やトイレットペーパーや歯ブラシといった日用品。筆記用具なども作れた。これは中に住む俺用の項目だろう。少なくとも衣食住で困る心配はなさそうだった。


 他にも定型の物だけではなく、俺自身がイメージしたもの作れるらしい。ただこちらは作成するときの消費ポイントが、定型のアイテムより割高となっている。

そして一部、作ることが難しい物があることもわかった。

 銅や鉄などの金属や木材を加工したものならば、少し割高な程度で作れるのだが、石油製品や化学製品などは信じられないほど高くなってしまうのだ。

 試しにポリエステルの服を作ろうとしたが、普通の服の数百倍のポイントが必要となってしまった。


 おそらくだが、この世界ではまだ石油製品が作られていないのだろう。

 存在しないものを作ろうとすると、その分高くなるようだ。

 不便だが、オーパーツを量産させないための仕様だろう。


「でも抜け道はあるな」

 石油製品や化学薬品等は高価となるが、薄い鉄板や厚さが均一のガラス。薄く真っ白な紙などは比較的安いポイントで作れてしまうのだ。

 この世界に来てまだ三十分、外にどんな世界が広がっているかわからないが、中世レベルと仮定すると、これらの品物は稀少なはずだ。

 薄い鉄板を大量生産しようとすれば、高炉で製鉄し巨大なローラーで押し伸ばす必要がある。ガラスの厚みを均一に作るのも難しいはずだし、真っ白な紙も漂白に手間がかかるはずだ。

 しかし、この世界でも作ろうと思えば作れる。熟練の職人が手間暇をかければ、ギリギリ作れないものではない。


「技術や手間暇は無視できるのか」

 この時代に存在はするだろうが、量産することが困難な物でも安く作れてしまう。ポイントが高くなるジャッジは割とあやふやだ。

 これが何に役に立つかはわからないが、ルールに穴があることは覚えておいて損はないだろう。


 次にオブジェクトクリエイトを見てみる。

 これも触ってみるとわかるが、まんまゲームだった。

 これは宝箱や扉といった、ダンジョンを彩る物を作れるらしかった。柱や彫刻。小さな噴水も作れるし、侵入者を撃退する罠や回転床などもオブジェクトの一つに入るらしい。罠の強度や威力。どのような罠にするかで、かかってくるポイントが違ってくる。

 変わったところでは水エリアのためか、ため池や小川がつくれるし、灼熱エリア用のマグマや密林エリア用の樹木といったものまで作れるのには驚いた。


 ただし、延々と水を流したり、灼熱のマグマを設置するのは高いポイントを必要とするし、なによりランニングコストがかかるらしく、常時一定のポイントを必要とするらしかった。無計画に設置すると、あっという間にポイントがなくなっていくだろう。

 

 試しに宝箱を一つ作成してみる。

 これも材質や形状、鍵を付けるか、罠をつけるかでいくつかの項目が出てきたが、一番安い宝箱を選ぶと、木箱が出てきた。

 中を開けてみると、当然何もない。とりあえずさっき手に入れた剣を入れておこう。


 オブジェクトクリエイトも、アイテム同様、俺のイメージで作りたいものが作れるらしかった。

 また、アイテムとオブジェクトはコピーが出来るらしく、元のアイテムやオブジェクトがあれば複製できるみたいだった。

 大量に複製すればするほど、一個あたりの作成ポイントを減らすことが出来るので、食料や日用品はコピーで作り置きしておくべきかもしれない。


 いろいろとコツが分かってきたが、ここからが問題だった。

「モンスターか」

 モンスタークリエイト。どう考えても不吉だが、これを避けて通るわけにはいかなかった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] アイテムとオブジェクトのコピーは、素晴らしいですね 細かい設定が、分かりやすいです
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