表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

101/160

EP.5 - 52

 寝室に案内され、寝るよう促されたコアン、エルミー、リニーの三人は、複数あるベッドの内の一つを選び、三人で一緒に潜り込んだ。

 明かりの消えた室内ではスマホの画面だけが光を放ち、そこでは何十回戦目かわからない"けものピラーバトル"が行われている。


(三人とも良く飽きないな……)


 一日の長があり、手先の器用さにも目を見張るものがあるコアンはなかなかミスをしないが、今日始めたばかりのリニーは自分のターンでゲームオーバーになってしまう事が多かった。

 そんなリニーをコアンは「下手糞」と煽る。

 当然リニーは日本語が理解出来ないのだが、あからさまなコアンの態度で何を言っているのかを察し、ゲームを中断してベッドの中でじゃれ合い(リアルバウト)が始まる。

 すると、二人の間に寝ているエルミーはとばっちりをモロに受け、もみくちゃにされるのだった。

 その様子から察するに、スマホゲームが楽しいからというよりは、寝る間も惜しいほど遊びたいといった感じだ。

 それぞれ事情は違うだろうが、三人がこの瞬間を何ものにも代え難いと感じていることは間違いないだろう。


「ん?」

(…………ん、どうした?)


 ベッドに潜り込み自分のターンを待っていたコアンが突然起き上がったようだ。


「いまなんかきこえたな……」


 どうやら何か気になる音を聞いたらしいが、俺にはそれが何であるか解らなかった。


 丁度そこでゲームがコアンのターンになり、リニーからスマホを手渡された彼女は画面を操作してLEDライトを点灯させると窓際へと向かった。


(外からなのか……って、ここ確か三階だったよな、何が聞こえたっていうんだ?)


 聴力に定評のあるコアンなので外の物音は色々聞こえているだろうが、普段からそれにいちいち反応したりはしない。

 ということは何かしら違和感を感じる音を聞いたという事になり、それが地上から数メートル離れた三階の部屋での出来事となると更に異常さは増す。


 コアンは窓に近付き、ライトで外を照らした。

 するとそこには、普通ならばある筈のない人影があった。


「うわっ! おばけ!」

(違う! また誰かが襲撃しに来たんだ!)


 咄嗟の判断で俺は、警報代わりに"Find me"機能を作動させた。


 けたたましい音と音声が鳴り響く。

 子供三人では襲撃者を撃退するなど不可能だ、この屋敷のリアルモンク達に助けを求めなければならない。

 すぐ目の前に敵が迫っている、とんでもない緊急事態だ。


(やべーぞ、大ピンチだ! ……って、あれ?)


 窓の外にあった筈の人影が、いつの間にやら消えていた。


「きえた……あくりょうたいさん!」

(いやいや、そんな訳……うおっ!?)

「コアン、ティンドバック!」

「おわっ!?」


 人影が消えた原因が解らず困惑していると突然視界がぶれて、次いでエルミーの声が聞こえてきた。


「なんだなんだ!?」

(やっぱそうだよな! あいつ、俺の光と音にビビって一旦退いたんだ!)


 LEDライトの光は異世界人にとって不慣れなものだろう。

 そしてFind me機能で発せられる音声は男の声で、機械音も聞き慣れないものの筈だ。

 警戒して退き下がるのも無理はない。


(この隙に逃げるしかない!)


 コアンはエルミーに引っ張られ、リニーと共に襲撃者に狙われた寝室を脱出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ