勇者が存在?
異世界転生43日目の朝。
俺は帝都の高級宿で起きた。
久しぶりのベット、ということはない。
毎日、ルーメンの屋敷まで転移して戻っていたからな。
ただこの部屋は、この半日で人数が増えすぎて、
三部屋をぶち抜いた構造に改造したが。
昨日の帝都開城から、俺好みのエルムンド皇族や上級貴族の少女を、
隅から隅まで味わって過ごしていた。
フーリゲより、俺の要望が優先されたから、
帝都にいた俺好みの子女は、全員味わったと言っていい。
もちろん、帝都までに味わった子も含めて、
この子らは戦時奴隷として伯国に連れて行く。
少し前までのエルフ王族と、立場は同じだな。
泣き喚く子に、無理矢理なんてことはないよ?
拒否したら、どんな拷問が訪れるか分からない異世界だ。
皆、俺の機嫌を取るのに必死だった。
泣いた跡はあったけど。
この十日間、帝国軍は面白いほど瓦解していった。
ドラゴンを見たら、逃げようとして全滅させられ、
後続の軍は、上位者の暗殺に怖くなり、領地に逃げ帰っていった。
最初の数日しか、戦闘らしき戦闘もなく、帝都までを掌握した。
王国の完全勝利だろう。
残った帝国領も、直に忠誠を誓うはずだ。
帝国に属する殆どの王は、暗殺されたしな。
まぁ、70体のドラゴンに喧嘩を売る、
酔狂な奴がいるかもしれないが。
「ジン公国王!北の外れにある王国から、
勇者軍が進軍していると情報が入った。」
俺がいる宿屋に、フーリゲが訪ねてきた。
俺を呼ぶ名称が、伯国王から公国王へ更新されていたことから、
俺は公爵になったらしい。
「フーリゲ、勇者ってなに?」
「神に選ばれた使徒のことで、サクラと名乗っているそうだ。」
ねぇねぇ神様?
俺の敵になるの?そんなに消して欲しいの?
<違います!私じゃありません!だから消さないで下さい!>
あ、そう。
どうしようか。
日本人なら、基本的には助け合いたいが。
まぁ、日本人確定だろうけど。
この異世界に「桜」はないからな。
「勇者軍の目的は分かっているのか?」
「それが、よく分からないんだ。
帝国に接する王国を落としたけど、今の進軍先は不明だ。」
「つまり、帝国内に進軍している可能性があって、
この情勢下なら、帝国領土が削られる事態になると?」
「そうだね。王国以外の国に取られるのは、情勢を不安定にさせると思う。」
「ま、頑張れ。」
「……。分かったよ。僕の方で対応する。」
「いや、勇者軍には手を出すな。
何をするのか、見極めてからでも遅くはないだろう?」
「はぁ。報奨から減らすからね?いいよね?」
「そういえば、報奨は何になったんだ?
公爵になったのは分かったが。」
「目下、試行錯誤しているところです。公国王陛下。」
「戦時奴隷は連れて行くよ?」
「もちろん、それはジンの自由だけど。本当に独立する気は無いのかい?」
「ないよ。外交なんて面倒なことは、フーリゲにお任せさ。」
「独立してくれない領地が、こんなにも不都合だとは思いもしなかったよ…。」
フーリゲの嘆きには賛成だが、俺は独立しないからな。
あくまで、エスパルト王国に忠誠を誓う公国だ。
俺は帝都の少女と楽しい時間を過ごしつつ、
勇者のことを考えていた。
こんな異世界で生き残っているということは、
何かしらのチート、もしくはチートに類する能力を授かったということだ。
それが意味することは、俺が殺されるかもしれないということ。
接触は、サクラが何を考え、どう行動しているのか、
分かってからでも遅くはないはずだ。
もちろん、玉の輿で生き残っている可能性もあるが。
サクラの周辺から、巫女天狗は撤退させよう。
ありがとうございました。
やっと、名前だけですがヒロインが登場しました。




