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EP.5 - 31

 長かった航海は終わり、モエナはリニーの家族と獣耳の少女が待つ大陸へ降り立った。


 モエナが乗ってきた海賊船は白昼堂々港町に停泊している。

 何故そんな事が許されているのかというと、簡潔に言えば、海賊という存在そのものを取り締まる法律が存在していないからだ。

 なので、突然海賊船が港に現れても文句を言う者は出てこない。

 もちろん不満を持つ者は居るが、海賊が恐ろしくて歯向かう事が出来ずに我慢をしているというのが現状だ。


 世界の大半を統治している教会には、海賊をどうにかして欲しいという内容の嘆願書が頻繁に届いていた。

 その為、海賊と教会は定期的に会合を行い、海上や港でのトラブルを最小限に留めるよう協議を重ねてきた。


 協議の結果、教会は海賊行為の自粛を条件に、海賊の港町への寄港を不問とすることを決定した。

 なので、悪ささえしなければ海賊船が港から追い出されることはないのである。





 モエナは手下達を港町に残し、リニーと共に彼女の実家へとやってきた。





 マークェイ家三女は無事、帰還を果たした。

 海賊船では気高く振舞っていたリニーだったが、実家の床を踏みしめ、両親の姿をその眼で確認すると、堰を切ったかのように泣きじゃくった。

 一応、長女の記憶を持った者も訪れているのだが、家族が混乱すると思いモエナは黙っておくことにした。


 これで一仕事終えたなと、その場から立ち去ろうとしたモエナだったが、次女のユーシィが狐の耳と尻尾を生やした少女と行動を共にしているという話をリニーの両親がしているのを聞き、予定を変更してユーシィが現在いると思われるクレイス邸へと向かうことにした。





 モエナと、姉に会うという目的で同行することになったリニーは、クレイス邸を訪問した。





 二人は巨漢の神父キース=クレイスに連れられ、客間に通される。

 そこには、記憶と寸分違わぬ少女の姿があった。

 勿論それはエスティの記憶であるが、やはり、モエナ=マトーの記憶にある獣耳の少女の姿にも酷似していた。


 湧き上がる様々な感情をどう処理したら良いか解らず立ちつくしているモエナの耳を、女性のとんでもなく大きな悲鳴が襲う。

 それに驚かされてしまい、感動の再会どころで無くなってしまったモエナは、自嘲気味に鼻で笑いつつ、ゆっくりと眼を閉じて気持ちを落ち着けさせると、こう思った。


 ――――私の旅の終着地はここで間違いない、と。

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