アヤとの野宿
本日六話目です。
異世界転生60日目の夕方。
俺とアヤは、魔領域に突入している。
魔獣が散発的に現れるが、アヤが瞬殺している。
リンの言ったように、腕は確かなようだ。
「そろそろ日が沈むわね。
今日はこの辺りに泊まりましょう。」
「分かりました。
枯れ枝拾ってきますね。」
本音はルーメンの屋敷で寝たいが、
冒険者としては、野宿が当たり前か。
アヤには、聞きたいこともあるしな。
親密度を上げておいて、損はないだろう。
「貴方、アイテムボックス持ちなの?
その料理、当然私にも分けてくれるのよね?」
「もちろんです。お口に合えばいいのですが。」
「っっ、うま!!」
当然だ。
この世界では貴重な香辛料を惜しげも無く使い、さっき奴隷娘達が作ってくれた料理だ。
この世界の住人からしたら、絶品に違いない。
日本人としては、ただ香辛料がきいた料理でしかないがな。
元の食材の味が悪い。品種改良の素晴らしさを感じる日々だ。
「おかわりもありますので、存分に食べて下さい。」
異世界転生60日目の深夜。
俺はアヤに夜番を代わって貰った。
先輩冒険者として、先に俺を寝させてくれたのは嬉しい。
なんだかんだと言って、ちゃんと俺を気にかけてくれている。
うん、嬉しいことだ。
まぁ、アインが目を光らせている中で、寄ってくる魔獣はいないがな。
神なら挨拶に来るかもしれないが、俺が本来の意味で神になるまで会うつもりはない。
きっと俺の意思を汲み取って、彼女らも俺に会いに来ないのだろう。
<御心のままに。>
返事があったが、今回は神託を下した神とは違う神だろうな。
最初に俺が接触した方だ。姉妹だと推察するが。
異世界転生61日目の朝。
俺は獣公爵領南方の魔領域で起きている。
そろそろ、アヤを起こさないとな。
「アヤさん、朝ですよ?」
「っ!!すまない、寝ぼけていた。」
寝ぼけて俺の首を撥ねようとするのはどうなの?
まぁ、傷付けることなど不可能だからいいけどさ。
「いえいえ、朝食にしましょう。」
朝食は基本的にイリン作だ。
他の子は寝ているか、俺と楽しんでいるからな。
「美味しい…。貴方は…いやなんでもない。」
「本日も、どんどん進みましょう。」
異世界転生61日目の夕方。
「もう日没だわ。
今日はここに泊まりましょう。」
「分かりました。
枯れ枝拾ってきますね。」
「昨日も同じ事言ってなかった?
ルーチンにすると、不測の事態に対応できないわよ?」
「分かりました。
今日は太い枝を拾ってきますね。」
「それ、変わってないと思うけど?」
いいじゃんか。
アインがいるから、俺は心配できないんだよ。
いや、そもそも勇者以外心配してないが。
道中だって、アヤが瞬殺するから座っているだけだし。
今日も先に眠っていいそうだ。
ありがとうございました。




