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EP.5 - 51

 モエナの尋問を終えたキースは、次なる標的に祖父ニザムを選んだ。


 襲撃事件の黒幕については最早疑いようもないので、キースは黒幕とクレイス家の関係に着眼点を置いた質問をニザムに投げ掛けた。


 自分の居ない間に王族の機嫌を損ねるような活動を行ったのかと質問すると、気付かれないよう気を付けていたのだが……という、何とも間の抜けた答えが帰ってきた。


 歳を取ると判断力が鈍り、自分の行動を疑わなくなる。

 キースは、耄碌した爺様の軽率な行動で一族が危機に晒されているのかと呆れ、国王の元に首を置いてくる気は無いかと、ニザムに問うた。


 親族の間柄でなければ通用しない冗談であろう。

 孫の痛烈な言葉攻めにニザムは苦笑いを浮かべ、墓まで一緒に行きたいので無理だと返した。

 キースも元より祖父を犠牲にするつもりは無かったのでそれを軽く受け流した。


 ニザムは、襲撃犯は王族の差し金と見て間違いないだろうが、具体的な行動に出た訳でもないのにここまでの事をするのは腑に落ちないと語った。


 耄碌爺の言うことなど信用できるだろうかと考えたキースだが、他の一族の者も同意しているようなので、一先ずその点については保留とした。


 では、襲撃犯の狙いは何だったのだろうかとキースは考える。


 王族にとって邪魔なものが現れたから襲撃犯を差し向けたのは間違いないだろうが、それがクレイス一族の者で無いとすると、他に該当する者が居なくなる。


 キースが悩んでいるとジゼが、ミノーグ家が良からぬ事を吹き込んだのではないだろうかと言ってきた。

 巫女候補に仕立て上げたエスティが死んでしまったので、腹いせにクレイス家に関するデタラメな噂を吹聴したところ、元々目を付けられていたのが災いして今回の事件に至ったのではというのがジゼの考えだった。


 キースが、少々強引な理屈ではないかと言うとジゼは、狐の巫女を誘拐しようとするような輩ならばやりかねない、と語尾を荒らげて反論した。


 少々気が立ち始めたジゼがこのまま捲し立てるかと思われたが、そこへモエナが割って入ってきた。

 彼女曰く、ミノーグ家はそのような事は画策していないとのことだった。


 キースは一瞬、何故部外者のモエナがそんな事を知っているのか疑問に思ったが、海賊と協力関係にあったミノーグ家の情報がモエナの元に流れていてもおかしくないかと思い、納得することにした。


 しかしモエナの言葉にジゼが反論する。

 確かに狐の耳と尻尾を持った少女を誘拐しろという命令が出ていた、と。


 ジゼのその言葉を聞いたモエナは、唐突に座っていた椅子をはね除け物凄い勢いで会議室を出ていった。


 一瞬の出来事に唖然としていたキースであったが、モエナの行動の真意に気付き、声を上げた。

 そして、同時にジゼも同じ言葉を発した。


「「……コアン!」」


 二人は会議室を駆け抜けドアを乱暴に開き、廊下に躍り出た。

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