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EP.5 - 33

 先程までは再会を喜んでいたユーシィとリニーが口喧嘩らしきものを始めた横で、こちらをジッと見つめる女性がいた。


(そういえば、あの人は誰なんだろう?)


 ユーシィよりも年上に見えたので、もしや彼女の姉なのかと最初は思ったが、様子を見る限りでは違うように思える。

 実の姉であるならば、もう少し妹との再会を喜んでも良いだろう。


 では彼女は何者なのだろうか。


 安物の服を着ているところから、この家の者ではないことが憶測される。

 そして彼女と似たような服をリニーが着ているので、二人は行動を共にしていた可能性が高い。


(一緒に居たって事は…………う~ん?)


 ユーシィはエスティを憎んでいた。殺意を抱くほどに。

 それは姉や妹に危害を加えたからだが、それを実行したのは恐らく(つる)んでいた賊だ。

 先日起こった誘拐事件から察するに、ヤツらは人身売買を稼ぎの種にしていたように思われる。

 つまりリニーは賊に攫われ、どこかに売られそうになっていたと考えられる。

 例えば、商品として何処かに押送される最中か、或いは幽閉されている時に二人は一緒になり、脱出を図り見事成功して今この場に辿り着いたのではないだろうか。


(まあ、悪い人ではなさそうだし考えてもしょうがないか)


 口喧嘩が収まらない姉妹と、それを見ながらどうしていいか解らず立ちつくすキース、そしてこちらを見つめて立っている謎の女性という構図は暫く続いた。




 やがてユーシィとリニーが落ち着くと、全員室内に入りソファーに腰掛けて談笑を始めた。




 ユーシィとリニーは俺の向かいに座っている。

 時折強い口調で言い争っているが、何故か仲良さそうに身体を寄せ合っている。

 なんだかんだ言っても実の姉妹だ、再会出来た事が嬉しいのだろう。


 キースはというと、左手に座している。

 そして俺を持つコアン隣に腰掛ける謎の女性と言葉を交わしている。

 会話の内容に質問が多く見られるところから、二人は顔見知りでは無い様に思われる。


 コアンとエルミーはというと、飽きもせずカーアクションゲームを協力プレイで遊んでいた。


「あー、はらへったなー」

「ハラヘッター」


 コアンとエルミーが空腹を訴え出した。


(そういやまともに昼飯食ってなかったな)


 大聖堂に向かう途中で食べた串焼き以降、彼女達が何も口にしていない事を思い出した。


「ハラヘッター?」


 謎の女性がコアン達の言葉を復唱した。

 すると、コアンはそれにリアクションを返す。


「はらへった! にくたべたい!」

「タベタイ!」


 育ち盛りの少女達はしきりに空腹を訴える、日本語で。


(いやいや、伝わらないだろ……)


 日本語なのだから異世界人には当然通じない。

 俺はそう思いコアンに呆れていると――――


「トーリトッリ、ニークニック、ハーラヘッター♪」


 謎の女性は聞き覚えのある歌を歌い出した。


(えっ!? 何でその歌知ってるの!?)


 コアンが空腹時に良く歌う、自作なのか何なのか良く解らない歌を、彼女は唐突に歌ってみせた。


「ぶーたぶった、ぶーぶー、おーなかっは、ぐー」

「グー」


 コアンとエルミーは続きを歌ってみせたが、空腹のせいか少々投げやりな感じだ。


(いやいや、気づけよお嬢! この人日本語使ってるぞ!)


 身元不明な彼女の口から飛び出したのは、まさかの日本語の歌。

 謎の女性の謎は深まるばかりであった。

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