チートの使い方
誤字修正
”登録したんですが”→”登録したいんですが”
異世界二日目の深夜
遂に俺のチートが、本領を発揮した。
見よ、このステータス!
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名前:ジン・アサイ
種族:神類(根源)
レベル:2
生命力:
魔力 :
体力 :
知力 :
俊敏力:
スキル:なし
ギフト:成長補正(10→10→10→10乗)
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俺の種族が神類(根源)になった。
つまり、新しい神になったというわけだ。
流石チート!
生命力等の数値が表示されなくなったのは、単純に桁数が足りないんだろう。
流石チート!
もう一度言おう。
流石チート!
つまり、俺の能力値は最強になったのだ。
腕力がどの程度上がったのか、まず確かめようと思う。
手頃な岩を的にして、そこそこ力を入れて殴ってみた。
<レベルが上がりました>
……。
やり過ぎた。
この、もうもうと立ちこめる土煙はなんだろうか。
この、明らかに大地が出してはいけない音はなんだろうか。
……。
うん、逃げよう。
異世界転生三日目の朝。
俺はアバストスの南門で起きた。
夜になると門は閉じるらしい。
一般人お断り、当たり前だな。
だが、昨夜は都市の警備隊やら在駐騎士団やら冒険者やらがひっきりなしだった。
それはそうだ。
なにせ、大地がなくなってしまったのだから。
俺の一撃により、的にした岩から放射状に地平線まで綺麗になくなっていた。
深さは数キロ、幅は数百キロ、長さも数百キロだろう。
あ、ステータス確認しないと…。
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名前:ジン・アサイ様
種族:
レベル:2→4642
生命力:
魔力 :
体力 :
知力 :
俊敏力:
スキル:なし
ギフト:成長補正(10→10→10→10乗)
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遂に、種族まで空欄になってしまった…。
んん?
名前が「ジン・アサイ様」ってなんだ?
「様」って誰がつけたんだ??
それに、レベルが4642ってなんだよ。
どれだけ狩ったんだよ!
まぁ、力を入れようとしなければ、一般人として生活できるのが救いだが。
深夜のテンションで、調子に乗った俺を殴りたい。
皆様ごめんなさい。
よっし。反省終わり。
そもそも、俺この世界出身じゃないし。
知らない町が消えても、何とも思わないな。
うん、不幸な事故だったということで。
社畜にどっぷり浸かった俺をなめるな。
弊社が赤字にならなければ、何処が潰れようと関係ない。
何処の誰が過労自殺しようとも、俺が生きてればいい。
俺は俺のために生きてるんだ!!
止めよう、昔を思い出すのは。
とりあえず、門も開いたことだし宿に戻るか。
都市の中は、まさに厳戒態勢だった。
そりゃ、何がおきたかわからないだろうしな。
力もつけたし、次はお金を稼がないとな。
生活費、これ切実。
「おやっさん!一発大きく当てたいです!」
「…」
流石のおやっさんでも、渋い顔をしている。
もともと強面だから、余計怖いわ。
「西に、ドラゴンがいる。狩ったら一攫千金だ。」
あぁ、奴ね。
転生初日に、俺の頭上を通り過ぎた奴だ。
「えっと、ドラゴンはどこで売れるんでしょうか?」
売却先は大事だ。
商品は売らないと金にならない。
「知らん。」
さいですか。
「知ってる方、ご存じないでしょか?」
「商業ギルドに聞け」
商業ギルドねぇ。
それはもう、立派な建物だ。
石造りには違いないが、一つ一つの石が磨かれている。
更には、彫刻が施されている場所さえある。
ずいぶん仲介料とかぶんどってるんだろうなぁ。
内装も派手派手。
ただし、受付のお姉さんは猫耳美人だな。
俺からしたら、ちょっと年増だけど。
いや、猫耳は愛してるよ?
「失礼します。商業ギルドに登録したいんですが、どのような手続きが必要でしょうか?」
「はい。一般の方であれば、登録に金貨1枚の登録料が払えれば、すぐに登録することが出来ます。」
「では、登録をお願いできますでしょうか?」
「承りました。こちらの書類をご提出頂けますか?」
俺は転生者だが、デフォルトで文字も読めるのか。
数字は棒だから、誰でも分かると思って判断出来かねたが。
書ける気もするし、基本技能なんだろうな。
「はい。」
渡された書類には、名前、種族、主な取引商品を記載しなければならないらしい。
これは、ステータスが確認されるな…。
もちろん、名前と種族以外は隠してあるが。
どうしたものか。
名前はいい。だが、種族が空欄なのは…。
まぁ、押し切ってみるか。
「こちらでお願い致します。それと、これが登録料の金貨1枚です。」
「承りました。念のため、ステータスの確認をお願いできますか?」
やっぱりな。
まぁ、本人確認のため必要ではある。
「どうぞ。」
「えぇっと、種族が空欄なのですが?」
「両親は人類なので、人類のはずなのですが、なぜか表示されないんです。」
「…。上役に確認しますので少々お待ち頂けますか?」
うーん。
やっぱり、まずったかなぁ。
でも、偽装できるわけではないし。
因みに、主な取引商品には「危険度の高い物品全般」と書いておいた。
「お待たせして申し訳ありません。こちら上役のシュッタルトです。」
「商業ギルドのシュッタルトです。もう一度ステータスを確認させて頂けないでしょうか?」
「こちらです。」
「そうですな…。このような事は前例が無いのですが、商業ギルドとしても種族上の差別はしておりませんので、こちらで結構でございます。」
「お手数をおかけしますが、よろしくお願い致します。」
「承りました。登録手続きは受付の者が手配致します。ところで、危険度の高い物品全般とは具体的にどのようなものなのでしょうか?」
お?
もしかして、買ってくれるのか。
えーと、シュッタルトだっけ??
「シュッタルト様、この付近には大変危険度の高い生物が生息しているとか。」
「西のドラゴンのことでしょうか?確かに危険度が高く、アバストスでは追い返すのが精一杯です。」
「なるほど。さぞ高額で買い取って頂けるのでしょう?」
「…。もちろんですとも。しかし、かなりの危険を伴うのでは?」
「危険と対価はつりあうものだと思いませんか?」
「ジン様の仰るとおりでございます。是非、売却の際はシュッタルトとご指名いただ「登録手続き完了致しました!」」
なんと間の悪い受付嬢だ。
怒られるぞ、絶対。
「ううん!では、こちらが商業ギルドカードになります。ご説明は必要でしょうか?」
「はい、よろしくお願いします。」
「ギルドカードは身分証にも使えます。また、信頼という意味でも大きな力を持ってくるでしょう。
更に、ギルドにお金を預けることも出来ます。
経験によってギルドでは、6つのランクを設けております
」
シュッタルト氏の話をまとめるとこうだ。
ランク1:行商人
ランク2:店舗を持つ商人
ランク3:多都市で店舗を持つ大商人
ランク4:貴族御用達
ランク5:王家御用達
ランク6:多国の王家御用達
んで、商業ギルドの商人は、毎年一定額をギルドに納めなければならない。
額はランクと純利益額によって変動すると。
純利益を把握できるのって店舗もってないと無理じゃね?
うん、利権によってランクが違うのね。
「では、私はランク1ということでよろしいでしょうか?」
「はい。我々と致しましてはランク2以上の商人に、特に便宜を図っておりますので、早く店舗を持たれることを推奨しております。」
あーはいはい。
魂胆丸見えですよ?
「では、本日はこれにて失礼させて頂きます。」
「はい。またのお越しをお待ち申し上げております!」
んじゃ、ドラゴン退治と行きますか!
ありがとうございました。
過激な内容が含まれますが、創作上のことです。