迷宮攻略(67層)
異世界転生99日目の昼過ぎ。
「ジン……なんなんだよお前!?」
「貴方は何者なのですか?」
俺は地下迷宮(城っぽい)65層の転移部屋に向かっている。
デュラハンを瞬殺したことを詰問されているが。
「まぁ、誤魔化してもここが最深部にはならないがな。」
「……どうするんだよ!こんな所で長生きできないぞ!?」
「強くなれってことだろ?
ほら、出番だ。」
転移部屋の魔獣は、倒したばかりのデュラハンだ。
人数分出てくるので、65層の攻略者が中々現れなかった理由が分かる。
幸いにも馬には乗っていないが。
「お前も手伝え-!!」
取り敢えず、昼食食べてからな。
異世界転生99日目の夕方。
俺は地下迷宮から地上に戻ってきている。
65層を踏破したことを冒険者ギルドに報告するらしい。
合わせて、最深部は更に深い事も報告するとか。
「え、なっ!本当かそれ!?」
「はい。先程、ジンさんのパーティから報告がありました。」
「……もう一度言ってくれ。」
セントは俺を睨め付けながら、そんな事を言っている。
ちょっとずつ近付いてくるな。
「えっと、ジンさんの正規パーティから報告を受けました。」
「黙っていやがったな!?」
「態々俺から言うのも、自慢みたいだろ?」
「そこは自慢しとけよ!!
……行くぞ。今日も帰さないからな?」
「あ、ジンさん。これ受け取って下さい。
宿代わりでも構いませんから!」
恥ずかしがるマリンから、部屋の鍵を渡される。
演技も合わせて、セントに見せつけるようにな。
受付嬢の仕事を放棄しているが、いいんだろうか。
異世界転生99日目の夜。
俺は地下迷宮66層を攻略している。
「もう帰りたい。」
「セントが本日も泊まりだって言ったんだろ?」
「五月蠅い!」
クーペが必死に宥めているが、効果はないようだ。
まぁ、ペッタンで瞬殺しているので問題ないが。
「ダイス、次はどっちだ?」
「直進がいいだろう。」
66層からは40層までの迷路構造に戻っているが、通路が倍以上に広くなっている。
天井に明かりが設置してあるので、視界は悪くない。
俺は通路横の小部屋(最早、大部屋だが)から現れたデュラハンをペッタンしていく。
リビングアーマーだらけだったのも、デュラハンが主体になっている。
まぁ、色違いのリビングアーマーも混ざってはいるが。
「我らは荷物持ちでもした方がいいのだろうか?」
「ダイスは道案内してくれればいいけど、二人には金目の物を持って貰おうかな。
クーペはどう思う?」
「荷物持ちでもなんでもやりますよ。ほら、セントも持って下さい。
先立つものは必要ですよ!」
「分かったよ!俺の恋路を邪魔しやがって。」
俺もクーペも苦笑いしか返せないが。
マリンにしてみれば、ただの怖い人だったと思うぞ?
立派なストーカー予備軍だからな。
異世界転生100日目の朝。
俺は地下迷宮67層で起きた。
本日はネプ達が休みなので、先に最深部まで到達できるかも知れない。
ネプやイリンは兎も角、リルエルとマイ、ララには休養が必要だからな。
「今日こそ攻略するぞ!って言わないのか?」
「こっちは生き残るだけで必死なんだよ!
後ろから見てないで前衛やってくれよ!?」
ちゃんと死にそうになったら助けるから、
死線を潜るつもりで頑張って欲しい。
ありがとうございました。




