領地開拓の準備
異世界転生24日目の昼。
俺はルーメン伯爵領に来ている。
早馬がルーメンに着くまで、2日かかるらしい。
その後であれば、俺は領主として表立って活動出来る。
それまでに下準備を済ませるため、俺は領地の調査にやってきた。
王都から地平線まで転移して、そこに巫女天狗を目印として待機させる。
そこから更に地平線まで転移する、を繰り返すことで、迷わないようにした。
なんとなく、近くにいる天狗巫女の居場所は分かるからな。
伯爵領は、南北200キロ、東西300キロか。
距離が分かる理由は、転移の際「100キロ先に転移」とか指定しているからだ。
ほぼ正確な長さが分かるって、凄いことだと思う。
さて、領地の西から100キロほどに、ルーメン川が流れている。
その河口付近には、城塞都市ルーメンがあり、都市の周辺は荘園だろう。
北にある未踏峰の山々は標高1万メートル、東にある山々は3千メートルほど。
北と東の山岳地帯から、それぞれ一本ずつの支流がルーメン川を形作っていた。
正確な地図が欲しくなったので、巫女天狗を召喚して、地図を作るよう命じた。
伯爵領までの間に確認した限り、天狗である以上、
山の知識は豊富だが、その他の知識は俺のコピーだった。
まぁ、1024人で協力すれば大抵のことは出来るか。
俺はルーメン川の水量を用いて、食料の大量生産を目指している。
この異世界は土地が余っていても、魔獣の危険性から有効活用していない。
しかし、眷属の労働力を活用すれば、魔獣の排除は簡単だ。
食糧増産の為、ドットヘルテ奴隷商会に依頼をしてある。
日本で水稲、ジャガイモ、大豆、小麦、甜菜、と呼ばれている作物、
鶏、豚、牛と呼ばれている動物に詳しい奴隷を、買えるだけ買いたいとな。
期限は明後日の朝までだが、それなりに集められるらしい。
指導者がいれば、巫女天狗にも食料生産は可能なはずだ。
もちろん、それらの種と動物は巫女天狗が確保に奔走している。
自動翻訳できたから、該当する作物と動物は存在しているからな。
ドットヘルテ氏には他にも、家具やら内装職人やらを準備して貰っている。
領主の館は、直轄領だけあって立派らしいが、王都の宿屋並にしたい。
館自体は俺が換装するが、内装まではできないからな。
因みに、代金は生成した最高級の岩塩で払った。
異世界転生24日目の夕刻。
俺は北の山々のドラゴンを観察している。
山頂付近の氷河の中に、多くのドラゴンがいた。
俺が近寄ったら、頭を下げて微動だにしないが。
未踏峰なのは、標高が高いだけでなく、
ドラゴンの生息地という理由もあったようだ。
またドラゴンだよ…。
「話ができるドラゴン、いますか?」
うん、いないみたいだ。
ネプに丸投げしよう。
異世界転生26日目の朝。
俺は王都の宿屋で起きた。
下にリルエル、左にイリンだ。
リルエルは右側で寝ていたはずだが、俺を食べたいらしい。
ネプは、領地の北の山にいたドラゴンとの交渉のため、もう出発したようだ。
明日は領地に行くため、今日の買い物三昧に、なんとしても参加したいらしい。
さーて、まずは荷馬車を買わないと。
ありがとうございました。




