地下迷宮(城)の最深部
異世界転生100日目の昼。
俺は地下迷宮(城っぽい)68層を攻略している。
後ろには三人の屍が……いや、生きてるけど。
「そろそろ回復したか?」
「少しは……また何かするんですか?」
「罠もないようだから、走りながら攻略してもいいんじゃないかと。
ダイスが道案内出来ればだけど。」
「我にかかれば造作もない。」
「ダイス!そんな事言ったらジンに走らされるぞ!?」
「我は荷物持ちではないからな。
走るだけだと思えば何でもない。」
「俺たちのこともって、ジン待てよ!」
「ダイスがいいって言ってるんだから。」
「セント、諦めて走りましょう。
置いて行かれた方が危険ですし。」
独り取り残されたセントも慌てて追ってくる。
右斜め前にある扉が開き、大部屋から魔獣が襲ってくる。
まぁ、赤いリビングアーマーが見えただけだが。
炎魔法を用いてプラズマを発生させ、各種魔法で補助しながら、
リビングアーマーをペッタンして出入り口をプラズマで塞ぐ。
部屋の前を通りかかったついでに中を確認して、
残りの魔獣をペッタンする。
……作業だな。
異世界転生100日目の夕方。
俺は地下迷宮70層を攻略している。
流石Aランク冒険者、かなりの走りっぷりだった。
世界新とか楽勝だろう。
俺は71層への階段を守っているであろう黒い兵達を見ている。
セント達は休んでいるが、兵団の何が金になるか確認しているようだ。
演習場並の広さに空堀に防御壁、射撃や投石用の兵器、そのまま城塞と言える。
真っ黒の鎧に各種兵、門からは騎士団が出てくるんだろう。
「ジン、ここが最深部だよな?」
「違うと思うが、なんで最深部なんだ?」
「……これだけ準備してあるのに、最深部じゃないのか!?」
「最深部の強力な魔獣って、単体のことだと思っていたんだが。」
「お前な……両方あるんだよ。
もっと迷宮攻略やった方が良いぜ?」
……知らなかった。
それなら、ここが最深部か?
ペッタンで一掃しても良いが、ここは爆発する魔法を使おう。
試してみたいこともあるしな。
雷魔法を用いて真空を作り出し、その周囲を量子魔法で固める。
アインに手伝わせながら、
真空中に石魔法を用いて、陽子を板状に生成して配置する。
どのような魔法か分かっただろうか?
次に、陽子の対になるように反陽子を生成して配置する。
俺たちの周囲を量子魔法で封じてから、それらを対消滅させる。
もちろん、同時に真空周囲の量子魔法は解除する。
<レベルが上がりました>
悪い予感しかしないが……そろそろいいかな?
先にステータスの確認をして時間を使おう。
うん、そうしよう。
ステータスっと。
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名前:ジン・アサイ
レベル:4643→4644
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分かっていたことの確認しかすることがない。
……まず、可視光線だけ選別して通過できるようにする。
真っ暗だな。
遠くに炎魔法を用いて明かりを作り出す。
うわー。
もう一度言おう。
うわー。
「ジン、何したんだよ!?」
「ちょっと攻撃を。」
「ちょっと!?これがちょっとなのか!?」
「力加減が難しくてな。」
上方は63層まで貫通している。
足下も量子魔法の外は吹き飛んでるな。
そもそも、衝撃などは通路を伝って迷宮中に被害を与えただろう。
兵団が守っていたであろう場所まで、石魔法で石を生成して道を作る。
一応、この足場の下も石で支えておく。
「転移部屋がない場合、どうやって攻略を証明すれば良いんだ?」
「あー、俺が適当に話すからなんとかなる。」
<新たなスキルを獲得しました。>
俺は迷宮の最深部に到達したらしい。
スキル確認っと。
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スキル:<未選択>
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ぽちっと。
選択肢を確認したが、以前はレアスキルばかりだったが、
今回はそんなことはないらしい。
必要性を感じるまで保留にしておくか。
まぁ、セント達がスキルを選び終えるまで休憩だな。
ありがとうございました。




