出航
連続更新二日目
本日三話目です。
異世界転生84日目の朝。
俺はルーメンの屋敷で起きた。
イリンを抱きしめながらな。
背中にいるのはネプだと思う。
「ご主人様、私の抱き心地は如何ですか?」
ネプは放置して、イリンと楽しもう。
甘い声が堪らない。
まぁ、昨夜お腹一杯になるまで楽しんだんだけど。
俺は乾ドックで、造船の続きに取りかかっている。
昨日は流れるまま作ってしまったが、
本日は設計図を作らせ、細部まで拘って作る。
昨日作ったのは、取り敢えず係留しておけば良いだろう。
いい見世物になるだろうしな。
海中に住む魔獣からの攻撃を想定して、V型で細長く重心も低めに設定する。
細長いと言っても、流線型を基本に設計させるが。
部材も鋼ではなくチタン合金を用いて耐腐食性を上げる。
念のため、内殻は鋼板を使うがな。
更に、浸水の影響を最小限に出来るように扉を多く設置する。
スクリューは大型を二基搭載して、それぞれ逆回転させる。
エンジンとスクリューは自在継手によって繋がないといけないはずだが、
原理不明のため部材との隙間にゴムでも挟んでおく。
いや、ちゃんと開発させるよ?
あと、バラストは大型を中心に扱うことにする。
運用人数を少なくして、数を揃えたいからな。
また、排熱は海上を進んでいる以上、海水を利用すればいい。
最後に、応力を分散させる方向で計算させよう。
その間に、俺はエンジンを作る。
まぁ、蒸気機関によって発生した水蒸気を蒸気タービンに廻すだけなんだが。
材料はクロムモリブデンバナジウム魔法金属を使用する。
クロムモリブデン魔法金属より、摩擦に耐性のある金属だ。
蒸気タービン、何度か見たことあるよな?
あの棒状に羽根を沢山付けて、回せばいい。
原理はやたらと難しかったから、試行錯誤の出番だな。
30000個ほど試作したので、それなりに効率的になったはずだ。
次は武装を施す。
と言っても、榴弾砲が中心だが。
主に海中に向けて発射できるように、角度を付けて配置する。
海面と衝突するので、時限信管しか用いることは出来ないな。
RDXをそのまま箱詰めして、機雷も作成しておこう。
船体も組み上がり、外装も整った。
内装はルーメンから持ち込めばいいしな。
乾ドックに注水してみるが、特に不具合もなく浮いているようだ。
横波やら色々と負荷をかけてみるが、沈まないな。
異世界転生85日目の朝。
俺はルーメンの屋敷で起きた。
このきつきつのじゅるじゅるはリルエルだな。
本日は料理を多めに作って貰い、アイテムボックスに入れていく。
数日間、船上生活の予定だからな。
時間が停止しているアイテムボックスは、保存に便利だ。
俺は皆を連れてルーメンの軍港に来ている。
これから処女航海に行くわけだが、セシを経由して獣公爵領の直轄領まで向かう予定だ。
榴弾砲や散弾銃、奴隷兵等を積み込んで、それぞれに配備することも兼ねてな。
先日の冒険者ギルドとの会談でも思ったが、
武器の威力を知らしめないと、大して驚異と思われないらしい。
装備に関する広報活動が必要だな。
「ジン様、本当に浮いているのですか?」
「陛下、小島の間違いでは?」
「浮いているし、とても速く動くよ。」
リルエルとララ、少し教養がある人間からしたら、
鉄が浮くなんて考えられないことなんだろう。
イリンとマイは疑問すら持てないんだが。
「早速出航しようか。
アイン、お願い。」
「仰せのままに。」
まぁ、奴隷兵を運行だけでも800人程乗せたので、ちゃんと動かしてくれるだろう。
ありがとうございました。




