プロローグ
初投稿です!一人でも多くの読んでもらえたらと思っています(ニヤリ)。
「プロローグ」
「千城市名倉町で20代の男性と思われる遺体が発見されました。男性の体に損傷がないことから自殺の可能性があると見て警察は調査をしており___。」
朝テレビに映るニュースキャスターがやや早口で噛まずに手元にある原稿を読み上げる。
ここ千城市では朝からいきなり物騒な事件や事故などのニュースが流れるのは珍しいことではない。しかも日本で一番の犯罪、事件数を叩きだしている。そんな"いつも通り"のテレビを眠そうな眼差しで眺める一人の男がいた。
「ふーん。この前の事件…"自殺"ってことになってるのか」
豚骨醤油味と書かれたカップラーメンをすすりながら不思議そうな表情になる。机の上に置かれた名札には積弥下巡査と書かれている。おそらく…いや、職業は警察官であることは間違いない。
「マスコミ側はそう言うしかないのよ。」
後ろから突然かけられた声に驚き積弥下はうっかりカップラーメンを落としそうになり、何事かと振り返ると見覚えのある顔にさらに驚きすぐさま立つ。
「お、おはようございます!佐原警部補!」
ビシッと効果音がなりそうな勢いのある敬礼をする。
「悪かったわ。驚いちゃったね」
だらしない格好に立派な敬礼をする積弥下の姿に思わず笑みがこぼれる。佐原のほうはスーツを着こなしているが口調や笑った時のしぐさにどこか愛らしく感じる。
「い、いえ!でも、佐原警部補…マスコミが
"そう言うしかない"というのはいったい_。」
「その事で話をしにきたの積弥下君。いえ…積弥下巡査。まずこの資料を見てくれる?」
「それは今朝のニュースの事件資料ですか?自分は担当じゃないんで詳しく知りませんが…」
渡された資料を見た瞬間、そこに記されていたことに自分の目を疑う。
「被害者男性の遺体には損傷はなく、解剖を行った結果"内蔵と血が全て無くなっていた"?」
普通ならばありえない事だ。体を引き裂いていたならまだしも、その痕跡がない上に中身が無くなっているのだ。まるで箱に入った人だけがいなくなるマジックショーのように。
「あなたは知らないだろうけどこのような怪奇事件がいくつも市内で起こっているの」
「ちょっと待ってください。自分は配属されてから日が浅い新米ですよ?こういう件は他に相談したほうがー」
「それじゃあダメなの。上の人間はこのことをもみ消そうとしてる。そうなる前にあなたの協力が不可欠なのよ。」
突然投げらた言葉に積弥下は理解できなかった。変わりに疑問の言葉だけが脳裏によぎるだけだ。しかし、自分は今頼られている…助けを求められている。そう思っただけでなんだかほっとけない感じがした。
「ふぅ…わかりました。佐原警部補もそれなりの覚悟でやってるんですよね。」
「佐原でいいわ。私あんまり固いの好きじゃないから敬語も禁止ね。」
「流石に職場ではまずいですよ…」
「き・ん・し・ね?」
「ハイ…」
積弥下のツッコミを圧で受け流しながら佐原は次の話に入る。
「まず、この組織を探してほしいの」
「"クロノイドファミリー"…聞いたことないな。」
「この千城市を牛耳っているドイツマフィアよ。母国で内部抗争が原因でこっちに来たみたいだけど。」
「やっぱり今回の事件はそのマフィアが関わっているとか?」
そうとしか思えないのは当たり前だ。実際にマフィアやヤクザの抗争で巻き込まれる事は
滅多にないことではない。
「その可能性はないわ」
「どうして?」
あっさりと積弥下の予想が裏切られる。
「その組織は"情報"だけを取り扱っているの。人なんて殺したりしないわ。千城市の経済を成り立たせているし、警察と繋がりもある。それが彼らなりの"武器"であり"商売道具"なのよ」
「だから探して組織の協力を得て事件の情報を提供してもらうと。」
「その通り。何かわかったらこの番号に掛けて。あとのことはそれからよ。」
「わかった。佐原さんも気をつけて」
積弥下の言葉に頷き1枚のメモ用紙を受け取るのを確認すると佐原は自分の持ち場に戻っていった。積弥下もその背中を見送りながら自分の心にひそかな決意を抱くのであった。
ミステリーものって読むのは楽しいけど書こうとすると難しいですよね←何言ってんだ。
感想お待ちしてま〜す