南部貴族との交渉開始
異世界転生46日目の朝。
俺はルーメンの屋敷で起きた。
リルエルが上に乗っているのは、よくあることだ。
エルフ自体の妊娠率の低さが、リルエルの性欲が強い理由だろうか。
いや、違うかもしれんが、このきつきつに慣れる日はこなさそうだ。
昨日は、帝国南部貴族への通知書を貰ってから、
巫女天狗に、南部の詳細な地図を作成させた。
この地図を参考に、四つの元王国、
現公爵領に、通知を伝えるのが最初の仕事だ。
もちろん、ドラゴン70体と一緒にな。
「陛下、この度は我が公爵領に、ようこそおいで下さいました。」
一つ目の、最も帝都に近い公爵領。
公爵の後ろでは、綺麗な少女が俺に媚びを売っている。
おそらく、俺の側室になりたいのだろう。
「ジンです。こちらが、王国からの通知です。」
「承ります。…なるほど。陛下の臣下となれる事、恐悦至極に存じます。」
「公国からの条件は、兵役と、
未開発でも辺境でも構わないので、兎に角、広い土地を直轄領として頂きたい。」
「未開発でも辺境でも、でしょうか?」
「はい。公国は兎に角、広い土地を求めているのです。」
そう言って、俺はこの公爵領の精密な地図を見せる。
精度は、現代の地図と遜色ないレベルだ。
……公爵は絶句しているが、そろそろ復活して欲しい。
「どの辺りを、頂けますか?」
「も、申し訳ありません。
広い土地ということであれば、西にある森林は如何でしょうか?
巨大な樹木が多く、ほぼ全ての地域が未開発となっております。」
「では、西の森林全てを、公国の直轄領とすることで、
王国への賠償は完了したということで。」
「…お慈悲に感謝を。」
公爵は、娘も賠償に含んで欲しかったんだろうな。
確かに綺麗な少女だけど、俺の好みじゃないんだ。
今後、王国貴族の血筋がないと公爵領を維持するのは難しくなる。
王国が貰った戦時奴隷の出身貴族家が、
旧帝国貴族に影響力を行使するだろう。
俺は早速、直轄領となった森林に来ている。
南北100キロ、東西50キロといったところだ。
森林というが、これは熱帯雨林だろうな。
こんな密度の濃い森林を開発するなら、
もっと開発しやすい場所を選ぶだろう。
土地だけは、一杯あるからな。
西は海に面しており、港を造れば、
ルーメンとの交通の便がよくなるだろう。
良くなるだけで、いつ魔獣に襲われるか分からない海を、
木造の船舶で横断する船長が、どれだけいるか分からないがな。
水量の多い川が、数本流れているので、
ルーメンと同様に、ダム、堤防、灌漑と改造して、農地に変換する。
山の神でもある巫女天狗に、計画を立てさせたから問題はないはずだ。
森林の面積が、半分になったがな。
巫女天狗を2048人召喚して、
ルーメンの農業用地と共同で、大規模農業に取りかかって貰う。
暗くなってきたから、今日はもうルーメンに帰って寝よう。
因みに、アイスドラゴン達は帝都に戻しておいた。
ありがとうございました。




