常世の世界
三話目
異世界転生158日目の昼。
俺は塔型迷宮で、
ネプとの子を抱っこしている。
可愛い……けど、俺に似てちょっと不細工。
ちょっとで済んでいるのは、
ネプが最上の可愛いさを持っているからだろう。
「ジン、ありがとう。」
「いいさ、これからも生まれるしね?」
「アヤとの子は、あと200日位?」
えっと、確か110日目当たりで一か月だったか?
ここの人類は8ヶ月程度で生まれたはず。
「そうかな?
長いなー。」
「そうね。
私達には短い時間だったはずなのに。」
「ありがとう。」
俺は『ゴメン』と言いそうになったのを、
慌てて訂正した。
「いいのよ。
貴方と私、それだけでいいの。」
「俺は他にも、守りたい。」
「そんな事、どうとでもなるもの。」
「イリン、あとは頼む。」
「仰せのままに。」
アインと同じ台詞。
俺は泣きそうだよ。
子供、ウメと名付けた娘を残して、
俺達は旅立つ。
異世界転生158日目の昼。
俺はトロワの横で、世界を感じている。
いや、現世の世界をだ。
勇者サクラが見せたかった事は、
明確に理解出来る。
先代神が蒔いた種は、塔型迷宮を目眩ましに、
西大陸、ドゥが滅ぼした大陸にあったらしい。
まぁ、塔型迷宮は神にしか対応出来ないが、
西大陸は人間でも対応出来る可能性がある。
まぁ、Sランク冒険者が数万もいればな。
これって、無理ゲーって奴だろう。
だが、高が魔獣退治に神は介入出来ない。
それこそ、莫大な神力が必要だろう。
己の存在を脅かす程の。
…いや、既に半分になっているから、
この件には関われなかったか?
難度の高さはサクラの能力、
俺が「成長補正(10→10→10→10乗)」を貰った様に、
「能力複製」を持っていたからだ。
それにより、彼女は神器のスキルを複製し、
元になった先代神に近付いて行った。
西大陸には先代神の玩具が残っており、
海を越えられる力はなかったが、
サクラの能力がそれを可能とする。
「豊漁」というスキルによって、
樹木種程の大きさが標準の魔獣がやってくる。
まぁ、海の魔獣を大型化して、
そいつらの背中にしがみ付かせるってだけだが。
未来予測によれば、あと15日程。
しかし、もう2日以内には、
サクラは先代神の意志を継ぐ。
滅ぼせ、滅ぼせ、とな。
先代神は見誤った。
それだけだ。
俺は神力を以て、サクラから先代神を消し飛ばす。
巫女天狗を復帰させ、質量エネルギー弾を大量生産させる。
彼女達は俺の眷属だ。
一瞬で惑星を壊せる量の反物資を生成する。
弾の必要は無い。
西大陸の上に、大地の数ミリ上に、
均等に反物質を転移させる。
ほら、簡単でしょ?
ありがとうございました。
運営に消されるかもしれないので、お気を付け下さい。




