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EP.5 - 43

 キースは身内の神父が大層驚いた様子で語る話を努めて冷静に、しかし若干気分を高揚させつつ聞いていた。


 ――――獣の耳と尻尾を生やしたあの少女が、死んだ者に眩い光を浴びせて蘇らせた。


 その神父が語った話の内容は常識を超えたものであったが、キースはそれを全く疑わなかった。

 コアンは傷の治りが異常に早いという特徴があり、彼女の近くに居た自分やユーシィにも同様の現象が起こった事から、人体の治癒能力を高める不思議な力を彼女が持っていると既に認識していたからだ。


 しかし、その力が死者を蘇生する程のものであるとまでは思っていなかったので、キースは感情の昂ぶりを抑えきることが出来なかったのだった。


 コアンが神の使いであるという話をキースがここで語り、皆に茶化されたのは昨晩だ。

 昨日の今日では流石に忘れる筈も無く、神父はその件について謝罪をし、考えを改めるという意思表示をした。

 その後彼は、居てもたってもいられないという感じで他の者達に同様の話をして回っていた。


 キースはコアンが襲撃者の一人を蘇らせた理由を考えた。

 本人がすぐそこに居るのだから直接聞くという方法が一番手っ取り早いのだが、少々複雑な質問になってしまうので、互いが扱う言語を理解し合っていない現状では、それは難しいだろう。


 こんな事になるならもっと熱心に彼女の話す言葉を学習しておけば良かったと後悔しつつ、キースは必死に考えを巡らせたが、結局何も思いつかなかった。

 蘇った男は、まだここで死ぬ運命ではないとコアンが判断した、という事にして一旦置き、今目の前にある問題、襲撃者の目的について考えることにした。


 昼間から、何者かに自分が監視されていることに、キースは気付いていた。

 襲ってくる気配がまるでないので、異端審問官に連行されているときは、実は身内なのではないかと考えていたが、結局それも分からず仕舞いであった。


 その監視者がこの襲撃者と同一であるとなると、益々もって目的が分からなくなる。


 何故あの時襲わなかったのか。

 何故今になって襲ってきたのか。


 キースは、その辺りの謎を解く鍵は、恐らくクレイス家当主、つまりキースの祖父が握っていると考えた。


 何も知らぬまま騒動の渦中で右往左往するのは気分が悪い。

 そう考え、キースは祖父に真実を語るよう、詰め寄ることにした。

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