屋敷の改装
異世界転生26日目の昼。
俺は王都で女の買い物に付き合っていた。
服や装飾品、食器や調理器具等々、
最初に荷馬車を買っておいて正解だった。
荷物を見てると言って、御者台に座っているだけでいいからな。
先ほど戻ってきたネプによれば、領地の北の山にいたドラゴンは、
想像と違わず、アイスドラゴンだった。
エルダードラゴンもいたらしいが、引き籠もり体質で人間の言葉は話せないとか。
服従の証として、雌のドラゴンを数体献上してくれたようだ。
だから、俺はドラゴンと子作りするつもりはない…。
ネプは獣人状態だからいいの!
買い物、夜までかかるんだろうなー。
異世界転生27日目の朝。
俺は王都の宿屋で起きた。
まだ、誰も起きていないのは珍しいことだ。
マイを抱きしめて、二度寝しよう。
あ、この冊子はルーメン伯爵領の地図かな?
王都の宿屋は、伯爵として長期契約することにした。
新たに屋敷を構えるより、この宿屋の方が快適そうだからな。
それに、フーリゲの即位式と俺の叙勲式には王都に来る予定もある。
「ジン伯爵閣下。お待ち申し上げておりました。」
ドットヘルテ奴隷商会に奴隷の購入に行くと、ドットヘルテ氏が待っていた。
朝というには、ちょっと遅い時間になってしまったが。
てか、既に叙勲の話を知っているんだな。
「ドットヘルテ様、お待たせして申し訳ありません。
件の奴隷、いかほどになりますでしょうか?」
「合計100人で、白金貨7枚となります。
ご注文頂きました家具や職人は、既に出発しております。」
代金を払った後、血をいっぱい出した。
奴隷契約の事、忘れていた……。
因みに、端数がないのは、頑張って丁度いい数字にしたらしい。
俺達は王都からルーメンまで、馬車で向かっていた。
もちろん、農業奴隷達は歩きだ。
転移すればすぐだが、人目があるからな。
それに、自分の血を多く見て気分が悪い…。
人目がなくなるまで、巫女天狗にダム等の治水工事でも考えさせよう。
異世界転生27日目の夕刻。
俺達は城塞都市ルーメン近くに転移した。
王都近くの城塞都市だけあって、城壁は三階建て以上ありそうだ。
あと少し歩けば、門に辿り着けるだろう。
「ステータスか身分証を見せて下さい。」
「代官を呼んで貰えますか?」
都市ルーメンは、王族の遠縁が代官に着いているらしい。
爵位は準男爵、俺の最初の臣下になるそうだ。
まぁ、私生児の家系ということだろう。
「直ちに!!」
何言ってんだ此奴?という目線だった門番も、
王家の紋章を見ると、真っ青になって走って行った。
「閣下、お待ち申し上げておりました!」
現れた代官は、書類仕事が苦手そうな老騎士だった。
「ご苦労様です。伯爵に叙されたジンです。
屋敷までの道中、都市の概要を聞いてもいいですか?」
「承りました!」
俺達はルーメンの屋敷に着いた。
確かに、都市の町並みよりは立派な屋敷だ。
立派というか、広いだけだがな。
東京駅舎ほどありそうだ。
「準男爵、こちらで様々な作業を行うので、
今晩は皆、家に帰して下さい。」
「作業でございますか?
…閣下が命じられるならば、直ちに帰宅させます!」
一刻ほどの時間をかけて、屋敷の敷地内には、俺の奴隷と眷属、あとネプしかいなくなった。
農業奴隷には、庭で一晩過ごして貰う。
単に花崗岩で囲っただけの住居だが、食事は豪勢だ。
食べ放題、塩も使い放題としたしな。
もう日も落ちてしまったが、地面付近に炎を出して、明かりを確保した。
これから、このボロい屋敷の石材を花崗岩で換装する。
石魔法で花崗岩を生成して、屋敷の石材と交換。
物を動かしたり諸々の作業は、巫女天狗に任せた。
上下水道を完備するための水路や穴も準備する。
もちろん、作業箇所は1024人の巫女天狗に考えさせた。
あ、地盤が心配になってきたな。
屋敷の下も、深くまで花崗岩へ変えよう。
石材の交換が終わったら、外部に露出している面を、
生成したダイヤモンドの粒で研磨する。
磨く速度を、音速を超えないように注意しないと。
とりあえず五月蠅いから、屋敷を真空で囲おう。
さて、大体完成したかな?
「…っ!」
屋敷に入った途端、俺は滑った…。
うん、床がつるつる過ぎる。
床だけ、ただの花崗岩に交換しよう。
今度は滑らないな。
内装工事は、職人の到着待ちだから、もう寝よう。
戸籍を作る前段階として、人々の住んでいる場所の把握を、
巫女天狗に命じてから、安物のベットで四人と寝た。
ありがとうございました。




