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EP.5 - 49

 あれこれ気を回したつもりであったキースは、結局不機嫌になってしまったユーシィの姿を見てほんの少し気落ちした。


 嫌われているという事に対してはそれ程気にならなかったが、それなりの気遣いをしながら接したにも関わらず思い描いた効果が得られなかったという、己の不甲斐無さに気を落としたのだった。


 ユーシィに対して、夜も遅いので寝てはどうかと提案したが拒否されたので諦めて別の者への尋問を始めることにした。


 事件の核心に一番近いであろう人物は恐らくジゼだろうと踏んだキースは、彼にあれこれ質問を投げかけた。


 何者かの密命を受けているであろう彼に対し、通常の方法で真実を語らせるのは難しい。

 だが、コアンに危険が及ぶかもしれないので早めに解決したいと前置きをしたら、途端に口が軽くなり、聞いていないことまで喋り出した。


 ジゼ曰く、異端審問官というのは国を統べる王族が方々から腕の立つ者を集めて作った精鋭部隊で、自分のように海賊を生業としている者など、ほぼ教会とは縁のない出自の人間で構成されているとのことだった。

 命令の内容から察するに、教会の教えに背く異端者を監視するというのは表向きの名目で、教会全体を監視し、王族に対し謀反を起こそうとする反乱分子を潰すことが目的だろうと、ジゼは語った。


 キースは、べらべらと良く喋るが信用しても良いのだろうかと不安になりながも、ミノーグ家とマークェイ家のいざこざの最中、共に行動していた賊は何者なのかと質問した。


 リーダーを含めた数人は海賊の間でも知名度の高い凶悪なグループで、他は金で雇われた傭兵とのことだった。

 教会に関わろうと画策していたので監視対象となっていたが、どこかの神父が神の名の下に成敗してくれたので肩の荷が降りて助かったと、ジゼは皮肉交じりに言った。


 大聖堂で起こした行動の真意をキースが問うと、お前を助けてやったんだとジゼは答えた。


 クレイス家は既に王族から目をつけられていた。

 先ずは誰か一人を処刑し、後々に警告して有無を言わさず従わせよという命令を受けた異端審問官らは、丁度査問会議という誘い出す理由のあったキースに白羽の矢を立てた。


 が、神の化身である狐巫女がキースと懇意にしていることを思い出したジゼは、そんな事をすれば神の怒りに触れてしまうのではと考え、同じく海賊出で親交のある審問官らに相談をした。


 近年、"狐憑き"という信仰が何故か海賊の間で急速に広まり、少なからずその思想に傾倒していた仲間の審問官らはジゼの語る狐巫女の不思議な力の話に感化され、誰かを処刑したという事実を捏造する大芝居を打ちキースを救ったのだという。

 死んだように見せかけただけで、実はあの場では誰も死んでいなかったとのことである。

 クレイス家の誰々を処刑した、では、キースが生き残っているので嘘がばれてしまうと考えたジゼらは、"ミノーグ家と密約を交わした海賊と結託していた者"というほぼ特定不可能なまどろっこしい表現で宣言をし、殺された者が誰かであるかを安易に特定させないようにしたのだという。


 衝撃的な事実を伝えられたキースは一瞬固まったが直ぐに気を持ち直し、命を救ってくれたジゼに礼を言った。


 次いで、今回の襲撃事件の犯人に心当たりはあるかとキースは問うた。

 それに対しジゼは、芝居を打ったのが王族に知られて自分が処刑されることになったのではと考えていたが、どうもそうではないらしい、と答えた。


 ジゼは食堂での騒ぎを見ていないようで、状況を正確には把握できていないようだ。


 その後、襲撃事件についての所感をいくつか語った後にジゼは、海賊の中でも指折りの実力者であるモエナ=マトーを差し向けられるとは、自分も随分高く評価されたなと思っていたのに残念だ、と締めくくった。


 ジゼのその話を聞いたキースは、次はモエナに話を聞かねばなるまいと考えた。

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