迷宮攻略(30層)
本日一話目です。
異世界転生94日目の昼過ぎ。
俺たちは地下迷宮を攻略している。
今、転移部屋を攻略した所だ。
シャンデリアが三つと長いすが六脚、机まで完備されている。
絵画が魔獣を題材にしているのはご愛敬だ。
「セント、昼食の時間だと思うんだが?」
「何言ってやがる!
朝夜、二食で十分だろ?」
確かに、この世界ではそれが標準的な過ごし方だが。
貧乏なわけでもあるまいし。
「俺は昼食も食べるんだよ。」
「我慢しろ!
今日中に進めるだけ進むんだからな!」
「クーペ、俺は食ってるから任せた。」
「早く食べて下さいね。」
まだセントが非難してくるが、聞かなかったことにして俺はサンドイッチを食べる。
そもそも、こんな低階層ならセント独りで十分だしな。
転移部屋は一度入らないと使えない。
つまり、今回は俺を深い階層に連れて行くための工程だ。
だからって、昼食を抜くほど急ぐことか?
「あ」
セントが罠を踏んだようだ。
なぜか俺に矢が飛んできたが。
「セント、逸らした矢で味方を攻撃するのはどうかと思う。」
「わざとじゃないぜ!」
目を見て話せよ。バレバレだよ。
「ダイス、クーペ。今夜はセントに奢って貰おう。」
「我に異論はない。」
「それがいいと思います。
私だったら死んでいたかも知れませんし。」
「待て待て待て!
今は厳しいんだよ!新調したんだよ!!」
「何を新調したんだ?」
お世辞にも装備が新品には見えない。
寧ろボロい。
「ジン、セントはマリンちゃんの為に広い家を買ったのです。
まだ付き合ってもいないのに。」
ダイス、そんなに笑うな。
俺も笑ってしまうだろ。
「おらぁ!さっさと行くぞ!」
セントは冒険者にしては珍しいタイプらしい。
いつ死ぬかも分からないのに告らないとか、不思議だ。
異世界転生94日目の夜。
俺たちは地下30層の転移部屋から帰還した。
ここまでは、上級者なら到達できる階層らしい。
「ジン、明後日の朝迷宮前でどうだ?」
「分かった。またな。」
「あぁ、腰痛めるなよ!」
余計なお世話だ!
そして、奢ることは忘れた振りをすることに決めたらしい。
まぁ、いいんだけど。
俺は獣公爵領の屋敷に戻ってきている。
ネプ達もさっきまで潜っていたようだ。
「何層まで行きましたか?」
「秘密と言いたいところだけど、50層よ。
ジンは何処まで進んだの?」
「私たちは、私の案内も兼ねているので30層までです。
明後日には60層以上に挑戦することになります。」
「40層以上は、迷路が難しくなるわよ。
気をつけなさいよね!」
「はい。……手加減してますよ?」
「いいじゃない。私が最初に寝ちゃうんだから。」
アヤさんは欲張り屋さんです。
異世界転生95日目の朝。
俺は獣公爵領の屋敷で起きた。
「ジンさま!じんさま!」
リルエルが乗っていることは分かったが、俺の顔には柔らかい物が。
「ネプ、どうかした?」
「今日は枯れるまで付き合って貰うぞ?」
やっぱり……本日の予定は決まってしまったな。
鋼鉄製の剣や鎧の売上げなど、商人的な日にするつもりだったんだが。
異世界転生95日目の夜。
俺は満足そうに寝ているネプを眺めている。
しっとりした黒い髪に絡め取られているとも言う。
「ご主人様。お夜食は如何ですか?」
「しっかり食べさせてくれ。」
「ご準備させて頂きます。」
俺はそっと転移魔法で抜け出して、遅めの朝食兼昼食兼夕食を頂く。
アヤさん達は本日も遅くまで、迷宮を攻略していたようだが。
ありがとうございました。
なぜかログインできず、こんな時間になってしまいました。




